麻薬取引の現場でたまたまお金を見つけたモス。お金を持って逃げたことから殺し屋のシガーに追いかけられることになってしまいます。残虐的なシガーとどんな対決になるのかと思うとびっくりするようなラストが待っていました。果たしてシガーの正体とは?
『ノーカントリー』作品情報
タイトル | ノーカントリー(No Country for Old Men) |
監督 | ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン |
公開 | 2008年3月15日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間02分 |
Rotten Tomatoes
『ノーカントリー』あらすじ
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人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。
複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。
その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となるが、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。
一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスが最悪の事件に巻き込まれたことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていく事態に直面し、苦悩と悲嘆を深めていく…。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=328975)
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不気味で恐怖しかない男シガー
容赦無く人を殺しまくる男シガー。
しかもその殺し方も残虐的ですが、シガーは全く表情を変えません。
感情がないのがシガーなのです。
盗まれてしまったお金をただ追いかけるのが彼の任務なのです。
その際であった人物を次々と殺していきます。
しかしその殺しも彼はコイントスで決めてしまうほどです。
ガソリンスタンドの店主はコイントスで「表」と当てたため殺されすにすみました。
彼にとって全てが二者択一しかないのです。
そんな恐ろしい男シガー。
果たして彼はなんだったのでしょうか?
彼は自分の力ではどうすることもできない事柄を象徴しています。
天災や事故などの象徴なのです。
巻き込まれるかどうかは誰にもわからない。
そしてそれによって死ぬかどうかもわかりません。
そんな人間にはどうすることもできない運命を表しているのです。
だから必死にシガーから逃げていたモスは、シガーには関係ない男たちに殺されてしまいます。
そしてシガー自身も自動車事故に巻き込まれてしまいます。
誰もがシガーとモスの対決、もしくはモスを探す保安官ベルとの対決があるのではと思いながら結末を予想していますが、『ノーカントリー』にはそんな結末は起こりません。
予想外の結末に驚いた人も多かったと思いますが、コーエン兄弟は『ノーカントリー』でサスペンス映画を描いたのではなく、人の運命や偶然について描いたのでした。
保安官ベルの言葉
ベルの言葉で始まりベルの言葉で終わる『ノーカントリー』。
映画のタイトルは原題は『No Country for Old Men』です。
「老いた男のための土地はない」と言う意味です。
それを代弁していたのが保安官ベルです。
ベルは変わり続ける悪を見続けている保安官。
どんどん暴力的になる世界に絶望的になっています。
歳をとり保安官を引退しようと考えていました。
モスの死に方を見ても絶望しか自分の力のなさを感じてしまいます。
しかし彼は叔父の家で「変えられると思うのは思い上がりだ」と言われてしまいます。
絶望の中にいたベルでしたが、彼が見た夢は少しだけ希望のあるものでした。
「俺が行く先には親父がいる」
火を持って先に進んだお父さん。
人生は厳しくて絶望的だけど行き続けなくてはいけない。
その先には希望があるから。
まとめ
コーエン兄弟の描くバイオレンス映画『ノーカントリー』。
マフィアとお金の残虐的な映画かと思われますが、そこには人生の深い物語が描かれていました。
自分の力ではどうにもできない運命。
そしてその運命は変えることができない。
それでも人間は行き続ける。
その先にきっと希望があるから。
人間の生きる意味を問う神話的な映画になっていました。