鬼指導者の元で厳しくしごかれながれる生徒アンドリュー。しかし彼もそのしごきに耐え続けます。それは指導者のアンドリューへの変わった形の愛情でしたが、2人はジャズへの愛情で結ばれていたのです。2人にしか理解できないジャズへの熱い思い。それがラスト演奏へと繋がっていくのです。
『セッション』作品情報
タイトル | セッション(Whiplash) |
監督 | デイミアン・チャゼル |
公開 | 2015年4月17日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間46分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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偉大なジャズドラマーを夢見て全米屈指の名門、シェイファー音楽院に入学したニーマン。
ある日、フレッチャー教授の目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。
そこで成功すれば、偉大な音楽家になるという夢は叶ったも同然。
自信と期待を胸に練習に参加したニーマンだったが、そんな彼を待っていたのは、わずかなテンポのずれも許さないフレッチャーの狂気のレッスンだった。
それでも頂点を目指すためと、罵声や理不尽な仕打ちに耐え、フレッチャーのイジメのごとき指導に必死で食らいついていくニーマンだったが…
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/350927)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・助演男優賞:J・K・シモンズ
・編集賞
・録音賞[/box]
異常な師弟愛
偉大なドラマーになりたいアンドリュー。
偉大な音楽家を育てたいフレッチャー教授。
2人の想いは、どちらも狂気でした。
フレッチャー教授は、アンドリューの才能を伸ばしたいと思っていました。
しかしそのやり方は凄まじいしごきです。
教授の中にはそれだけやらなければ偉大な音楽家は生まれないと思っていました。
だからこそ至極時彼は本気でしごきます。
一切の妥協はありません。
一方アンドリューはそのしごきについて行こうとします。
それは何としても音楽家として成功したいと思っていたからです。
練習のしすぎでアンドリューの指からは血が吹き出ます。
それでもアンドリューは練習をやめずに、なんとかしてもフレッチャー教授に認められたいと思っていたのです。
そんな2人の関係。
それは周囲から見れば狂気な世界でもありました。
でも2人にはそんなの関係ありません。
どちらも自分の目的のために必死で全力で相手に向き合ったのです。
音楽に向き合ったのです。
その2人のお互いへの思いが、ラストのアンドリューのドラムソロなのです。
なかなか認め合えなかった二人がついに、認め合えます。
それがラストのドラムソロでした。
あのドラムソロは2人が作り出した、ジャスへの愛情が詰まった音楽だったのです。
チャーリー・パーカー
フレッチャー教授とアンドリューの中で何度も語られる「チャーリー・パーカー」。
モダンジャズを作ったと言われるサックス演奏者です。
34歳という若さで亡くなってしまいますが、フレッチャー教授とアンドリューにとっては彼こそが2人の目指すものでした。
次のチャーリー・パーカーを生みたいフレッチャー教授。
次のチャーリー・パーカーになりたいアンドリュー。
だからこそ2人はどんなに狂気な世界でも、真剣に戦い続けたのです。
アンドリューには友達がいませんでしたが、彼は「チャーリー・パーカーは孤独だった」から自分も孤独でいいと考えています。
そしてニコルという彼女さえも遠ざけてしまい、本当に孤独になります。
またフレッチャー教授も孤独です。
誰も彼の世界を理解できませんでした。
チャーリー・パーカーみたいにお金がなくて早死にしても、アンドリューは偉大な音楽家になりたいと思っていたのです。
彼にとってはチャーリー・パーカーは憧れなのです。
そしてその想いに共感できたのが唯一フレッチャー教授だったのです。
二人の世界は異常ですが、最後に見せた二人の笑顔。
それを見れば、「これでよかったんだ」と思ってしまいます。
まとめ
ジャズを愛するがために異常なまでにジャズへ打ち込む指導者と生徒の世界を描いた『セッション』。
その世界は狂気的な世界でした。
しかしいつも2人は真剣です。
逃げずに戦い続けます。
それはアンドリューをしごいているフレッチャー教授も同じでした。
ジャズという音楽映画でありながら、『セッション』の中では激しい戦いとして描かれていました。