原作のキャラクターを忠実に描いた作品『デッドプール』。ポップカルチャーに詳しいデッドプールらしく、たくさんのカルチャー情報が出てきます。しかし、製作者たちもデッドプールに負けないくらいのポップカルチャー好きです。ここでは映画『デッドプール』に出てくるカルチャー情報をご紹介していきます。
『デッドプール』作品情報
タイトル | デッドプール(Deadpool) |
監督 | ティム・ミラー |
公開 | 2016年6月1日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間48分 |
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映画『デッドプール』誕生への道のり
映画『デッドプール』は2016年に公開されましたが、デッドプールを演じたライアン・レイノルズがオファーをもらったのは2004年でした。
そこから考えると、映画『デッドプール』は、実に12年の歳月をかけて誕生した作品でした。
ライアン・レイノルズがデッドプールのオファーをもらった時、彼はちょうど『ブレイド3』の撮影中でした。
本人も「知らないうちにウェイド(デッドプール)を演じていた」と言っていますが、彼が『ブレイド3』で演じたハンニバル・キングというお調子者でよく喋るキャラクターは、デッドプールそっくりです。
その後、『デッドプール』の話は進みますが、デッドプールのキャラクターから映画が会社の許可が降りず、途中でストップしてしまいました。
その間、ライアン・レイノルズは『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』でデッドプールを演じ、また『グリーン・ランタン』にも出演しています。
このことは『デッドプール』の中で、自虐的ネタとして使われています。
オープニングには、ライアン・レイノルズ演じる「グリーン・ランタン」のカードが見えます。
また、物語の途中には『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』でライアン・レイノルズが演じたデッドプールのフィギュアも映っていました。
なかなか進まない『デッドプール』の映画化でしたが、ある時テスト用のオープニング映像が流出してしまいます。
これをきっかけにファンが「映画を見たい」と声を上げ、ようやく2016年に公開されることになったのです。
ポップカルチャーに詳しいデッドプール
コミックのデッドプールというキャラクターは、とてもポップカルチャーに詳しい設定になっています。
映画化するにあたって、キャラクターは原作に忠実に描くということだったので、映画『デッドプール』に登場する主人公のウェイドもかなりのポップカルチャー好きになっています。
映画の中には、数々の作品がネタにされながら登場しています。
その中でも特にデッドプールを演じたライアン・レイノルズのお気に入りのネタは、「『コクーン』は紛れもなくポルノ映画」というネタだそうです。
宇宙人の繭が入っているプールに入ったおじいちゃんやおばあちゃん達が元気になってイチャイチャするのは、デッドプールから見たらポルノなのかもしれませんね(笑)
さらに、リーアム・ニーソンについて触れる箇所もあります。
泣いていたのを隠すために、「リーアム・ニーソンの娘を誘拐して彼に追いかけられる夢を見た」と彼女のヴァネッサに嘘をつくウェイドですが、その後「そんな映画がパート3」まで作られたと続けます。
これは映画『96時間』シリーズのことです。
「何度も誘拐されてアホな親だ」とウェイドらしいセリフがありますが、このセリフはライアン・レイノルズ自身が思いついたセリフのようです。
正確には映画『96時間』は、1話目が娘で2話目が自分と妻、そして3話目は色々あって再び娘が連れ去られてしまうという内容の映画でした。
それ以外にも、「癌を治せる」と組織へ誘ってきた男性のことをウェイドは「エージェント・スミス」と呼びます。
これは映画『マトリックス』に登場するエージェント・スミスをネタにしています。
他にもたくさんの映画ネタが登場しています。
元ネタ映画を知っていると、デッドプール(ウェイド)の言うジョークが分かり、より映画『デッドプール』を楽しめると思います。
ポップカルチャー好きのスタッフ
デッドプールはポップカルチャーに詳しいキャラクターですが、実は映画『デッドプール』に携わったスタッフたちもまたポップカルチャーが大好きな人たちばかりでした。
なので、映画『デッドプール』には、たくさんの映画へのオマージュが隠されています。
イースタン・プロミス
映画『デッドプール』は、物語のほとんどがデッドプールのジョークで進みますが、真剣なシーンもあります。
その1つが、ミュータント実験工場でのウェイドと敵であるエイジャックスの戦いのシーンです。
エイジャックスによって醜い体(ミュータント)にされてしまったウェイドは、その怒りから炎の中でエイジャックスと戦います。
戦いの最中に洋服に火が燃え移ると、彼は裸になりエイジャックスに立ち向かいました。
監督のティム・ミラーはこのシーンを、映画『イースタン・プロミス』で主人公のヴィゴ・モーテンセンがサウナでロシアマフィアと戦うシーンのように、印象的なシーンにしたかったと言っています。
監督にとって「イースタン・プロミス」のあのシーンは「残忍かつ見事な戦闘シーン」で、ウェイドとエイジャックスの戦いもそのように見せたかったのです。
レクイエム・フォー・ドリーム
マニアックなオマージュシーンといえば、映画『レクイエム・フォー・ドリーム』のワンシーン。
といっても、これは映像ではなく「セリフ」へのオマージュになっています。
薬に溺れていく人を描いた映画『レクイエム・フォー・ドリーム』のラストの方に「お尻からお尻へ」という台詞が出てきます。
その言葉を映像にしたのが、『デッドプール』の中に出てきます。
デッドプールが自分の過去を回想するシーンで、銃で撃たれたデッドプールのお尻から、デッドプールになる前のウェイドのお尻へと映像が切り替わっていました。
スパイダーマン2
同じマーベル作品の映画『スパイダーマン2』からは、セリフが引用されています。
ヴァネッサの危険を知ったウェイドは彼女に会うために、彼女が働くストリップバーに向かいます。
しかしウェイドが正体を明かすことを迷っている間に、ヴァネッサは連れ去られてしまいました。
彼女を探すウェイドが友人のウィーゼルに「ヴァネッサは?」と聞くと、ウィーゼルは「裏口に出て行った。追いかけろ。」と言いますが、この「追いかけろ」は英語で「Go get her tiger」と言っています。
このセリフは映画『スパイダーマン2』のエンディングで、MJがピーターに言った「Go get them tiger」が元になっています。
オースティン・パワーズ
映画の終盤、X-メンの1人であるコロッサスは敵のエンジェルと戦います。
エンジェルを投げ飛ばしたコロッサスは彼女にトドメを刺そうとしまうすが、この時エンジェルの胸がポロリしてしまいます。
しかし、それは画面には映らないようにコロサッスの手で上手く遮られ隠されていました。
このシーンは映画『オースティン・パワーズ』からの引用です。
『オースティン・パワーズ』の中でも、オースティンの体やオースティンの相棒ヴァネッサの裸のシーンがありますが、周囲にあるものを上手く利用して画面に映らないようになっていました。
ノッティングヒルの恋人
映画『デッドプール』のラストシーンで、正義感の強いコロッサスがデッドプールに「ヒーロー」について熱く話をしますが、この時デッドプールは「悪党を許すなんて俺には無理だ」とコロッサスの話を中断します。
そしてさらに「今の俺はただの男、これから恋人に言わなくちゃ」と続けます。
このセリフは英語だと「 I’m just a boy about to stand in front of a girl.」となっているんですが、これは実は『ノッティングヒルの恋人』でジュリア・ロバーツ演じるハリウッドスターのアナが言ったセリフです。
彼女は「 I’m just a girl about to stand in front of a boy.」と言いますが、この言葉をデッドプールは引用していたのです。
フェリスはある朝突然に
アメコミ作品ではよくあるように、映画『デッドプール』でもエンディングクレジット終了後に再びデッドプールが姿を見えてくれます。
そして、このシーンは映画『フェリスはある朝突然に』と全く同じになっていました。
映画『フェリスはある朝突然に』でもエンドクレジット終了後、フェリスが私たちに向かって「まだいるの?」と話しかけてきます。
それだけでなく、映画『フェリスはある朝突然に』自体が、『デッドプール』のように画面の中から視聴者に話しかけるという第四の壁を破るという手法の映画でした。
まとめ
映画『デッドプール』に中に隠された、たくさんの映画をまとめてみました。
デッドプールがポップカルチャーに詳しいというだけでなく、この作品に関わったスタッフ達もポップカルチャー好きということもあって、映画『デッドプール』はたくさんの映画をオマージュした物語になっていました。
この機会に、元ネタとなった数々の映画に触れてみるのも楽しいかもしれませんね!
参考資料:Blu-ray『デッドプール』