映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』友達は自分で選ぶことができる家族

ダウン症の青年ザックが施設を抜け出し旅に出る物語『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。ザックを演じたザック・ゴッサーゲンの夢を叶えた作品でもあり、また近年たくさん作られている疑似家族の物語でもありました。ザックが外に出て手にしたものはかけがえのないものでした。

目次

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』作品情報

タイトル ザ・ピーナッツバター・ファルコン(The Peanut Butter Falcon)
監督 タイラー・ニルソン/マイケル・シュワルツ
公開 2020年2月7日
製作国 アメリカ
時間 1時間37分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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老人の養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃から憧れていたプロレスラーの養成学校に入ることを夢見て、ある日施設を脱走する。

同じく、しっかり者の兄を亡くし孤独な毎日を送っていた漁師・タイラーは、他人の獲物を盗んでいたのがバレて、ボートに乗って逃げ出す。ジョージア州サバンナ郊外を舞台に、偶然にも出会った二人の旅の辿り着く先は……?

やがて、ザックを探してやってきた施設の看護師エレノアも加わって、知らない世界との新たな出会いに導かれ、彼らの旅は想像をもしていなかった冒険へと変化していく。

(出典:http://tpbf-movie.jp)

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ザックを演じたザック

主人公のダウン症のザックを演じたのは、ザック・ゴッサーゲンです。

この映画の監督・脚本を務めたタイラー・ニルソンとマイケル・シュワルツは障害者のキャンプでザックと出会いました。

ザックの夢は映画スターになることでしたが、マイケルは「それは難しい」と答えてしまいます。
その答えにショックを受けてしまったザックは「じゃあ君たちが僕の映画を作って」と言い、そこから誕生したのがこの『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』なのです。

ザックの純粋な想いがこの作品を産んだのです。

一度は共演者のシャイア・ラブーフの不祥事により公開が危ぶまれました。
そんな時ザックはシャイアに「君はすでにスターだけど、これが僕のチャンスだ。君はそれを台無しにした」と言います。

この言葉にショックを受けたシャイアは、施設に入り自分のアルコール中毒と向き合います。
シャイアは自分の行動を改め立ち直ろうとしました。

無事に2019年8月にアメリカで公開された『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』は徐々に人気となり17館の映画館で上映スタートしたのに、1ヶ月後には約1000館の映画館で上映されるほどになったのです。

そしてザックは映画スターになるという夢を叶えました。
また2020年2月に行われた第92回アカデミー賞ではシャイアとともにプレゼンターも務めたのです。

映画スターとしての道を歩み始めたザック。
それは『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』の中でプロレスラーになる夢を諦めないザックそのものだったのです。

友達は自分で選ぶことのできる家族

旅を通して友情を深める男同士の物語の『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』ですが、それと同時に家族の物語もでありました。

ザックは施設を抜け出す時にカールというおじいさんから「友達ってのは自分で選べる家族だ」と教えてもらいます。

幼い頃両親に捨てられたザックは旅を通して家族を見つけました。
それは兄を自分のせいで失い自暴自棄になってしまっているタイラー。
旅を通して二人は絆で結ばれていきます。

そしてザックのいた施設で働いているエレノアもこの旅に加わります。
彼女も夫を亡くしていました。

家族がいない3人が旅をしながら家族になっていく物語。
それは最近よく描かれている疑似家族の物語もでありました。
2017年の『わたしは、ダニエル・ブレイク』。

2018年の『万引き家族』。

そして最近公開された『ハスラーズ』もまた友達が家族というテーマになっていました。

どれも貧困によって社会からはじき出されてしまった人たちの物語です

この『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』のタイラーもまた貧困によりまともな生活を送っていませんでした。
ザックもまた障害により社会からはじき出された人です。
そんな彼らがお互いが失ったものを埋めあいながら家族になっていくのです

ここ数年続く疑似家族の作品。
それはカールが言った「自分で選べる家族」という言葉通りなのです。

道から外れ傷つきいきている人たち。
彼らは助け合いながら自分で家族を作りこの世の中を生きているのです。

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』のラストは3人がフロリダについたシーンで終わります。
自分で選んだ家族とともに生きていくことにした3人。
この先何があっても彼らはきっと家族という強い絆で乗り越え生きていくはずです。

それは希望を感じる素晴らしいラストシーンになっていました。

まとめ

ダウン症の少年を冒険を描いた『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』。
それは主役を演じたザックの夢の始まりの作品でもありました。

プロレスラーになる夢を追い続けたザックのように、彼もまた映画スターの夢を追いかけ続けるでしょう。

物語のザックが家族を手にしたように、色んな人と出会いたくさんの友達を作るはずです。

この先もたくさんの作品でザックを観ることができるのを楽しみにしています。

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