サンディエゴで開催されるコミコンとUFOスポット巡りにやってきた2人のイギリス人は、SFが大好きで映画オタクでした。そんな彼らが宇宙人と出会って旅をする物語が映画『宇宙人ポール』です。ここでは映画の中に登場した彼らの好きな映画を紹介していきます。
『宇宙人ポール』作品情報
タイトル | 宇宙人ポール (Paul) |
監督 | グレッグ・モットーラ |
公開 | 2011年12月23日 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
時間 | 1時間44分 |
スピルーバーグ愛
SFと映画好きのイギリス青年グレアムとクライヴを描いた物語『宇宙人ポール』は、グレアムとクライヴを演じたサイモン・ペッグとニック・フロストが脚本を務めていてます。
主人公の2人同様にSF映画が大好きな2人は、『宇宙人ポール』の中で彼らの大好きなスティーヴン・スピルバーグ監督への愛を爆発させています。
E.T.
『宇宙人ポール』の中では、1980年に映画『E .T.』を製作中のスピルバーグ監督にアドバイスを与えたのは、宇宙人のポールになっています。
ポールはスピルバーグ監督とE .T.の「治癒能力」や「指先が光る」について話し合っていました。
ちなみにこの時スピーカーから聞こえてくる声は本物のスピルバーグ監督で、サイモン・ペッグとニック・フロストの愛に応えカメオ出演していたのです。
未知との遭遇
政府から逃げるポールが向かった先、それはデビルスタワーでした。
このデビルスタワーはスピルバーグ監督の映画『未知との遭遇』でUFOがやってきた場所です。
デビルスタワーを見たグレアムとクライヴの2人は興奮気味に「やっぱり」と納得していました。
この場所仲間のUFOを呼ぶポールは花火を打ち上げますが、その時打ち上げた花火は「THE FIVE TONES」という花火です。
これは映画『未知との遭遇』の中で宇宙人とコミニケーションを取るのに使われた5つの音を示しています。
オタク青年の映画愛
グレアムとクライヴが好きな映画はスピルバーグ監督の作品だけではありません。
UFOスポット巡りに向かった2人が、まず訪ねた場所はヴァスケス・ロック。
ここで2人は宇宙大作戦ごっこをして楽しんでいました。
2人が楽しんでいたのは『宇宙大作戦』シーズン1の第18話「怪獣ゴーンとの対決」のシーンで、グレアムは怪獣ゴーンのマスクを被っていました。
グレアムはこのマスクをサンディエゴコミコンで購入していましたし、クライヴは時々クリゴン語を話していました。
その他にも車をぶつけた2人の男に追われていると思ったグレアムは、「まるで『脱出』みたいだ」と表現したり、
クライヴは追いかけてくるエージェントのことを「メン・イン・ブラック」と呼んでいます。
またポールが大衆文化に影響を与えた1つが「モルダー捜査官」と言いますが、これは「X-ファイル」に登場する捜査官のことです。
さらに、宇宙人ポールからカモフラージュ能力について説明されたグレアムは「プレデター的な」と答えていました。
グレアムの言葉にポールはプレデターの真似をして見せていましたが、起きる出来事を映画で表現するグレアムとクライヴを見ると2人がかなりの映画好きとうことが分かります。
クライヴは幼い頃に映画『マック』を見て、それ以来宇宙人に会うのが夢だったそうです。
そんなクライヴがどうしても欲しがっていたのが刀ですが、彼はその刀で最後戦おうとします。
その時「ブラインド・フューリー」と言いながら刀を抜きますが、この「ブラインド・フューリー」も映画のタイトルです。
散りばめられた映画愛
主人公の会話以外にも脚本したサイモン・ペッグとニック・フロストの映画愛が詰まっているのが映画『ポール』でもあります。
グレアムとクライヴとルースが入ったバー「レイズ」でバンドが演奏していた音楽は、映画『スター・ウォーズ エピソード4』の酒場(カンティーナ)でかかっていた音楽です。
『スターウォーズ』シリーズで言えば、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』に出てきたイウォークも、ポール達の会話に登場するだけでなく最後のコミコンのシーンでは姿も映っていました。
また、ポール達が途中で立ち寄った町で上映されていた映画は『イージー・ライダー』と『激突』です。
ポール達4人が夜森で焚き火を囲んで会話をするシーンは『イージー・ライダー』へのオマージュになっていて、またポール達が乗るRVと彼らを追いかける車のカーチェイスシーンは、『激突!』へのオマージュになっていました。
(ちなみに映画『激突!』の監督も、スティーヴン・スピルバーグです。)
それ以外にも新人エージェントは映画『ダーティハリー』の真似をしていたり、
ゾイル捜査官がポールとの別れ際に言った「ショート・ラウンド」は、映画『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(スティーヴン・スピルバーグ監督)に出てきた少年の名前です。
ちなみにゾイル捜査官の名前はロレンゾ・ゾイルでこの名前を聞いたグレアム達は驚いていましたが、それは映画『ロレンツォのオイル/命の詩』(Lorenzo’s Oil)と似ていたからでした。
まとめ
映画『宇宙人ポール』は映画オタクの主人公2人の物語でしたが、それは同時に主人公を演じ『宇宙人ポール』の脚本を務めたサイモン・ペッグとニック・フロストの映画愛が詰まった作品でもありました。
『宇宙人ポール』に登場した映画を見れば、彼らがどれだけSF好きかを感じ取ることができます。
どの作品もSFファンにとっては大切な作品なのです。