白人の恋人の実家に遊びに行った黒人男性のクリス。そこで待っていたのは恐ろしいほど不気味な実態でした。一見温かく迎えてくれる恋人ローズの家族。しかし何か変なのです。どこか恐ろしいけどそれが何なのか分からないまま、クリスはローズの実家で過ごします。しかしこの家に着いた時に感じた恐怖は、現実となってしまうのでした。
『ゲット・アウト』作品情報
タイトル | ゲット・アウト(Get Out) |
監督 | ジョーダン・ピール |
公開 | 2017年10月27日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間44分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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ニューヨークに暮らす黒人青年のカメラマン、クリス・ワシントン。
白人の恋人ローズ・アーミテージから実家に招待されるが、彼女の両親は娘の恋人が黒人であることをまだ知らず不安を隠せない。
しかし、いざアーミテージ家に着いてみると、まったく心配ないというローズの言葉通り、家族みんなクリスを温かく歓迎してくれた。
それでも、使用人として働いている黒人の姿に妙な胸騒ぎを覚えてしまうクリス。
翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティが開かれ、多くの招待客が集まる中、白人ばかりに囲まれ居心地の悪さを感じるクリスだったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/361302)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・脚本賞[/box]
凝固法
実際に医療として使用されている凝固法。
どうやら、神経を構成しているタンパク質の一部を固め、神経の働きを長期間抑える治療法のようです。
この凝固法が映画『ゲット・アウト』の全てでした。
彼らは白人脳を黒人の体に移植していました。
その際に黒人の意識をなくしてしまうのではなく、彼らの意識は沈んだ地に追いやられてしまうのです。
そしてその場所で白人に乗っ取られてしまった自分の体を、ただただ見続けるしかなくなってしまうのです。
そんな恐ろしことが行われていた恋人ローズの実家。
しかも愛していたはずのローズさえも、実は家族の一員で最初からクリスに目をつけていたのです。
全てを知って逃げ出そうとするクリスでしたが、残念ながら催眠術で捕まってしまいます。
知らないうちにかけられてしまっていた催眠術。
精神科医の母親と神経外科医の父親。
この二人によってクリスは絶程絶命のピンチに陥ってしまったのでした。
クリスになりたい人たち
ローズの実家ではクリスのオークションが行われていました。
クリスを落としたのは盲目の美術商でした。
彼は若い頃クリスと同じように写真を撮っていました。
しかし病気で視力を失ってしまいます。
クリスに才能を感じていた男性は、彼の体を借りてもう一度写真を撮ろうと考えていたためどうしてもクリスが欲しかったのです。
この家で行われていた実態を知るとクリスに接してきた人たちの異様さが理解できます。
みんなクリスの体が欲しいと思っていたのです。
ゴルフが好きだという男性は、ターガー・ウッズが友達だと言います。
そしてクリスにスイングさせようとしました。
この男性はクリスになって、タイガー・ウッズのようになりたかったのです。
さらに車椅子に乗る年老いた男性の妻は、クリスの体を触りまくります。
そして夜の生活はどうかと露骨な質問をしてきました。
これは彼女の夫がクリスになるからです。
女性は夫がクリスになった後の性生活を考えていたのでした。
鹿
映画の最初の方でクリスはローズの運転する車で、ローズの実家に向かいます。
その途中でローズは鹿をはねてしまいました。
森の中で横たわる鹿をクリスはじっと見ています。
そう、それはもちの自分自身の運命を表していました。
実家に着くとローズの父親は鹿を殺したことを喜んでいました。
父親は「鹿にはうんざりだ、生態系を壊している。路肩の死骸を見ると嬉しいよ」と恐ろしいことを言います。
さらに「殺してくれて感謝する。鹿は大嫌いだ」とまで言います。
この言葉がとても不気味なんです。
鹿の話をしていますが、どうしても鹿のことを言っているようには聞こえません。
なには違うことのことを言っているように聞こえてしまうのです。
そしてそれはやがて間違っていなかったと気付かされるのです。
鹿をはねて警察が来た時、警察はクリスに「IDを見せろ」と言います。
ローズは必死でそれを断りますが、それには深い意味があったのです。
クリスの身元や居場所がバレては困るから、あんなにも必死でローズは警察に抵抗したのでした。
なにも知らないクリスは「イカしてる」とローズに言いますが、彼女の裏の顔は誰よりも恐ろしかったのです。
まとめ
白人の家に招待された黒人青年。
一見みんなが温かく迎えてくれますが、彼らはみんな心の奥でとても恐ろしいことを考えていたのです。
表の顔を心の中の本心。
アメリカ社会に今も続く深い闇を、ホラー映画として描いたのが映画『ゲット・アウト』でした。