ゾンビの父と言われるジョージ・A・ロメロ監督の初監督作品が映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
そして、ここからロメロ監督のゾンビ作品がスタートしました。
ここではそんな映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』についてと、この作品に触れているいくつかの映画を紹介したいと思います。
▼この記事の動画版はこちらから▼
映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』作品情報
タイトル | ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(Night of the Living Dead) |
監督 | ジョージ・A・ロメロ |
公開 | 1968年10月1日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間36分 |
\\今すぐ無料視聴//
[btn class=”big rich_green”]『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を見る[/btn]
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』誕生まで
画期的なホラー作品と言われている映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
1968年に公開されたこの映画は、その内容から多くの人に衝撃を与える作品となりました。
そんな『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を作ったのはジョージ・A・ロメロ監督ですが、彼がこの作品を作るにあたって影響を受けた作品があります。
それは1954年に出版されたリチャード・マシスンによって書かれた小説『地球最後の男』(I Am Legend)です。
さらに、この作品を映像化した1964年公開の映画『地球最後の男』を見て、ロメロ監督は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の構想を練ったとされています。
『地球最後の男』ではウイルスに感染した死者が蘇り吸血鬼になって人間に襲いかかっていましたが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』では吸血鬼の代わりにゾンビが人間に襲いかかります。
ただし、映画の中では「ゾンビ」という言葉は出てきません。
物語の中では蘇った死者達は人間に襲いかかりその肉を食べることから、「食人鬼」と表現されていました。
新たなホラー映画
映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、「ゾンビ」が登場したことで有名な作品ですが、それと同時に新しいホラー映画としても話題を呼んだ作品です。
それはこの映画は数々のタブーを破った作品だったからです。
そしてそのタブーが観客に恐怖心と堪え難い思いを与えました。
[box class=”green_box” title=””]・死者が人間の肉を食べる
・死体を焼かなくてはいけない
・幼い子供が両親を殺す(さらにその肉を食べる)
・兄が妹を食べようと襲いかかる[/box]
これらのことは、当時はとても衝撃的な出来事でした。
さらに、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』には幾つのもの暴力的な描写があります。
また主人公達が逃げ込んだ家の2階には、この家の住人の代わりはてた姿が転がっていました。
これらのシーンが観客にたくさんの衝撃を与え、今までとは違うホラー作品として注目されることになったのです。
テクノロジー的ホラー
映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』には視覚的衝撃に加え、当時のテクノロジーの恐怖も描かれています。
それは死者が蘇る原因となった放射能です。
死者が蘇った理由は、「金星に向かった探査衛星が地球に帰還中に爆破されたことが関係している可能性がある」とニュースで伝えられます。
衛星爆破には放射性物質が含まれていて、その放射線が死者を蘇らせているとなっていました。
映画か作られた当時、冷戦真っ只中でソ連とアメリカは競うように宇宙開発に力を入れていました。
人類が初めて月面着陸を成功させるのは1969年7月ですが、1960年代アメリカはアポロ計画を進めていました。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』には、そんな宇宙開発に対する恐怖も込められていたのです。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に言及している作品
バタリアン
タイトル | バタリアン (The Return of the Living Dead) |
監督 | ダン・オバノン |
公開 | 1986年2月8日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間31分 |
「映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は事実の映画化だ」というセリフから始まる物語『バタリアン』。
蘇った死体は本当だったという内容の『バタリアン』は、終始映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』へのオマージュが散りばめられた作品になっていました。
ワールド・ウォー・Z (本)
タイトル | ワールド・ウォー・Z |
作者 | マックス・ブルックス |
出版 | 2006年 |
映画『ワールド・ウォー・Z』の原作でもある、フィクションの物語『ワールド・ウォー・Z』ですが、こちらは世界各地でのゾンビ目撃情報の記録書になっています。
この中の最後の解説のところで、ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』について触れています。
日本のゾンビ映画マニアの話となっていますが、この『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』含めロメロ監督のゾンビ映画の初期3部作が、ゾンビの特性を創案したと書かれています。
映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』には、その特性の1つであるゾンビの撃退法「頭部の破壊」が出てきます。
桐島、部活やめるってよ
タイトル | 桐島、部活やめるってよ |
監督 | 吉田大八 |
公開 | 2012年8月11日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間43分 |
映画『桐島、部活やめるってよ』の中に登場する映画部の前田君は、ロメロ監督が大好きなようです。
自分で脚本した作品「生徒会・オブ・ザ・デッド」を撮影していましたし、顧問の先生に「ゾンビはリアリティがない」と言われると、「先生は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のロメロ知ってますか?」と反論していました。
ロメロのゾンビが「バイオハザード」や「アイアムアヒーロー」の元になっていると熱く語っていましたが、残念ながら先生には前田君の熱い想いは伝わっていませんでした。
デッド・ドント・ダイ
タイトル | デッド・ドント・ダイ(The Dead Don’t Die) |
監督 | ジム・ジャームッシュ |
公開 | 2020年6月5日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間44分 |
ジム・ジャームッシュ監督によって作られた映画『デッド・ドント・ダイ』。
墓地のショットから始まるこの作品もまた、ロメロ監督へのオマージュを感じる作品になっていました。
ガソリンと雑貨のボビーの店には『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のポスターが貼ってあります。
『デッド・ドント・ダイ』の舞台となったセンターヴィルという町にやってきた若者が乗る車は、ポンティアック・ルマン。
それは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で、お墓参りに向かう兄と妹が乗っていた車です。
また若者の乗る車を見た店主のボビーは、「ジョージ・ロメロ的だ」と言っていました。
映画の所々に『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』思わせるシーンやセリフを入れた作品『デッド・ドント・ダイ』も、もちろん『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に強く影響を受けた作品の1つなのです。
おまけ
映画『ハロウィンII』でも映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が映ります。
逃げたマイケル・マイヤーズが最初に忍び込んだ家のテレビに映っていたのが、映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でした。
まとめ
ゾンビの元祖となる作品といわれる映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
この映画が現在のゾンビを作り上げたといわれています。
そしてこの作品に影響を受けた監督達は、ロメロ監督への愛をこめてオマージュ作品を作り続けているのです。
映画史に偉大な影響を与えた作品の1つそれが映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』なのです。