アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『フリーソロ』。ロープ無しで自分の手と脚だけで岩に登るフリーソロ・クライマーのアレックス・オノルドの挑戦が描かれたドキュメンタリーです。難攻不落の絶壁に挑戦する彼の姿は、私たちを無心にさせてしまうほど恐ろしくもありまた美しくもあるのです。
『フリーソロ』作品情報
タイトル | フリーソロ(Free Solo) |
監督 | エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ/ジミー・チン |
公開 | 2019年9月6日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間40分 |
Rotten Tomatoes
『フリーソロ』あらすじ
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フリーソロ・クライミング界の若きスーパースター、アレックス・オノルドの途方もなく壮大な夢への挑戦である。
世界中を駆けめぐって幾多のビッグウォールを攻略してきた彼が新たなターゲットに定めたのは、カリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえ立つ約975メートルの断崖絶壁エル・キャピタン。
頂上へ向かう途中にいくつもの難所が待ち受け、プロクライマーや登山ファンの間ではロープなしの登攀は絶対不可能と囁かれていた。
はたしてアレックスは、いかにしてその難攻不落の絶壁に立ち向かうのか……。
(出典:http://freesolo-jp.com/about.php)
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アレックス・オノルド
クライミングの中で、ロープを使わずに手と脚だけで岩に登るフリーソロ。
フリーソロに取り憑かれてしまったアレックス・オノルド。
世界中を周りフリーソロを成功させてきた、彼は今ではフリーソロとして名声を手に入れていました。
死と隣り合わせのフリーソロ。
なぜ彼はそんな危険なことに挑戦し続けるのでしょうか?
幼い頃は恥ずかしがり屋で内気だったアレックス。
しかしクライミングに出会うと夢中になります。
「いつ死ぬかわからないのは皆同じ。登ることで“生”を実感できる」と言うアレックスは、フリーソロでしか味わうことのできる快感にはまっていきます。
麻薬みたいなものと表現していた通り、もはや彼はフリーソロで感じる達成感から抜け出せなくなっているのです。
普段は普通の青年と何も変わらないアレックスですが、岩を前にすると変わってしまうのです。
それは恋人ができても変わりません。
命をかけて臨むクライミング、愛する人ができると弱くなってしまいますがアレックスは恋人ができても変わらず挑戦し続けます。
そしてアレックスは難攻不落と言われ誰も成功したことのない、ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンに挑戦します。
撮影されることにナーバスになるアレックス。
撮影クルーもアレックスの邪魔をできるだけしないように配慮します。
そんな中アレックスの挑戦は始まったのでした。
前代未聞の挑戦
ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンに挑戦することを決めたアレックス。
何度も登ろうとは思いやめた挑戦。
それは8年越しの思いになっていました。
世界的に有名なアレックスさえも怖気付いてしまうエル・キャピタンの岩。
それに挑戦することはどれほど無謀なことなのかが分かります。
それでも挑戦すると決めたアレックスは準備に取り掛かります。
まずはロープクライミングで、感触をつかみます。
何度も何度も登り、手を引っ掛ける場所や足をかける場所を探し、体で覚えます。
しかしロープがあると無しでは全然違います。
何度も繰り返すことで頭の中には、完璧にルートや手順が叩き込まれています。
それでもまだ自信が持てないアレックス。
自信がなければスタートすることはありません。
危険な場所でのロープクライミングを、自信を持てるになるまで繰り返します。
そしてその自信ができた時、彼はエル・キャピタンに登り始めたのでした。
小さな隙間に指をかけ滑る足場を登っていきます。
その体にはもちろんロープはありません。
撮影クルーは、カメラ越しに見ることもできないくらい緊張感が生まれます。
孤独な戦いに挑むアレックス。
周囲の緊張をよそに、今まで準備してきたことを冷静に行っていきます。
そんなアレックスが登っていく姿はとても美しいものでした。
迷いのないクライミング。
生きることだけを考えて登る姿を見ていると、彼がフリーソロを続ける答えが見えたような気がしました。
今までのナーバスが嘘のように登り続け、いとも簡単に成功してしまったアレックス。
頂上で見せた姿も淡々としていて、何だか成功することがわかっていたようにさえ感じてしまいます。
もちろんすぐ隣には「死」があるのは事実です。
でもアレックスにとっては成功しか、生きることしか考えていないのかもしれません。
自信が持てた時というのは、成功しか考えられない時なのでしょう。
まとめ
ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンにフリーソロで挑戦したアレックス・オノルド。
なぜ彼が死と隣り合わせのフリーソロをやり続けるのか不思議でしたが、彼の挑戦している姿を見ていると少しだけ、その答えが分かったような気がしました。
恐怖を超えて挑戦し続けるアレックスは、自分の限界を超えながら人間の限界を試しているのかもしれません。
そして恐怖の先にある、自信と達成感が彼をまた大きくしているのです。
彼の挑戦は見ていられないくらいの緊張の連続ですが、彼の姿は美しく私たちを魅了させます。
クライミングに興味のない方でも、アレックスの挑戦する姿には何か感じるものがあるはずです。