映画『X-MEN: フューチャー&パスト』で描かれる1973年という時代と差別

最強兵器を作りミュータントを絶滅させようとする人間。勝つすべの無くなったミュータント達は、過去に戻り兵器の開発を止めようとします。ミュータントが戻った世界は1973年。その時代の情勢とその時に起こっていた差別を調べてみたいと思います。

目次

『X-MEN: フューチャー&パスト』作品情報


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タイトル X-MEN: フューチャー&パスト(X-Men: Days of Future Past)
監督 ブライアン・シンガー
公開 2014年5月30日
製作国 アメリカ/イギリス
時間 2時間12分

Rotten Tomatoes

あらすじ

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2023年、地球はバイオメカニカル・ロボット“センチネル”の暴走によって滅亡へと向かっていた。

それは、ミュータントに不信を抱くボリバー・トラスクがその抹殺のために開発した最強兵器だった。

しかし今や、センチネルはミュータントばかりか人類にも牙をむき始める。

そこでプロフェッサーXは宿敵のマグニートーと手を組み、トラスクが開発を始める1973年に遡って危機の根源を絶つことを決断する。

そのためにウルヴァリンの魂を50年前へと送り込むことに。やがて地球滅亡のカウントダウンが刻まれていく中、2つの時代で壮絶な戦いが繰り広げられていくのだったが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/348170)

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1973年パリ協定

アメリカ国内で大きな運動となっていたベトナム反戦運動。
さらに南ベトナムのサイゴンにあるアメリカ大使館が襲撃され、なかなか勝利できないアメリカ。
当時のジョンソン大統領は北ベトナムへの攻撃を中止しました。

その後大統領になったニクソンも反戦運動が高まる中、ベトナムからアメリカ軍の撤退を決めました。

そして1973年パリでベトナム和平協定が結ばれます。
北ベトナム、南ベトナム、アメリカ、南ベトナム共和国の間で結ばれた平和協定で、これで正式にベトナム戦争は終結を迎えたのです。

『X-MEN: フューチャー&パスト』では、この時にトラスク博士は各国の政府関係者にミュータントと戦うために兵器を売り込もうとしていました。
そしてミュータントを人間の新たな敵としようとしていたのです。

この時、ミスティークはミュータントを守るためにトラスク博士を殺そうとします。
これが未来のミュータントの危機をまねくことになってしまうため、それを防ぐためウルヴァリンの意識をこの1973年に送ったのでした。

もちろんウルバリン1人ではこれを止めることができないので、過去のチャールズやエリックとともにミスティークを止めようとしました。

ちなみに、その時エリックはペンタゴンに監禁されていました。
それはケネディ大統領を暗殺したのが、エリックだったからです。
エリックは大統領を救うつもりでしたが、邪魔されたことで大統領は亡くなったようです。

ケネディ大統領暗殺事件は多くの謎に包まれています。
その1つに弾道の不自然さがあります。
ケネディ暗殺はオズワルドの単独犯とされていましすが、弾道の違うが複数犯という説を生んでいました。

この弾道の謎は『X-MEN: フューチャー&パスト』の中ではエリックの仕業になっています。
エリックが操ったために空中で銃弾が曲がったということになっていました。

エリックをペンタゴンから脱獄させたチャールズ達は、ミスティークの行動を止めるためにパリに向かいました。

差別との戦い

『X-メン』シリーズでミュータントは、差別されている人のメタファーとして描かれてきました。

前作の『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』の冒頭では、ユダヤ人だったエリック家族が収容所に送られるところから始まります。
エリックが人間の差別を許せないのは、幼い頃に自分自身が経験した差別によるものでした。

コミックでもそれは同じで、1963年に『X-メン』が発売された当時はアメリカは公民権運動の真っ只中でした。
肌の色の違いで差別を受ける黒人達が、自分の権利を求めて戦っていたのです。
ミスティークやビーストが見た目を気にするのは、黒人差別のメタファーでもあったのです。

さらにミュータントはLGBT人達のメタファーでもありました
自分達と違うものを恐れる人間。
彼らによって差別され続けた人達の苦しみを描いているのが『X-メン』シリーズでもあるのです。

『X-MEN: フューチャー&パスト』でもそれは物語の核になっています。
差別する人間と戦うのか共存するのか。
それがエリックとチャールズの意見の相違に繋がっていて、『X-メン』の最初から描き続けられていることなのです。

学びポイント

人間の作り出す兵器を阻止するために過去に戻ったウルバリン。
彼が戻ったのは1973年でした。

ベトナム戦争が終結し平和協定が結ばれる時代に戻ったウルバリン。
1973年がアメリカや世界にとって大きな意味のある年だったことが、『X-MEN: フューチャー&パスト』をみると感じることができます。

さらに『X-メン』シリーズの中で描き続けられている差別。
人間がミュータントを差別する描写は、『X-MEN: フューチャー&パスト』の中でも恐ろしいものとなっていました。

自分と違うミュータントは人間にとって敵なのか?
ミュータントは人間と戦うのか共存するのか?
深く考えさせられる結末になっていました。


X-MEN:デイズ・オブ・フューチャーパスト (MARVEL)

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