映画『ミッドサマー』白夜に行われる90年に一度の祝祭 


スウェーデンのある村で行われる祝祭。それは90年に一度のお祭りで白夜の時に行われ儀式でした。友人に誘われその儀式に参加した若者たち。しかし彼らの参加には全て意味があったのです。美しい風景と相反する恐ろしい儀式。ホラー映画を超える多くのものが詰まった映画が『ミッドサマー』でした。

『ミッドサマー』作品情報

タイトル ミッドサマー(Midsommar
監督 アリ・アスター
公開 2020年2月21日
製作国 アメリカ/スウェーデン
時間 2時間28分

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あらすじ

家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。

美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。

しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。

妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。

(出典:https://www.phantom-film.com/midsommar/)

白夜の祝祭

スウェーデンが舞台の『ミッドサマー』。
夏至の日に行われる90年に一度の祝祭に若者達が誘われたことが全ての始まりまでした。

白夜と呼ばれる一日中太陽が沈まない現象。
それはスウェーデンを始めとるす北欧で起こる現象です。

地球の軸は23.4度傾いてます。
その軸を起点に地球は自転しながら、さらに太陽の周りを公転しています。
そのため南極や北極に近いところでは、夏に一日中太陽が沈まない時期がやってくるのです。

その白夜の時期は実際に北欧では夏至祭というお祭りが行われています。
『ミッドサマー』の舞台となったスウェーデンでは「ミッドソッマー・ダーゲン」があります。

スウェーデンではクリスマスと同じくらい大切な日がこの夏至の日です。
北欧は冬が長いので一日中明るい夏のこの時期はとても貴重な時期とされていて、その恩恵を感謝し喜ぶのが「ミッドソッマー・ダーゲン」です。

もちろん『ミッドサマー』の中で描かれたような恐ろしく奇妙な夏至祭ではありません。
家族が集まりみんなで食事をしたりしながら、明るい一日を感謝するお祭りなのです。

創造と破滅

ラストに色んな感情が生まれる『ミッドサマー』。
共感できた人・衝撃を受けた人・癒された人・恐怖を感じた人様々だと思います。

主人公のダニーとその恋人クリスチャンの運命はラストで創造と破滅に大きく別れてしまいました。

映画が始まった時は家族を失い恋人は優しくなくて、人生が破滅状態だったダニー。
しかし彼女はスウェーデンのある村に行ったことで、自分の新たな人生を作り始めたのです。新たな家族とともに。

一方で恋人のクリスチャンはこの村にきたことは人生の破滅の始まりでした。

二人の運命を大きく変えてしまったのが夏至祭でした。

ダニー達をこの村に誘ったペレはこの村の人達のことを家族と呼んでいました。
本当の両親は幼い頃に失ってしまったけど、コミュニティの人たちが助けてくれて寄り添ってくれたと言います。
そして家族を失ってしまったダニーに寄り添おうとしていたのがペレでした。

だからこそペレはダニーがこの村の祝祭に参加するのを喜んでいたのかもしれません。
彼女にこの村で寄り添う家族を作って自分のように新たな人生を想像して欲しいと願っていたのでしょう。

しかしダニーの恋人のクリスチャンはペレにとって最初から新しい血でしかなかったのです。

彼らの運命はもしかすると村に行く前から決まっていたのかもしれません。

もちろんダニーがメイクイーンになったのが偶然かもしれませんが、それは必然だったのかもしれません。
72歳の女性が自分の命を次に伝えるための儀式を行う時、ダニーの方を見ました。
これは彼女の命がダニーに引き継がれることを意味していたのかもと思います。

そして新たな人生を手にしたダニーは、自らの意思で生贄を選ぶこの村で新たな家族とともに生きることを選んだのでした

まとめ

ホラー映画というジャンルで紹介されている『ミッドサマー』ですが、監督自信はホラー映画とは考えていないとインタビューで語っています。

グロテスクなシーンはあるけど美しさと面白さも兼ね備えている映画でした。

最初は驚いた儀式もラストシーンは思わず笑ってしまうそんな儀式になっています。

1人の女性の目を通して描かれた、新たな人生を創造する物語。
それが『ミッドサマー』の全てだと思いました。