アルフォンソ・キュアロン監督の作品Netflix映画『ROMA/ローマ』は、キュアロン監督が幼い頃お世話になったお手伝いさんリボさんへ捧げた映画でした。子供の頃知らなかった事、気がつかなかった事を監督となった今描き出したキュアロンの自伝的映画となっています。
『ROMA/ローマ』作品情報
タイトル | ROMA/ローマ(Roma) |
監督 | アルフォンソ・キュアロン |
公開 | 2018年12月14日 |
製作国 | メキシコ |
時間 | 2時間15分 |
Rotten Tomatoes
『ROMA/ローマ』のあらすじ
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70年代初頭のメキシコシティ。
医者の夫アントニオと妻ソフィア、彼らの4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で家政婦として働く若い女性クレオは、子どもたちの世話や家事に追われる日々を送っていた。
そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟である青年フェルミンと恋に落ちる。
一方、アントニオは長期の海外出張へ行くことになり……
(出典:https://eiga.com/movie/89560/)
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メキシコシティで育ったキュアロン監督の自伝的映画で、彼の家にいたお手伝いさんを中心に描かれた物語です。
お手伝いとして働くクレオの背後に見える当時のメキシコ情勢と、クレアやソフィ一家がたどる運命と重なり切ない物語になっています。
アルフォンソ・キュアロン監督
『ROMA/ローマ』の監督アルフォンソ・キュアロンは2013年の『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞監督賞を受賞した監督です。
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そんな監督が育ったメキシコシティ。
彼の父親は原子物理学者で、彼は裕福な家に生まれ育ちました。
子供の頃に家にいたお手伝いのリボ。
彼はこのリボと多くの時間をともに過ごします。
『ROMA/ローマ』の中で子供たちはお手伝いのクレオと映画を見に行きます。
その映画は1969年に公開された『宇宙からの脱出』という映画です。
これは実際にリボさんに連れられてキュアロン監督が見た映画です。
この映画を元に、のちにキュアロン監督は『ゼロ・グラビティ』を作ることになります。
リボさんは映画監督キュアロンの人生に大きく関わった人だったのです。
キュアロン監督は『ROMA/ローマ』を作る時に、リボさんと会い何時間も当時の話を聞いたと言っています。
そのリボさんの話と監督自身の記憶を元に作られたのが、『ROMA/ローマ』です。
だから監督の自伝映画とも言えるのです。
1970年ごろのメキシコの情勢
メキシコは1920年から71年間、PRI(制度的革命党)が政権を握ります。
事実的な独裁政党時代だったのです。
『ROMA/ローマ』の時代はちょうどこの時代に当たります。
街にPRIのポスターが貼られているのも映ります。
1976年に大統領に就任したホセ・ポルティーヨの時代のメキシコは混沌としていました。
映画の中でクレオが恋人のフェルミンを探して着いた町は、インフラも整備されていない町でした。
格差社会が浮き彫りになり、住民の不満がつもり始めていた時代です。
それが反政府運動につながって行きます。
クレオの恋人のフェルミンはそんな反政府運動を抑えるグループに所属していたのです。
クレオがデパートにいるときに起こった銃撃戦。
あれは反政府運動を政府が抑えようとして起こった銃撃戦でした。
フェルミンは銃を持ってクレオの前に現れます。
彼は銃で反政府運動をする人を抑圧していたのでした。
『ROMA/ローマ』の時代背景はそんな混沌としたメキシコが描かれてもいるのでした。
まとめ
アルフォンソ・キュアロン監督が自分の幼い頃の出来事を、お手伝いクレオの視線で描いた映画『ROMA/ローマ』。
子供の頃には気がつかなかった格差社会や、政治状況なども描かれています。
そして監督はこの映画を通して自分を育ててくれた、リボさんに感謝を捧げたかったのです。
モノクロで描かれた物語は、痛いくらい切ない映画になっていました。