香港で詠春拳を広め続けているイップ・マン。そんな彼の前に同じ詠春拳の使い手チョン・ティンチが現れます。正統な詠春拳の使い手としてイップ・マンに戦いを挑むチョン。しかしイップ・マンは、自分のそばでずっと支えて続けてくれた大切な人といることを選んだのです。それは武道家イップ・マンが初めて見せた夫としての姿でした。
『イップ・マン 継承』作品情報
タイトル | イップ・マン 継承(葉問3) |
監督 | ウィルソン・イップ |
公開 | 2017年4月22日 |
製作国 | 香港/中国 |
時間 | 1時間45分 |
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あらすじ
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1959年、好景気に沸く香港。
イップ・マンは最愛の妻ウィンシンと小学生の息子とこの町に暮らし、詠春拳の普及に努めていた。
そんな中、町では裏社会を牛耳る不動産王フランクが、小学校の土地を狙って悪行を重ねていた。
イップ・マンは学校に放火しようとしていたフランクの手下を見つけ、これを撃退する。
その時戦いに協力したのが、息子が同じ学校に通うチョン。
彼もまた詠春拳の達人だったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/359284)
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詠春拳の歴史
香港で葉問派詠春拳を広めるイップ・マン。
弟子の数も増え、今では香港で知らない人はいないほど有名人になっていました。
そんなイップ・マンの前に現れた同じ詠春拳の使い手チョン・ティンチ。
彼はイップ・マンとは師匠が違いますが、2人は梁贊の孫弟子として兄弟弟子のような関係にありました。
イップ・マンの師匠は陳華順。
その陳華順の師匠が梁贊です。
佛山で始まった詠春拳は武館を開かず、数人の間で行われていた拳法でした。
外に広めることをせず、密かに継承されていました。
そんな詠春拳を初めて外に広めたとされているのが梁贊です。
しかし彼もまた武館を開くことはなく、自分の子供や数人の弟子に詠春拳を教えていたのです。
その弟子の中にイップ・マンの師匠である陳華順がいたのです。
映画の中でチョンの師匠の名前は語られていませんが、きっとこの数人の弟子の中にチョンの師匠もいたはずです。
それまで武館を開かずに継承されていた詠春拳でしたが、陳華順が詠春拳で初めて武館を開きます。
そしてそれがイップ・マンへと継承され、やがて世界中に広まる武術へとなっていたのです。
夫として父として
これまで武術家として「儒教」の教えにならい、振る舞ってきたイップ・マン。
同胞や友人のためにたくさんの戦いに挑んできたのがイップ・マンです。
人と思いやり常に謙虚であったイップ・マンは、詠春拳の師匠として武術家として多くの人に慕われる存在になっていました。
そんなイップ・マンを支え続けてきた家族。
貧しくても何があっても常にイップ・マンの味方でした。
戦う夫のために献身的に支え続けた妻ウィンシン。
イップ・マンが武術に打ち込めたのも全ては彼女のおかげでした。
これまで武術家として生き続けてきたイップ・マンでしたが、彼は初めて自分のそばに居続けてくれた大切な人の存在に気がつきます。
そして彼は初めて夫として父親としての顔を見せたのです。
子供のためであれば武器を捨て土下座をするイップ・マン。
それは彼が常々実践していた、戦うことだけが武術ではいという姿勢でもありました。
また妻に寄り添うために戦うことをやめたイップ・マン。
それは勝負が1番ではないという彼の理念でもありました。
一方、これまでずっと夫を支えてきた妻は、武術家としての夫を尊重し愛しています。
そんな夫のために、妻ウィンシンは挑戦を受けてほしいと願ったのです。
それもまた彼女の夫への愛だったのです。
まとめ
武術家として戦い続けてきたイップ・マン。
そのイップ・マンが初めて家族と向き合った物語が映画『イップ・マン 継承』です。
イップ・マンが受け継ぎ継承してきた詠春拳を裏で支えていたのは、イップ・マンのそばにずっといた1人の女性です。
彼女のおかげでイップ・マンは詠春拳を広め続けることができたのです。