映画『グッドナイト&グッドラック』あらすじと解説 自由のために真実を放送し続けたキャスター

「赤狩り」によって自由に発言すらできない中、自由を取り戻すために戦ったキャスター、エド・マーロー。この映画で描かれていることが過去の出来事と思うのか、それとも現代にも通じていると考えるのか?マーローのメッセージが頭に残ります。

目次

『グッドナイト&グッドラック』作品情報

タイトル グッドナイト&グッドラック(Good Night, and Good Luck)
監督 ジョージ・クルーニー
公開 2006年5月13日
製作国 アメリカ
時間 1時間33分

Rotten Tomatoes

『グッドナイト&グッドラック』あらすじ


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1953年、米ソの冷戦が激しさを増す中、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員を旗頭に、国内の共産主義者の徹底した排除活動が行なわれていた。

その標的は、いまや政府に少しでも楯突く者すべてに及んでいた。

一般の市民はおろか、マスコミさえもが恐怖の前に沈黙してしまう。

そんな中、CBSの人気キャスター、エド・マローとプロデューサーのフレッド・フレンドリーは、番組内でマッカーシーの欺瞞を暴き、彼こそが自由の敵であると訴える内容の放送に踏み切るのだった。

そして、その反響は概ね好意的に受け取られる。これに対し、マッカーシー側もCBSへ反論と圧力を掛けてくるのだが…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=323374)

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マッカーシズムの台頭

出典:IMDb

1940年〜19050年台にかけてアメリカはソ連などの共産主義への恐怖が広まっていました。
下院非米活動委員会が、共産党主義者や共産党に関わったとこのある人たちを追放するという「赤狩り」が行われていました。

その動きは上院でも起こり上院議員のジョセフ・マッカーシーの「国務省に205人の共産党員がいる」という発言に繋がります。

この発言の真意は分からないままでしたが、当時のマスコミはマッカーシー議員の発言を批判することはほとんどありませんでした。
それは批判すれば自分たちも共産主義もしくはその仲間だとみなされ、職を失ってしまうからでした。

国民への影響からハリウッドは「赤狩り」の標的とされます。
共産主義に関わっているとみなされた人たちは、委員会に呼ばれ尋問されたのでした。

「赤狩り」をはじめとする反共産主義運動をマッカーシズムと呼ばれています。

自由の国アメリカがマッカーシズムにより、逆に自由を奪われてしまうという事態になってしまったのです。

一度共産党に関係しているとみなされると徹底的に潰されます。
そんな恐怖がはびこる1950年代のアメリカで、マッカーシーと戦ったのが『グッドナイト&グッドラック』の主人公エド・マーローだったのです。

CBSキャスター エド・マーロー

出典:IMDb

アメリカのテレビ局CBSのキャスターとして活躍していたエド・マーロー。
彼は自身の番組「See it Now」で、マッカーシズムによって空軍から除隊勧告された中尉を取り上げます。

父親と姉が共産主義者だという告発で除隊勧告された中尉。
しかもその内部告発は真実かどう公表されなかったのです。
この空軍の決定に理不尽さを感じらマーローは、自分の番組で放送したのでした。

さらにその後マッカーシー自身を番組内で取り上げます。
彼の過去の発言を放送し、マッカーシーのやり方を痛烈に批判します。

マスコミがマッカシーを正面から批判した最初の出来事でもありました。

放送された内容に不満を持ったマッカーシーはその後「See it Now」に出演し、番組への批判とマーロー自身への批判を行います。
マーローが共産主義者と関係があると言い、ソ連と繋がっていると発言したのでした。

マーローはこのマッカーシーの内容に、事実ではないと反論します。
このマーローの発言により、マッカーシーの嘘で塗り固められた違法な手法が露呈することになったのです。

そしてここからマスコミのマッカーシーへの批判が続出することになり、マッカーシーは追い込まれていくのでした。

マッカーシズムの終わりを導いたのがマーローでもあったのです。
真実を報道することを貫き権力に負けなかったのがエド・マーローなのです。
そこにはキャスターとしての意地とプライドがあったのでした。

まとめ

ハリウッドの負の歴史とも言われている「赤狩り」。

それに真っ向から立ち向かったキャスター、エド・マーローについてがいた映画が『グッドナイト&グッドラック』です。

「自由を守る」と言いながら自由を奪っていたマッカーシズム。

1950年台の出来事ですが、ここから私たちは本当に変わることができたのでしょうか?

ラストでマーローが「娯楽番組に意味があるのか」と語った言葉がとても印象に残ります。

現代のテレビにも共通することなのかもしれません。

 

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