映画『へレディタリー/継承』家族が継承したもの 地獄の王を召喚させる肉体

自分の家族に受け継がれているある秘密。それを知らないまま育った娘アニーは、娘の死のショックに耐えられず彼女の霊を呼んでしまいます。しかしそこに現れたのは娘チャーリーの霊ではなく「悪魔」でした。自分の犯した過ちにやっと気がついたアニーでしたが、この時すでに地獄の王ペイモンが召喚しつつあったのです。

目次

『へレディタリー/継承』作品情報


ヘレディタリー 継承(字幕版)

タイトル  へレディタリー/継承 (Hereditary)
監督 アリ・アスター
公開 2018年11月30日
製作国 アメリカ
時間 2時間7分

Rotten Tomatoes

あらすじ

(引用:MIHOシネマ

継承

母が亡くなり母の葬儀を済ませた娘アニーは、母の遺品の中から「スピリチュアリズムについて」という本を見つけます。
そしてその本の中には母からアニーへの手紙が隠されていました。

アニーは「犠牲は恩恵のためにある」と書かれたその手紙を見ますが、そのまま手紙を元に戻してしまいました。

しかしこの母の言葉が全てを意味していたのです。

アニーの家族はあることを継承していました。

アニーの母エレンは、「地獄の王ペイモン」を崇拝していて、彼女はペイモンの妻にあたる王妃でした。
エレンの家系はペイモンの肉体を宿す定められた者の家系だったのです。

ペイモンを宿すために肉体を差し出すことがエレンがアニーに伝えた「犠牲」でした。

エレンは息子(アニーの兄)の肉体にペイモンを宿らせようとします。
しかし兄は16歳の時に自殺してしまいました。
この時、兄は「母さんが僕の中に何かを招き入れた」という遺書を残しています。

実はエレンは息子の体の中にペイモンを宿らせたのですが、息子が自殺した事でペイモンは肉体を失ってしまっていたのです。

息子が亡くなてしまった後、その血を引き継ぐのは娘のアニー。
しかし、ペイモンの体は男性の肉体にしか宿ることができません。

ペイモンが宿る肉体を持っている者、それはアニーの息子ピーターだったのです。

地獄の王ペイモン

母エレンや母の友人ジョーンが崇拝していた「地獄の王ペイモン」。
ペイモンとはヨーロッパに伝わる悪魔のことです。

ペイモンのシンボルマークをエレンやアニーはネックレスとしてつけていました。
もちろん最初の時点でアニーはそんなことは知らずに、あのネックレスをつけています。

地獄の王ペイモンはある儀式を行なった後に、定められた者の肉体に宿るとされていました。
ただし王は男であるために、宿るためには男の肉体が必要です。

だからエレンは孫娘のチャーリーに「男だったらよかった」と言っていたのです。

しかし実はチャーリーの中にはすでにペイモンが宿っていました
それは彼女の家系がその血筋だからでしょう。

ただしチャーリーは女性なので、ペイモンはチャーリーの肉体を操ることができません。
そこでチャーリーの体からペイモンを解放し、ピーターの体に宿らせることが必要だったのです。

そのためチャーリーは亡くなってしまいます。
チャーリーの死は事故でしたが、彼女が頭をぶつけた電柱にはペイモンのシンボルマークが掘られていました。

あれは事故ではなく、必然だったのかもしれません。

チャーリーが亡くなったことでチャーリーの肉体からペイモンは解放され、新たな肉体ピーターに宿ろうとしたのです。

アニーが見つけた本の中には「王の臣下への財宝」と書かれたページもありました。
これはペイモンの臣下には財宝が与えられるということになります。

この臣下とはペイモンがピーターの肉体に宿った時、彼の周りでひれ伏していた人たちのことです。
彼らは財宝を得るためにも、ペイモンをピーターの肉体に宿らせる必要があったのです。

さらにアニーが見つけた本の中にはペイモンの姿が描かれていた、ペイモンは腰に首を3つぶら下げていました。
ペイモンを召喚するためには、男性の肉体を3つの首が必要だったのです。

その3つの首がエレン・アニー・チャーリーの首だったのです。

亡くなったエレンの死体から首が切断されていましたし、アニーは自らロープで首を切断します。
そしてチャーリーは事故で首を切断しました。

3つの首がそろった時、ペイモンはピーターの肉体に宿りました。
アニーの首が床に転がった音がした後、地面に横たわるピーターの肉体に光(ペイモンの魂)が入っていきました。

こうしてペイモンは男性の肉体に宿り、ついに召喚したのです。

まとめ

アニーが知らないうちに母から継承されていたもの。

それは地獄の王を召喚させるために肉体でした。

アニーはそれに気がつきなんとかそれを終わらせようとしますが、それは絶対に逃れることのできない運命でした。

自分の力ではどうにもできないこと。

それは先祖代々引き継がれている「遺伝」なのです。

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