細田監督の作る作品のテーマ「家族」。2009年の『サマーウォーズ』でも家族の繋がりというものが大きく描かれていますが、それと同時にネットの世界でつながる家族以外のつながりについて描かれていました。身内が招いた事件を解決したのは、家族以外のつながりでした。
『サマーウォーズ』作品情報
タイトル | サマーウォーズ |
監督 | 細田守 |
公開 | 2009年8月1日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間54分 |
『サマーウォーズ』あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
家族とネットの世界
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栄おばあちゃんを筆頭に、家族の繋がりを大切にする陣内家。
室町時代から代々続く由緒ある家柄で、その繋がりをとても大切にしている家族です。
そんな陣内家に紛れ込んのが全く血の繋がりのない健二。
家族の勢いに圧倒されながらも経験したことない時間を楽しんでいました。
しかし賢二が解いてしまった暗号が世界を窮地に陥れます。
それはネットの世界の中で起こっていました。
大家族ではあるが家族という小さなものと、彼らが戦うことになるネットの世界という巨大なもの。
しかもそのネットの世界で暴れまわるAIを作り出したのは、身内の侘助でした。
家族とネットの世界を交互に表現することで、家族の大きさや小ささとパソコンや携帯という小さなものの中で繰り広げられる巨大なものを対比させています。
どちらのものも持ち合わせる大小の関係。
ネットで世界の大きさを見せること家族が小さくて無力なものだと感じてしまいますが、同時にその小さなものの中の大きな繋がりを感じることできました。
ラストは家族以外のつながり
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「身内が起こしたことは私たち一家でカタをつけるよ!」というおばあちゃん。
その言葉を胸に陣内家は総動員でA.I.のラブマシーンと戦います。
ラブマシーンを開発した侘助も家族の一員となり、みんなとともに戦います。
おじいちゃんの愛人の子供だった侘助。
家族に対する劣等感を嫉妬感じて生きていましたが、この時彼は初めて家族に迎え入れられたのです。
それは栄おばあちゃんの願いでもありました。
もちろんそこには家族ではない健二もいます。
健二も加わり必死にラブマシーンと戦いますが、圧倒的な数の差で負けてしまいそうです。
これ以上戦うことができなくなってしまった夏希を助けてくれたのは、家族ではない見知らぬ人たちでした。
国も人種も違う世界中の人たち。
ネットの世界でつながる彼らが、夏希に手を貸してくれたのでした。
彼らの力を借りてラブマシーンを倒すことができた夏希たち陣内家だったのです。
感想
細田監督の作品はどれも家族や血のつながりをテーマにしていて、現代の家族のあり方を私たちに問いかけています。
『サマーウォーズ』も同様に血のつながりを描いた映画でしたが、ネットの世界を描くことで家族以外のつながりを感じる作品でもありました。
しかも最後世界を救ったのは陣内家だけでなく、世界中の血のつながりもない人たちです。
夏希に力を貸してくれた人たちは「私たち家族を助けて」というメッセージを伝えます。
どこにいてもどこの国でも家族を思う気持ちは同じなのです。
また家族を思う気持ちが血のつながりを超えて助け合うことができると感じました。
それは人間は紐解いていけばみんな繋がっているということでもあるのです。
『サマーウォーズ』は家族の繋がりを描きながら、それ以外のつながりの大切さを描いている作品にもなっていました。
それはまた他人だった健二が陣内家に馴染んでいく様子にも繋がっていると思います。
そして侘助を受け入れたことも同じです。
家族への思いは内側でなく外側に目を向けて他人を受け入れていけば、平和な世界に繋がっていくはずだというメッセージにもなっていると思える作品が『サマーウォーズでした。