映画『横道世之介』で描かれる1987年の好景気の日本


長崎から東京の大学にやってきた横道世之介の大学1年生の1年間を描いた物語『横道世之介』。色んな人と出会い少しずつ東京の生活に慣れていく世之介の姿を見ることがでる作品ですが、時代はちょうど好景気真っ只中の1987年でした。ここでは世之介の生活と共にバブル景気の1987年の日本を見ていきたいと思います。

『横道世之介』作品情報


横道世之介 [Blu-ray]

タイトル横道世之介
監督沖田修一
公開2013年2月13日
製作国日本
時間2時間40分

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映画『横道世之介』の中では、世之介が大学1年生がいつだったのかは直接的には触れられていません。

ただ世之介の友達の倉持と阿久津唯の子供が生まれた時、子供の生年月日が画面に映ることで『横道世之介』は1987年4月〜1988年3月までの物語だということが分かります。

原作小説の方でも具体的な西暦は書かれていませんが、物語の中で起きる歴史的な事件などから時代は1987年だということが分かるようになっていました。

1987年の日本

好景気

1987年の日本といえばバブル景気の始まりの頃で、日本全体が豊かな時代でもありました。

映画の中でホテルでバイトする世之介は高額なチップを受け取り、また大学を辞めた倉持は不動産ブローカーとして働き始めます。

「胡散臭いなー」という世之介に対して、倉持は「社員は6人しかいないけど、今景気がいいから」と説明していました。

また祥子のお兄さん達の格好や、パーティーガールだった千春さんの仕事からも当時の景気の良さを感じることができるようになっていました。

カルチャー

映画の冒頭で世之介は新宿アルタ前にいますが、世之介の横には斉藤由貴のAXIAの看板が映ってます。

カセットテープを宣伝する看板ですが、当時はカセットテープ全盛期です

世之介は初めて加藤に声をかけた時、加藤はポータブルカセットテーププレイヤーを持っていました。

ポータブルカセットテーププレイヤーといえば、1979年にソニーが発売したウォークマンが有名です。

加藤が持っていたのがウォークマンかどうかは分かりませんが、ウォークマンの爆発的なヒットにより色んなメーカーから同じようなカセットテーププレイヤーが次々と発売されました。

1982年にCDが既に登場していましたが、この頃はレンタルしたCDをカセットテープに録音して音楽を聞いている人がたくさんいました。

これは日本だけではなく世界的に同じような流行が起こっていました。

1987年を描いたイギリスの『カセットテープ・ダイアリーズ』や韓国の『1987、ある闘いの真実』でも時代を象徴するものとしてポータブルカセットテーププレイヤーが出てきています。

新宿のシーンでは「キスミント」の発売記念イベントの様子も映っています。

キスミントはちょうど1987年に販売が始まったガムでしたたが、2018年には販売が中止されています。

またそれ以外にもVHSのビデオテープや一大ブームとなったテレビ番組『ねるとん紅鯨団』の名前も出てきます。

『ねるとん』は1987年10月から始まっている番組なので、世之介は始まったばかりの『ねるとん』に出ないかと誘われたことになります。

スポーツ

祥子が世之介の実家に行った時お父さんは野球を見ていましたが、それは近鉄バッファローズ対西武ライオンズの試合でした。

現在ではオリックスと合併してオリックス・バッファーローズという球団になっていますが、1987年はまだ近鉄バッファローズです。

(ちなみに1987年はオリックスではなく阪急ブレーブスで、もちろん東北楽天ゴールデンイーグルスも存在していません)

お父さんが応援していたのは西武の伊藤でしたが、この当時の西武は黄金時代と言われるほど強く、その中で伊藤は正捕手を務めていました。

時事問題

長崎に帰った世之介と祥子の2人が浜辺で遭遇したのは、ベトナムから逃げてきたボートピープルでした。

1975年にベトナム戦争が終わると国内の混乱を逃れて、日本にも多くのベトナム難民が船で渡ってきました。

1980年代半ばになると既にそのピークも過ぎていましたが、1987年ごろから再び日本にやってくる船の数は増えていったそうです。

映画の中では詳しく描かれていませんが、原作小説では世之介達が助けようとした赤ちゃんとその母親は大村にある保護センターで保護されていることが分かります。

この大村の保護センターとは1982年にボートピープルのために建てられた施設で、当時日本に到着したボートピープルの多くがこの施設で保護されたそうです。

まとめ

映画『横道世之介』の舞台となった1987年の日本は好景気に突入したばかりで、登場人物のセリフやファッションから当時の景気の良さを感じることができます。

また所々に映る東京の街並みも懐かしさとともに今とは違う賑やかさを感じられるようになっていました。

世之介が過ごした1987年はどんな時代だったのか?

映画『横道世之介』は大学生の青春映画であると同時に、色んな意味で元気だった頃の日本を感じることができる作品でもありました。

\\原作小説はこちら//

横道世之介 (文春文庫)