新聞王となりアメリカ一のお金持ちにまで上り詰めたチャールズ・フォスター・ケーン。怖いもの無しの存在となったケーンは自らの新聞を利用してアメリカだけでなく世界おも動かそうとしています。そんな絶対的な地位とお金を手にしたケーンでしたが、手に入れたもの全てを失ったのがケーンでもあったのです。
『市民ケーン』作品情報
タイトル | 市民ケーン(Citizen Kane) |
監督 | オーソン・ウェルズ |
公開 | 1941年5月1日(アメリカ)1966年6月14日(日本) |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間59分 |
Rotten Tomatoes
[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・脚本賞[/box]
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
ケーンの生涯
金鉱の権利書
ケーンの母親は「ミセス・ケーンの宿」を経営していましたが、1868年ある男から家賃の代わりに権利書をもらいます。
実はその権利書は実は廃鉱の権利書でしたが、それはコロラド鉱山の権利書だったのです。
その権利書のおかげでお金持ちになったケーンの母親は、なんと息子を銀行家のサッチャー氏に預けたのです。
25歳になったらケーンは全ての財産を相続するという契約の元、1871年幼いケーンは両親と離れることになってしまったのでした。
新聞王ケーン
それから時が流れ25歳になったケーンは契約通り前財産を相続します。
しかし彼は相続した財産のほとんどに興味を示さず、彼が興味を示したのは新聞社インクワイラー社だけでした。
しかしこれがケーンの輝かしい人生の始まりになったのです。
新聞社を相続したケーンは、その新聞に自由に記事を書き世界を動かすほどの存在となっていきます。
それはスペインとの戦争を起こすほどにもなってしまったのです。
NYで1番の発行部数を誇る新聞王となったケーンにはもはや怖いものなどありませんでした。
やがて大統領の姪と結婚したケーンは、のちに大統領になると誰もが思う存在になっていたのです。
州知事に立候補
新聞王となり注目されるようになったケーンは、政界への進出を目指します。
彼はNYの州知事になろうとしたのです。
新聞を使って自由に世論を操るケーン。
彼は州知事に当選すること間違いなしだと思われていましたが、愛人女性がいることが発覚し州知事になることができませんでした。
妻とのなかは冷め切っていたとはいえ、息子を守るために州知事を辞退することもできたケーン。
しかし彼は自分の名誉を傷つけることになる行動は取りませんでした。
スキャンダル が発覚しても問題ないと思っていましたが、世間はケーンを州知事には選びませんでした。
これがケーンが味わった始めての挫折でした。
しかしここから一気にケーンは人生を転がり落ちていくことになってしまいました。
愛人がいたことがバレて妻は息子を連れてさっていきます。
しかもその妻と息子は後に事故で亡くなってしまったのでした。
ザナドゥ城の城主ケーン
妻と別れ愛人だった歌手と結婚したケーンですが、この結婚生活もうまくいきません。
妻は自分が歌が上手くないと悟り、歌を歌いたくなかったのですがケーンは妻がオペラを辞めることを許しませんでした。
自分のために歌い続けることを強制しました。
この頃親友だったリーランドとも仲が悪くなります。
自分のことしか考えないケーンにリーランドは愛想を尽かし始めていたのでした。
そしてついにリーランドはケーンの元を去ります。
最後はケーンの妻の舞台を新聞で酷評して去っていきました。
さらに歌を歌い続けることに疲れ、城の中に閉じ込められてしまった妻もまたケーンの元を去っていきました。
彼は出ていく妻に「俺を傷つけないでくれ」とお願いします。
彼は最後まで自分のことだけしか考えない人間になってしまっていたのです。
幼い頃雪の中で無邪気に遊んでいた少年は、70年生きてきて周囲には誰もいなくなっていました。
家族も友人も。
彼の周りにあるのは高い彫刻や骨董品ばかりでした。
晩年のケーンはザナドゥ城の中で寂しく暮らしていたのです。
彼が亡くなると唯一彼の周りにあった高級品も、燃やされて処分されてしまいます。
新聞王ケーンは富と名声を手に入れましたが、彼の周りには何も残りませんでした。
彼は手に入れたものを全て失ってしまったのでした。
まとめ
ケーンの残した「薔薇のつぼみ」と言う言葉をたどるうちに見えてきた新聞王ケーンの人生。
それは誰もが羨む豪華で贅沢な暮らしでしたが、彼の周りには誰もいませんでした。
ケーンはお金で買えるものは全て手に入れましたが、それ以上に大切なものお金で買えないものを失っていたのです。
一度は手に入れたはずの愛する人や親友。
しかし彼は自分だけを愛し続けたことで、全てを失ってしまいました。
それが新聞王ケーンの人生でした。