タバコ会社の偽証を暴こうとするドキュメンタリー番組とプロデユーサーと元タバコ会社の科学者の2人。脅しや嫌がらせを受けながらも真実を貫こうとしまう。人生を壊してまでも戦った2人の内部告発者の物語です。
『インサイダー』作品情報
タイトル | インサイダー(The Insider) |
監督 | マイケル・マン |
公開 | 2000年5月27日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間37分 |
Rotten Tomatoes
『インサイダー』あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
2つの内部告発
タバコ会社の偽証を暴いた『インサイダー』。
この映画の中では2つの内部告発が起こります。
1つは物語の中心となるタバコ会社のニコチンに関する偽証です。
この事実を暴こうとタバコ会社の科学者がテレビで証言します。
しかも守秘義務も契約を破って危険をおかしてまでも行う証言です。
これがどれほど危険だったのかは科学者のワイガンドが受けた脅しや嫌がらせを見れば明らかです。
家族が崩壊しそうになりますが、それほど精神的に参ってしまう嫌がらせでした。
そしてもう1つはワイガンドが証言したテレビ自体を放送できないようにしたことへの告発です。
どちらにも関わっているのは大手企業のタバコ会社。
企業の力は元社員やテレビ局だけでなくFBIや裁判所までも及んでいます。
どれだけ企業が世の中を支配しているのかが分かる瞬間でもありました。
そしてそんな大企業と戦うことがどれほど危険なことだったのかも分かります。
企業と戦った2人の男はそのことで人生が狂ってしまいます。
それでも伝えようとした真実。
国民が知るべき出来事。
『インサイダー』精神的に追い込まれながらも最後まで戦った2人の男の物語でもありました。
ドキュメンタリー番組『60 Minutes』
CBSで放送されている『60 Minutes』。
1968年から放送が始まり現在でも放送されている長寿番組です。
『インサイダー』の中でも描かれていたようにこの番組は情報番組で、社会の問題に真っ向から取り組むことで話題となり人気番組になりました。
国民に真実を伝えようとしている番組なのです。
『60 Minutes』の影響力は世論を動かし社会を変えてしまうほどの力を持っています。
それだけに慎重に取材し放送されて、またスタッフは命をかけてこの番組を製作していました。
映画の最後の方で『60 Minutes』のキャスターマイクがリークされた新聞の内容を読むシーンがあります。
「エド・マーローの伝説を汚した」という言葉です。
これはエド・マーローが自分の番組で赤狩りを行っていたマッカーシーを扱い、彼を失脚に追い込んだ伝説のことを意味します。
映画『グッドナイト&グッドラック』で彼の活躍は描かれています。
権力と戦い真実を放送することがCBSで作られる情報番組の強みだったのです。
その権力に屈してしまったことで新聞に「エド・マーローの伝説を汚した」と書かれたのでした。
いつの時代も権力が全てを支配し真実を隠してしまうことがあります。
それでも報道はそれと戦い国民い伝えること義務があるというのが、『60 Minutes』プロデューサーであるバーグマンのプライドでした。
それと同時に情報提供者を守ることも彼の使命だったのです。
まとめ
真っ向から権力と戦った2人の男を描いた『インサイダー』。
正義感だけでは通用しない恐ろしい力が彼らに襲いかかります。
それでも彼らをつき動かした意地と使命。
恐怖に負けそうになり悩む2人の姿がリアルに描かれています。
いつも険しく苦しそうな顔しかしていない2人が唯一見せた笑顔の瞬間。
その瞬間がとても印象に残る映画でした。