映画『イージー・ライダー』自由を追求し続けた若者の1960年代版西部劇


それまでのハリウッド映画の価値観を大きく変えた映画『イージー・ライダー』。

混乱する1960年代という時代とその中で葛藤する若者の姿を描いた作品は、馬をバイクに変えた西部劇でもありました。

映画『イージー・ライダー』には、当時のアメリカとそれに反抗する若者の姿が映し出されているのです。

目次

『イージー・ライダー』作品情報


イージー★ライダー (字幕版)

タイトル イージー・ライダー(Easy Rider)
監督 デニス・ホッパー
公開 1970年1月31日
製作国 アメリカ
時間 1時間35分

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1960年代版西部劇

若者が改造したバイクに乗りアメリカを横断する物語『イージー・ライダー』は、それまでのハリウッド映画を大きく変える作品となりました。

古き良き時代の終焉を意味する作品とも言われる『イージー・ライダー』ですが、実は監督のデニス・ホッパーはこの映画を西部劇と考えていました。

ジョン・フォードやハワード・ホークスの作品が好きだったデニス・ホッパーにとって、『イージー・ライダー』は馬をバイクに変えた1960年代の西部劇だったのです。

物語の中で2人の若者はロサンゼルスからニューオリンズまでバイクを走らせますが、その途中にはジョン・フォード映画に登場するモニュメント・バレーも映ります。

また若者2人の名前はイアット・アープビリー・ザ・キッドか元になっていることからもこの作品が西部劇風バイク映画だということが分かります。

ハリウッド映画に新しい風を吹き込んだ『イージー・ライダー』は古いアメリカを終わらせたのではなく、ハリウッドの歴史を元にしながら新たな価値観を生み出した作品だったのです。

1960年代のアメリカ

1960年代のアメリカ、特に『イージー・ライダー』が作られた1968年のアメリカ社会は混沌としていた時代でした。

公民権運動やベトナム反戦運動さらにはドラッグなどによる犯罪と、この時代のアメリカは暴動が多発していました。

しかしハリウッドではそんな混沌とした社会は描かれず、健全で従順な社会の映画ばかりが作られていました。

そんな時代の若者達であったピーター・フォンダやデニス・ホッパーは、自分達の新しい映画を作ろうとしたのです。

この映画のテーマでの1つである「長髪」。
それはこの時代の若者達の象徴で、それは大人や社会に対する反抗でもありました。

物語の中に「刑務所で髪を切られる」という話が出てきますが、その話は実際にテキサスで起きた出来事でした。

それほど当時若者長髪は敵対視されていたのです。

彼らの長髪は自由の象徴であり劇中のセリフにあるように自由を語ることはできても、自由な人を見ると恐れる人が多かったのです。

ただし、『イージー・ライダー』の中では若者2人もまた自由を求め彷徨っていました。

「自分達は自由だと思っていたけれども、本当は自由ではなかった。」

バイクで走り続けるうちに、ワイアットは真実に気がつきます。

ある意味彼らは自由を見失ってしまっていたのです。

ホラー作家のスティーヴン・キングは自身の著書『スタンド・バイ・ミー』の中で『イージー・ライダー』のことを「2人の男がアメリカを探しに出かけたが、どこにもアメリカは見つからなかった、という映画」と書いています。

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そんな当時のアメリカ社会を描いた『イージー・ライダー』には、当時のカルチャーも反映されています。

それが映画の中の音楽です。

劇中に登場する音楽と歌詞は物語を語っていて、音楽がストーリーの一部になっていました。

映画のために作られた音楽ではなく、当時彼らが耳にしていた音楽をあえて劇中で使用することで、1960年代を映画の中に閉じ込めました。

映像・音楽・ストーリーと全てにおいて1960年代という時代をリアルに描いた作品が『イージー・ライダー』でだからこそ、この映画は当時の人に受け入れられ大ヒットしたのです。

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イージー・ライダー

まとめ

アメリカン・ニューシネマの代表作とされる『イージ・ライダー』は、当時のアメリカ社会をリアルに描いた作品でそれは画期的なことでもありました。

ただそれは、それまでのハリウッド映画を大切に引き継ぎそこに1960年代の若者のカルチャーを反映させていました。

映画『イージー・ライダー』はこの時代の若者の痛みや葛藤を当時のポップカルチャーと共に描いたことで、多くの若者の心を掴み1960年代を代表する作品になったのです。

 

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