1912年のロンドンが舞台の映画『未来を花束にして』。当時の男女平等と女性参政権を求めて活動する女性参政権活動家達のことを描いています。急進的な活動家のエメリン・パンクハーストによって過激になる女性参政権運動。現代女性達が手にしている選挙権。これは「言葉よりも行動を」をモットーに戦い続けた彼女達が勝ち取ったものなのです。
『未来を花束にして』作品情報
タイトル | 未来を花束にして(Suffragette) |
監督 | サラ・ガヴロン |
公開 | 2017年1月27日 |
製作国 | イギリス |
時間 | 1時間46分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1912年のイギリス。ロンドンでは、当時の政権に対して女性の選挙権を要求する運動が先鋭化していた。
50年に及ぶ平和的な抗議が黙殺され続け、カリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストが率いるWSPU(女性社会政治同盟)は、“言葉より行動を“と過激な抗争を呼びかけていた。
その一方で人を傷つけないことを方針のひとつとする穏健派も存在した。
現代社会の深刻な問題となっているテロ行為とは一線を画す、理性に拠る活動だったことが知られている。
階級を超えて連帯した女性たちの願いはやがて大きなムーブメントとなり社会を変えていった。
(出典:https://longride.jp/mirai-hanataba/intro.php)
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エメリン・パンクハースト
映画『未来を花束にして』の中でメリル・ストリープが演じたエメリン・パンクハースト。
彼女はイギリスの女性参政権運動家の1人でした。
*女性参政権運動家は「サフラジェット」(Suffragette)と呼ばれています。
(『未来を花束にして』の原題は『Suffragette』ですので、この映画はずばり女性参政権運動家のことを描いた映画なのです。)
1903年にパンクハーストは女性社会政治連合を設立しました。
ここで彼女達は「言葉よりも行動を」をモットーに女性の参政権を求めて活動を行なっていたのです。
彼女達はその行動から何度も警察に逮捕されてしまいます。
それでも屈しない彼女達。
刑務所の中でハンストを行い抵抗を続けました。
ハンストとはハンガー・ストライキのことで、抵抗運動の1つとして断食のことを意味します。
刑務所の中でハンストを行なって彼女達は、女性参政権を世間に訴えようとしていました。
当時の女性の状況
映画『未来を花束にして』の中で描かれる1912年のロンドンの女性達。
彼女達は参政権だけではなく子供に対する親権もありません。
貧しい労働者の母親のもとに生まれた主人公のモード。
彼女は7歳から洗濯工場でパートとして働き12歳で社員になりました。
24歳の現在彼女は週13シリングの収入を得ています。
男性は女性よりも労働時間が3割も短いのに、19シリングの収入です。
こんな状況をなんとかしたいと思い、モードは立ち上がったのでした。
彼女は自分の置かれている状況の改善もそうですが、彼女が戦った理由は未来の女性達のためです。
彼女には息子がいましたが、もし娘だったら自分と同じような生活を送ってしまうことになる。
同僚の娘マギーは、まだ少女なのに自分と同じような人生を送りつつありました。
そんな状況を変えるためにモードは、立ち上がり戦ったのです。
映画の最後に描かれる競馬場でのエミリー・デイヴィソンの事件。
あれは実際に起きたことでした。
エミリー・デイヴィソンは1906年に女性社会政治連合に参加し、活動を行うようになりました。
映画の中でも描かれているように彼女は何回も逮捕され、長い刑期を与えられるような激しい活動家の1人でした。
彼女は1913年のエプソムダービーに向かい、その中でジョージ5世の馬に近づこうとし事故に遭い亡くなってしまいました。
映画の中では彼女は覚悟を持ってトラック内に足を入れていますが、その真意はわかっていません。
それでも彼女の行動は、女性参政権運動を世間に注目させる1つになりました。
多くの女性達が彼女のお葬式に出席し、それは世界中で報道されることになりました。
イギリスが男女平等による普通選挙を認めたのは1928年です。
それは女性参政権運動家達に長年の戦いがあったおかげなのです。
まとめ
1910年代の女性参政権運動家達の活動を描いた映画『『未来を花束にして』。
それは彼女達の命をかけた戦いでもあり、彼女達はこの先の全ての女性のために戦い続けたのです。
彼女達の行動があったからこそ、今私たちは選挙権を手にしています。
しかし、現代は本当に男女平等の世の中なのか?
そんな問いかけをしているのが映画『未来を花束にして』なのです。