短編アニメ『愛してるって言っておくね』消えない心の傷を負った1組の夫婦


会話のない夫婦を描いた短編アニメ『愛してるって言っておくね』。食事をしていてもお互い下を向いたまま、それ以外は1人で過ごすことがほとんどの夫婦。最初は喧嘩ばかりしていた夫婦でしたが、やがて2人の間から会話が無くなっていたのです。なぜこの夫婦から会話が消えてしまったのか?それはどうやら娘に起こった出来事に関係があるようです。

『愛してるって言っておくね』作品情報

タイトル 愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)
監督 ウィル・マコーミック/マイケル・ゴビエ
公開 2020年11月20日
製作国 アメリカ
時間 12分

Rotten Tomatoes

アカデミー賞受賞
・短編アニメーション賞

あらすじ

学校で銃乱射事件が発生し、突然の悲劇で我が子を失った悲しみと虚無感にさいなまれる両親のうつろいを描く。

(出典:Netflix)

会話のない夫婦

食卓に向かい合って座り食事をする1組の夫婦。

しかしこの夫婦には全く会話がありません。

2人は終始下を向いたまま、お互いの方を向くことなくただただご飯を食べ続けていました。
しかも2人の食欲もほとんどありませんでした。

その後食卓を離れた2人ですが、もちろん言葉を交わすことはありません。

それぞれが自分の時間を過ごしていますが、どこか2人は苦しく辛そうです。

夫はお酒を飲み何かを忘れようとしているようです。
一方妻も家事を黙々と過ごし、ただただ1人を過ごしているだけです。

2人の間に会話がなくなるまでに、2人が何度もぶつかり喧嘩していたことも2人の様子から見えてきます。

そして度重なる喧嘩の末に2人の間から会話が消えてしまいました。

2人がぶつかり会う原因となってしまったこと。
それは2人の娘でした。

2人が大切に育ててきた娘はある日突然命を奪われてしまいます

そしてそのことが原因で夫婦の心に喪失感が生まれてしまい、やがて2人は笑顔と会話を失ってしまったのでした。

愛するむすめ

ある日突然娘の命を奪った出来事。
それは学校内で起こった銃乱射事件でした。

銃撃に巻き込まれて亡くなってしまった大切な娘。
娘はその最中両親に一通のメッセージを送ります。

自分が死ぬかもしれないと感じた10歳の少女は「愛していると言っておくね」と自分の気持ちを伝えます。
そしてそれが彼女の最後のメッセージとなってしまいました。

子供を失った喪失感から立ち直ることができない夫婦。
2人の暮らす家には娘との思い出がたくさん詰まっています。

気がつけば娘の大好きな料理を作ってしまう母親。
壁には娘の塗ったペンキの跡。

家族が幸せな頃、庭に咲いていた花は今ではすっかり枯れていて、夫婦の心を表しています。

それぞれがショックから立ち直れないでいるなか、両親を救ったのはやはり娘でした。
娘の部屋から流れてくる音楽をきき、久しぶりに娘の部屋に入った両親。
部屋にはあの頃のままの全てが残っていました。

もうこの部屋に娘はいないけど、2人の心の中には今でも娘は生き続けています。

2人が自分のことで喧嘩することを娘は望んでいません。
だって娘は両親のことを愛していたから。

最後の娘のメッセージを思い出し、少しだけ前を向いた夫婦。
まだまだ立ち直るには時間がかかりますが、それでもきっと2人の心を娘がつ繋いでいてくれるはずです。

まとめ

学校での銃乱射事件によって子供を失ってしまった両親の心を描いた短編アニメ『愛してるって言っておくね』。

ニュースでは事件の詳細や犯人のことは伝えられますが、なかなか遺族のその後のことは伝えられません。

しかし大切な我が子を失い1番傷ついているのは遺族たちです。

一生消えない傷を負った遺族の気持ちや、彼らがどんな状態でいるのか。

ニュースでは知ることのできない真実を知ることができ、それと同時に切なさで心が締め付けられる作品になっていました。