アメリカの映画史上最高傑作の1つとされている映画『市民ケーン』。しかしそれは実在するウィリアム・ランドルフ・ハーストとその愛人マリオン・デイヴィスをモデルとした映画でした。当時新聞王と言われメディアを牛耳っていたハースト。モデルにされ人生を暴かれたハーストはなんとしても映画を公開させないように、色んな手段を講じるのでした。
『ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実』作品情報
タイトル | ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実(RKO 281) |
監督 | ベンジャミン・ロス |
公開 | 2000年9月28日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間26分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1940年。ニューヨークの演劇界とラジオ・メディアを揺るがし、天才と謳われた24歳の若きオーソン・ウェルズは、RKO社長のシェーファーから破格の条件を受けてハリウッドに登場。
破天荒な新聞王ハーストをモデルとする作品を思いついた彼は、早速脚本の推敲に。
“RKO281”、後の「市民ケーン」プロジェクトが動き始めた…。
(出典:https://eiga.com/movie/80789/)
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オーソン・ウェルズ
映画『市民ケーン』の監督として知られるオーソン・ウェルズ。
彼は若干24歳で『市民ケーン』の監督となりました。
それまで舞台俳優として活躍していたオーソン・ウェルズでしたが、彼が有名になったのはラジオドラマ『宇宙戦争』でした。
このラジオドラマは臨時ニュース形式で始まったため、ラジオドラマを聞いていたリスナーが本当の出来事だと勘違いしパニックになる事件が起きてしまったのです。
映画『ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実』ではその事件に関して、オーソン・ウェルズが誤っている姿も描かれています。
若くして神童や天才と呼ばれたオーソンが、ついにハリウッドにやってきて映画を手掛けることになります。
しかも監督・製作・主演・脚本と映画の全権を握ることになったオーソン・ウェルズ。
なかなか映画を作ることができない中、やっと手掛けたのが『市民ケーン』だったのです。
脚本家のマンクとともに彼がケーンのモデルにしたのは当時新聞王としてメディアを牛耳っていたウィリアム・ランドルフ・ハーストです。
しかも彼はメディアだけでなく政界にも強い繋がりも持っている人物でした。
なぜなら彼が新聞に取り上げることで嘘でさえも真実になってしまうからでした。
そんな権力を持ったハーストに真っ向から勝負を挑んだのが、オーソン・ウェルズだったのです。
メディア王ハースト
映画『市民ケーン』のモデルとなった実在した新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト。
彼には女優の愛人マリオン・デイヴィスがいてお城に住んでいてと、ケーンと重なる部分がたくさんありました。
マリオン自身が映画の中でオペラ歌手と女優が違うだけと分析しているように、誰が見てもハーストやマリオンのことだと分かる内容になっています。
しかも『市民ケーン』の中でケーンが最後に残した言葉「薔薇のつぼみ」。
この言葉が映画のキーワードとなっていたのですが、それを知るとハーストは怒り狂います。
なぜなら「rosebud」とは、ハーストのとてもプライベートなことだったからです。
怒ったハーストはその権力を使い、『市民ケーン』の公開を止めようとします。
アメリカで初の映画コラムニストとされるルエラ・パーソンズを使って映画を妨害しようとしたのです。
メディアの力を使って、当時の映画会社の社長達を脅すほどでした。
しかし結局、『市民ケーン』は公開されます。
そしてアカデミー賞で脚本賞を受賞することになりました。
ただし映画自体の当時の興行成績は失敗に終わったようです。
まとめ
映画『市民ケーン』の裏側を描いた作品『ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実』。
この作品を見ると、当時のハーストの権力の凄さを知ることができます。
それと同時になぜオーソン・ウェルズがハーストをモデルにしたかったのか。
そんな『市民ケーン』の製作事情や公開中止に追い込もうとするハーストの行動など、『市民ケーン』の裏側で起きていた壮絶な戦いを見ることが出来るのです。
そして改めて『市民ケーン』の凄さに気づかされるのでした。