1969年のハリウッドを描いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。落ちぶた俳優リックとスタントマンのクリフの友情。そして隣に引っ越してきたシャロン・テート。1969年8月9日に向かって動き出す時間軸に緊張が高まる中、タランティーノ監督は最高のラストを用意してくれていました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』作品情報
タイトル | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (Once Upon a Time in Hollywood) |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
公開 | 2019年8月30日 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
時間 | 2時間41分 |
Rotten Tomatoes
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ
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完全に再現された1969年
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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の舞台は1969年のハリウッド。
CGを使わないタランティーノ監督は、見事なまでに1969年の世界を作り上げています。
どこか豪華できらびやかなハリウッド。
スター達の豪華な生活とハリウッド映画界の中の空気。
別世界に住む彼らの日常を体験することができます。
一方で1960年代には世界的に起きた若者達のカウンターカルチャーがあります。
この映画でもヒッピー達が登場します。
アメリカではベトナム戦争への反戦運動から広まったカウンターカルチャーは、独特なファッションや髪型など独自の文化を作り上げていきました。
ハリウッドの豪華な世界とヒッピー達の大人達の犯行。
入り組んだ時代を交互に似せることで、この時代の日常と別世界を同時に堪能することができます。
そしてまたハリウッドの流れも実在するスター達の名前を上げることでリアルに描かれていました。
この時代に本当にリックとクリフがいたような感覚さえ覚えます。
実際のドラマや映画にリック演じる演 レオナルド・ディカプリオをインサートしたりして、リアル感を高めています。
どれだけタランティーノ監督がこの時代の映画やドラマが大好きだったのか、監督の少年時代を思い浮かべてしまいます。
この時代にリアルタイムで作品を見ていた人は、一気に1969年に連れ戻されてしまいます。
そしてまたこの時代を知らない人は、映画を見終わったら1969年公開の映画を見ようと思うはずです。
2時間41分の間、1969年のハリウッドに連れて行ってくれる作品でした。
シャロン・テート
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1969年の映画やドラマの予備知識がなくても充分に楽しめる『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ですが、1つだけ知っていた方が良いことがあります。
それはシャロン・テートについてです。
この映画のリックやクリフは架空の人物ですが、シャロン・テートは実在しました。
1968年に有名監督のロマン・ポランスキーと結婚しハリウッドにやってきました。
彼女は映画の中で自分の出演した『サイレンサー第4弾/破壊部隊』を見にいっています。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではシャロン・テートをマーゴット・ロビーが演じていますが、彼女が劇場で見た『サイレンサー第4弾/破壊部隊』はディカプリオのようにインサートではなく、本当の映画を使用しています。
『哀愁の花びら』『サイレンサー第4弾/破壊部隊』と立て続けに出演し、人気女優の仲間入りを果たそうとしていたシャロン・テートでしたが、1969年8月9日悲劇が起こります。
自宅でパーティーをしていた彼女達は、全員殺されてしまったのです。
シャロンのお腹には赤ちゃんもいました。
全米を揺るがす衝撃的な事件となったシャロン・テート殺害事件の犯人は、ヒッピーからカルトの教祖に変化したチャールズ・マンソンの信者達でした。
この事件がきっかけで1960年代を席巻してきたカウンターカルチャーも終わりを遂げます。
自由を唱えてきた彼らの中に、巨悪な存在がいたことがわかったからです。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見るにあたってシャロン・テートに起きた惨劇を知っているのといないのでは、ラストの爽快感が全く違います。
この予備知識があるだけで、ラストに向かって緊張感が高まり、そしてその後最高に盛り上がるエンディングがやってくるのです。
タランティーノの世界観
1969年のハリウッドを描き、ほとんどストーリーのない映画が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。
落ちぶれた俳優リックの物語はありますが、この映画は1969年を体験させてくれる映画なのです。
1969年に生きたリックやクリフやシャロンを通してその時代を感じることができます。
しかしラストはやはりタランティーノの世界が爆発します。
歴史を変えて私たちにエンターティメントを与えてくれます。
1969年8月9日。
この日シャロン・テートが殺されることはわかっていますが、タランティーノのはそれを変えてくれたのです。
今までの彼の映画と同様に、弱者を守り徹底的に悪を叩き潰してくれます。
タランティーノはヒッピー達はシャロンの家ではなく、リックの家に侵入するように描きました。
そしてそこで戦争を経験したスタントマンのクリフにボコボコにされ、映画の小道具の火災放射器を使って犯人達にトドメを刺してくれるのです。
その描写は衝撃を通り越して笑いが起こるほどの描かれ方です。
シャロン・テートを殺した犯人達を映画の中でタランティーノは徹底的にやっつけてくれました。
そしてこの映画の中ではこの先もシャロン・テートは生き続けるのです。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でタランティーノ監督は私たちに爽快感と夢物語を与えてくれました。
まとめ
見終わった後スッキリするのがタランティーノ監督の作品ですが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も期待を裏切らずに、思う存分タランティーノの世界を描いていました。
ラストの10分は本当にスッキリするはずです。
そして『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中では、ずっとシャロン・テートは生きていくのです。
誰かによって虐げられた人を、事実を変えて映画の中では倒してくれるタランティーノ監督。
今回も歴史を変え希望のある世界で映画は終わりました。
1969年の世界にタイムスリップし、希望ある映画の終わり方。
タランティーノ監督の描く最高のエンターティメント映画が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。