映画『マザーレス・ブルックリン』で見る1957年のニューヨークの光と闇

フィルム・ノワール観満載のエドワード・ノートンが手がけた『マザーレス・ブルックリン』は、1957年のニューヨークを舞台に繰り広げられる探偵物語でした。光と闇が広がるこの時代のニューヨーク。実在する人物をモデルにしながら描かれた『マザーレス・ブルックリン』を通して1957年のニューヨークに触れてみたいと思います。

目次

『マザーレス・ブルックリン』作品情報

タイトル マザーレス・ブルックリン(Motherless Brooklyn)
監督 エドワード・ノートン
公開 2020年1月10日
製作国 アメリカ
時間 2時間24分

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あらすじ

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障害を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ私立探偵のライオネル・エスログの人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナが殺害された。

事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていく。

わずかな手掛かり、天性の勘、そして行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男だった。

(出典:https://eiga.com/movie/92133/)

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1957年のニューヨーク

『マザーレス・ブルックリン』の舞台は1957年のニューヨークが舞台になっています。
映画の中のセリフで分かるように、ドジャースがブルックリンにある時代です。
ドジャースは実はニューヨークのブルックリンにあった球団なのです。

ブルックリン・ドジャースはアフリカ系アメリカ人として初めてメジャーリーグ選手となったジャッキー・ロビンソンがいた球団としても有名でした。
(ジャッキー・ロビンソンの活躍は、映画『42〜世界を変えた男〜』で描かれています。)


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ブルックリン・ドジャースは映画の舞台である1957年にロサンゼルスへの移転が決まり、翌年の1958年にロサンゼルス・ドジャーズとなりました。
ドジャースがロサンゼルスに移転する理由の1つが、当時のブルックリンの治安の悪さがありました。

当時ブルックリンではお金を持っている白人は郊外に家を買い始め、ブルックリンを離れ始めていたのです。
そのためブルックリンはではアフリカ系アメリカ人や移民が増えて治安が悪化していました。
スラム街となってしまったブルックリンの様子は『マザーレス・ブルックリン』の中でも描かれています。

戦後の都市開発による建設ラッシュが続く中で、権力によってのし上がる人物と排除されてしまう人々。
『マザーレス・ブルックリン』の中ではそんな当時のニューヨークの人々を描きながら、現代に通じるものを描いていました。

公民権運動真っ只中の1950年代。
南部の人種差別ばかりに目がいきがちですが、ニューヨークで全く人種差別が無かったわけではありません。
『マザーレス・ブルックリン』では人種差別についても描写されています。

もともとの小説の舞台は1999年です。
それをあえて1957年に設定したエドワード・ノートン。
当時のニューヨークの様子を見せながら、現代に通じるものを私たちに見せていたのかもしれません。


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権力の行使

『マザーレス・ブルックリン』の中に登場する都市開発を計画するモーゼス・ランドルフ。
彼はニューヨークの発展に大きく貢献したロバート・モーゼスをモデルにしていると思われます。

『マザーレス・ブルックリン』の舞台と同じ1950年代にニューヨークの都市開発に大きく関わった人物で、「マスター・ビルダー」と呼ばれていました。

ランドルと同じように権力を行使した人物でもあり、多くの橋や道路や公園などを建設しました。
ニューヨークが大きく発展したのは彼のおかげだと言えるのです。

しかしながら映画同様、彼は再開発に当たってたくさんの住宅を壊しました。
そしてまた彼はニューヨークの都市開発に携わるうちに、偉大な権力を持つようになっていてその権力を使い高層ビルなども建設しました。

そんなロバート・モーゼスをモデルにしたモーゼス・ランドルフを演じていたのは、アレック・ボールドウィンです。
テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」ではトランプ大統領を演じて話題にもなりました。

その彼がランドルフを演じたことは、権力を行使して人種差別を行なっているトランプ大統領を想像させるためだと思います。
特定の人種を排除しようとしている姿は、どうしても現在の大統領の姿に重なってしまいました。

まとめ

『マザーレス・ブルックリン』を見ると1957年の発展する光のニューヨークと、スラム化して排除されてしまった闇のニューヨークの2つの姿を知ることができます。

あえて原作の小説と時代を変えることで、現代につながるものを描きたかったエドワード・ノートン。

1957年のニューヨークの姿を通して、今の私たちの姿を見ることができるようになっていました。
混沌とした世界は今も変わらず続いていたのです。

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