妻が家を出て行き息子と二人暮らしの生活に戸惑いを隠せない夫テッド。息子のビリーは母のジョアンナを恋しがってばかりです。一方で自分の新しい生活のために息子をおいて家を出て行った妻ジョアンナも、息子を残してきたことを後悔していました。『クレイマー、クレイマー』は夫婦関係について改めて見直すことができる映画になっています。
『クレイマー、クレイマー』作品情報
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タイトル | クレイマー、クレイマー(Kramer vs. Kramer) |
監督 | ロバート・ベントン |
公開 | 1980年4月5日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間44分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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テッドとジョアンナの結婚生活は8年目を迎え、一人息子ビリーも7歳となったクレイマー家。
ジョアンナは、かねてより家庭を顧みず仕事優先の生活を送るテッドに不満を募らせていた。
そしてある日、ついに彼女は自立を決断し、家を出て行ってしまう。
一転して妻に任せっきりとなっていた家事と仕事の両立をせざるを得なくなったテッド。
しかし始めは覚束ないものの、次第に2人の生活にも慣れ、これまで以上に父と子の絆を強めていく。
だがそんな中、ジョアンナが突然養育権を訴えてくる。
失業したことも重なってテッドに不利な形で裁判が進み、養育権はジョアンナ側に。
こうして、テッドとビリーは父子最後の朝食を迎えるのだが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/6556)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・作品賞
・監督賞:ロバート・ベントン
・主演男優賞:ダスティン・ホフマン
・助演女優賞:メリル・ストリープ
・脚色賞[/box]
仕事が1番の父親
仕事のことばかりで家庭のことを顧みなかった夫テッド。
家族のために頑張って働いてきましたが、ある日家に帰ると妻のジョアンナは家を出て行こうとしていました。
結婚8年目を迎える夫婦に突然現れて離婚危機。
テッドはここ最近は昇進のことばかりで、妻の心理状態に気がついていませんでした。
突然息子のビリーと二人暮らしになってしまい、テッドは戸惑いますが息子の前ではいつもと同じように振る舞います。
しかし朝食のフレンチトーストもまともに作れません。
息子が何年生だったかも分からないテッド。
不慣れな生活に苛立ちは募るばかりです。
しかも息子は「ママ」を求めてばかります。
妻がいなくなったことで子育てに直面するテッドは、仕事もミスをしてしまいます。
「自分が幸せだから、妻も幸せだ」と思い込んでいたテッドは、ジョアンナが出て行ったことで多くのことに気づかされました。
子育てを妻に任せっきりで、家に妻を閉じ込めていたことに気がついたテッド。
ビリーとの関係もぎくしゃくしていましたが、それでも親子です。
お互い本音でぶつかることで父と息子の関係を築き始めます。
親子であり男同士であるテッドとビリーは、一気にその距離を縮めていきました。
最後では仕事も家事も行う良き父になっています。
その証拠にフレンチトーストもうまく作れるようになっていました。
自立したい妻
テッドと結婚し家に入ったジョアンナ。
ビリーが生まれて幸せそうな結婚生活でしたが、それも2年ほどしか続きませんでした。
元々仕事をしていたジョアンナは、外で仕事をしたいと思うようになります。
しかしテッドはそれを許してくれません。
子育てだけの毎日にジョアンナは次第に不満が募り、ついに家を出ることを決めたのです。
ビリーのことは愛していたけど、新しい自立した生活を手に入れるためにはビリーをおいていくしかありません。
息子を残して1人新しい生活を送り始めたジョアンナは、仕事でも認められやっと求めていた生活を手に入れました。
しかしそれと同時に息子を残してきた後悔も感じていました。
自立できた今こそ息子を取り戻そうと考えたのです。
しかし息子と離れていた18ヶ月は長い月日でした。
テッドとビリーの間には信頼関係が生まれていたのです。
ジョアンナが家を出たことで夫と息子は強く結ばれていました。
親権をめぐっての裁判で自分の身勝手さを追求されてジョアンアは、さすがに凹み傷ついていました。
何がビリーにとって大切なのかを考え直し始めたジョアンアは、自分ではなく息子にとって1番の結論を出しました。
自分のわがままで家を出て、自分のわがままで息子を取り戻そうとしていたジョアンナが、最後でやっと息子のためを思った行動に出たのでした。
夫婦関係
夫のテッドは妻が幸せだと思い込んでいました。
しかしそれは勝手な思い込みでした。
妻のジョアンナは自立したくて、自分のことだけしか考えず子供を残して家を出ました。
夫婦の関係に振り回されていたのは息子のビリーです。
離婚を通してテッドとジョアンナはやっとそのことに気がつくことができました。
夫婦関係は戻らないけど、ビリーの親としての生活はずっと続きます。
ビリーがいる限り家族関係は続いていくのです。
自分本位だった夫と妻。
離婚して初めて相手のことを考えらるようになりました。
離婚という辛い経験と息子のビリーが、夫婦を成長させたのです。
まとめ
『クレイマー、クレイマー』で描かれる離婚劇は、夫婦関係を見直すきっかけになるかもしれません。
「大丈夫」と思っていてもそれは自分だけの思いかもしれません。
離婚することは大切なものを壊すことでもあります。
テッドとジョアンナにとっての大切なものはビリーでした。
離婚したことでそれに気がつき成長した二人でしたが、どこかほろ苦い感じが心に残りました。
『クレイマー、クレイマー』のテッドとジョアンナから「家族」「夫婦」について多くのことを学ぶことができます。
今後の結婚生活のために、夫婦で一緒に『クレイマー、クレイマー』を見るのもいいかもしれません。