1950年代にハリウッドで行われていた赤狩りを元にして作られた映画『マジェスティック』。信念のなかった男があることをきっかけに信念をもち、政府と戦った物語です。今の時代にも当てはまる「自由の国アメリカ」の本来の意味について描かれています。
『マジェスティック』作品情報
タイトル | マジェスティック(The Majestic) |
監督 | フランク・ダラボン |
公開 | 2002年6月22日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間32分 |
Rotten Tomatoes
『マジェスティック』あらすじ
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51年、赤狩りの気配が忍び寄るハリウッド。
新進脚本家ピーターは交通事故で記憶を失い、小さな町にたどり着く。彼を見て戦争から帰った息子だと思いこんだ老人は、彼とともに、休館中の老朽化した映画館マジェスティックを再建しようとする。
(出典:https://eiga.com/movie/1118/)
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ハリウッドの赤狩り
1950年代に行われていた「赤狩り」。
第二次世界大戦後ソ連とアメリカの間が冷戦状態になった時、アメリカは共産主義者や共産主義を支持する人を追放しようとしました。
該当する人物を尋問するということが行われていたのです。
その流れはハリウッドでも起き、名前の上がってしまった映画関係者は非米活動委員会に呼ばれ、証言しなくてはいけませんでした、
共産党員だとなればハリウッドから追放されて映画を作れなくなってしまいます。
共産党員として活動している仲間の名前をあげれば、追放されずに映画を作れるのですが仲間を裏切らなければなりません。
どちらにおいても苦しい状況に代わりはありませんが、これは実際にハリウッドで起きていたことです。
仲間の名前を挙げた人たちもいますし、ハリウッドから追放された人もいます。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』では、赤狩りでハリウッドから追放されたダルトン・トランボのことを描いています。
映画の中で脚本家のピーターは実際は共産党員ではなかったのですが、学生時代に共産党の党大会に参加したため非米活動委員会に呼ばれる事になってしまったのです。
みんなが求めていた奇跡の生還
車ごと橋から落ちてしまい記憶を失ったピーター。
彼はローソンという街に流されてしまい、そこの住民に助けられました。
戦争で多くの若者を失ってしまったローソン。
ローソンの住民達は、記憶のないピーターを戦争に行って行方不明になっていたルークと勘違いしてしまいます。
ピーターは自分が一体誰なのかわかりませんでしたが、ローソンの街でルークとして生き始めます。
しかし住民の中にはルークではないことに気がついていた人もいました。
それでも彼をルークとして受け入れたのには、この街にはヒーローが必要だったからです。
若者を失い寂れてしまっ街ローソン。
奇跡が起こることで住民達が1つになり、街に活気が戻ったのでした。
その奇跡がルークの生還だったのです。
ピーター自身もルークになり、ヒーローに成り切っていたのです。
しかし彼はルークではありません。
記憶が戻り自分ばピーターだったことを思い出してしまったのでした。
ピーターとしての戦い
ピーターとしての記憶が戻り非米活動委員会に呼ばれたピーター。
彼は映画を作り続けるためにも、弁護士の用意した声明文を読むつもりでいました。
しかしルークの生き方知ったピーターは、嘘の声明文を読むことができませんでした。
ピーターは「アメリカの自由」について語ったのです。
ピーターが引用したアメリカ合衆国憲法修正第1条。
[box class=”red_box” title=””]議会は、国教の樹立を支援する法律を立てることも、宗教の自由行使を禁じることもできない。 表現の自由、あるいは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済のために請願する権利を制限することもできない。
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さらに彼はルーク達のようにアメリカのために戦かった人たちの想いも語ったのでした。
まとめ
2002年に作られた映画『マジェスティック』。
自由が禁止されていた時代のことを描いていますが、いまの現在でも起きていることもしくはその頃に戻りつつある現代に当てはまるように感じる映画です。
だからこそ今観るべき映画だとも言えます。
偏った考えになりつつある今の時代に警鐘となる作品かもしれません。