『シャイニング』の監督スターリン・キューブリック。その娘がヴィヴィアン・キューブリックが撮影した『Making ‘The Shining’』。この作品にはホラー映画の傑作『シャイニング』の制作過程の一部を見ることができます。キューブリックの厳しさ。その厳しさから『シャイニング』の名場面が生まれた事がわ分かりました。
『Making ‘The Shining’』作品情報
タイトル | Making ‘The Shining’ |
監督 | ヴィヴィアン・キューブリック |
公開 | 1980年10月4日 |
製作国 | イギリス |
時間 | 35分 |
スターリン・キューブリックの娘ヴィヴィアン・キューブリック。
彼女が『シャイニング』の撮影現場に同行し、製作状況をカメラで撮り続けたのがこの作品です。
出演者にもインタービュー映像もあり、撮影中の彼らの気持ちを知る事ができます。
さらに出演者やスタッフに細かな指示を出すキューブリックの様子も映っています。
妥協なき男と言われるスターリン・キューブリック。
彼の厳しい一面を知る事ができるのが『Making ‘The Shining’』です。
(私はこの作品を『シャイニング』のブルーレイのBlu-rayの中の特典映像で見ました。)
ウェンディを演じたシェリー・デュヴァル
このドキュメンタリーを見ていて1番印象に残るのはウェンディを円んじたシェリー・デュヴァルです。
『シャイニング』の中でもジャックの恐怖と同じくらい、ウェンディの顔が印象に残っています。
ドキュメンタリーの中で、ジャック・ニコルソンやダニーを演じたダニー・ロイドなどは楽しそうにしている姿を見る事ができますが、シェリーだけはあまり楽しそうではないように見えました。
彼女自身もインタビューの中で「役に対しての重圧がものすごくて」と答えています。
それ以外にもプライベートでも恋人と別れたりしたこともあったようですが、撮影中の彼女は体調が優れない日も多かったようです。
映像の中には実際に倒れて横になるシェリーが映っています。
そんなストレスが映画の中での彼女の演技に繋がったのかもしれません。
ジャックを恐れる彼女は本当に怯えているように見えます。
セットの中で彼女の髪の毛が抜けてしまうトラブルがありました。
シェリーはとてもそれを気にしていましたが、キューブリックはお構いなしです。
それどころか「シェリーに同情するな」と周りのスタッフに声をかけます。
この時のシェリーの顔がなんとも言えない顔をしていましたが、キューブリックはシェリーの髪よりも早く撮影を続けたかったのです。
夜中ということもあったようですが、撮影1番のキューブリックの様子を見る事ができるシーンでもあります。
監督スターリン・キューブリック
監督と意見が合わないことはスタッフや出演者それぞれあります。
特にシェリーはキューブリックとぶつかっていました。
台詞を気にするシェリーに「ちゃんと演技できれば台詞は問題じゃない」と厳しい言葉を投げつけます。
さらにドキュメンタリーの中でも何度もキューブリックとぶつかるシェリーが映っていました。
シェリーは「キューブリックがわざと自分に仕掛けている」という事がわかっていたようですが、それでも高圧的なキューブリックを憎んだ事がありました。
一方、ジャック・ニコルソンは監督と意見が合わなかった時は、監督の言う通りにするそうです。
それは彼の中で「役者として監督にコントロールされたい」と言う思いがあるかからです。
ジャックも監督にダメ出しされていましたが、シェリーほどではありませんでした。
それでも「最後には監督を尊敬し好きになった」と言っています。
この1本に出演した事で、今まで経験して来た事以上のことを学べたと言っていました。
まとめ
『シャイニング』の裏側を知る事ができる『Making ‘The Shining’』。
娘のヴィヴィアンが撮影した事で、よりスターリン・キューブリックの素顔を見る事ができたのかもしれません。
スタッフや出演者に厳しいキューブリック。
でもそれは言い換えれば、キューブリックがどれほど映画作りに命をかけているかの表れなのかもしれません。