映画『パブリック・エネミーズ』で見る犯罪者ジョン・デリンジャーの人生

1930年代の大恐慌時代のアメリカで、銀行強盗を続けたジョン・デリンジャー。彼は犯罪者でありながらも市民のお金は奪わなかったことから、国民に賞賛された人物でした。『パブリック・エネミーズ』ではそのデリンジャーとかれを追い続けるFBIのメルヴィン・パーヴィスの2人の戦いが描かれていました。

目次

『パブリック・エネミーズ』 作品情報


パブリック・エネミーズ [Blu-ray]

タイトル パブリック・エネミーズ(Public Enemies)
監督 マイケル・マン
公開 2009年12月12日
製作国 アメリカ
時間 2時間20分

Rotten Tomatoes

あらすじ

[aside type=”normal”]

大恐慌時代。

貧困に苦しむ民衆は、汚い金が眠る銀行だけを標的に大胆不敵な手口で金を奪う世紀の銀行強盗、ジョン・デリンジャーに喝采を送っていた。

そんな中、神秘的な美女ビリー・フレシェットと出会い、一瞬で恋に落ちるデリンジャー。

一方、フーバー長官はデリンジャーを“社会の敵(パブリック・エネミー)No.1”と呼び、その逮捕に全力を挙げていく。

そしてメルヴィン・パーヴィスを抜擢し捜査の陣頭指揮に当たらせるが…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/334507)

[/aside]

ジョン・デリンジャー

1930年代の大恐慌時代のアメリカに登場した銀行強盗ジョン・デリンジャー
彼は食料店を襲った事で刑務所に入ります。
この刑務所で銀行強盗のノウハウを他の囚人から学びました。
そして9年後に仮出所したデリンジャーは、仲間を脱獄させるために刑務所にやってきました。

『パブリック・エネミーズ』ではここから物語が始まります。
そしてデリンジャーは仲間とともに銀行強盗を行うようになったのでした。

デリンジャーに対して「社会の敵 No.1」と言ったFBIのフーバー長官でしたが、デリンジャー自身は市民から賞賛されていました。

当時は大恐慌時代です。
その時代にお金を集まる銀行を襲ったデリンジャー、しかも銀行にいた市民からはお金を奪わなかったデリンジャーは、市民から支持されるようになったのでした。

市民から支持されたのは『パブリック・エネミーズ』の冒頭で、メルヴィン・パーヴィスに殺されてしまった“プリティ・ボーイ”・フロイド。
彼もまた実際は、デリンジャーのように市民から支持された犯罪者でした。

大恐慌時代は、政府や権力者に対して犯罪を行い市民には危害を与えない犯罪者達は市民から支持されていました。
それだけこの不況は国民の生活を苦しめたいたのでした。

FBI

一方、デリンジャーを逮捕したいFBI。
当時この頃FBIという名前ではなく、司法省管轄の捜査局でした。
『パブリック・エネミーズ』の中でも描かれているように、捜査局の局長であるフーバーがFBIのような組織を作ろうとしていました。

当時の捜査局では州をまたいだ犯罪者を追いかけることは出来ませでした。
それを改善しようとしていたのがフーバーだったのです。

フーバー長官は組織を作るために予算の増額を議会にお願いしますが、却下されてしまいました。
当時犯罪者や誘拐犯の逮捕を捜査局は行っていましたが、フーバー長官自身は現場にはいませんでした。
彼の能力を問われると同時に、国民に対する過大なPRも指摘されてしまいました。
フーバー長官は『Gメン』という映画を作たりして、FBIの活躍を大々的に国民に示していたのでした。

ただし、ここは時系列が事実とは少し違います。
『Gメン』が公開されたのは、1935年でこの時すでにデリンジャーは射殺された後でした。

『パブリック・エネミーズ』で描かれているフーバー局長が議会から追及されたのも、デリンジャー逮捕の後なのです。

メルヴィン・パーヴィス

デリンジャーを何としても捕まえたいフーバー局長率いる捜査局。
デリンジャー逮捕に任命したのが、メルヴィン・パーヴィス捜査官だったのです。

1930年代アメリカを震撼させていたギャング達。
そのギャングの中で“

プリティ・ボーイ”・フロイド、“ベビー・フェイス”・ネルソン、そしてデリンジャーを撃った男としてアメリカでは英雄となりました。

実際はデリンジャーを射殺したのはパーヴィスではありませんでしたが、ギャングとの戦いに勝利した男として、フーバーが作ったアメリカの正義の見方のFBIの捜査官としてパーヴィスは人気者いなりました。

しかしこの人気に嫉妬したのがフーバー長官自身だったのです。
『パブリック・エネミーズ』の中では、デリンジャー射殺後のパーヴィスは翌年にFBIを引退し1960年に自殺したと説明されていました。

パーヴィスが引退することになったのは、フーバー長官の嫉妬による彼への嫌がらせがあったからだとも考えられます。
実際にフーバー長官は彼をメディアの前に出さないように、捜査官から事務職に移動させました。

捜査から外されてしまったパーヴィスは、結局FBIを辞めることになってしまったのでした。

またデリンジャーをFBIに売ったアンナ・セージが映画館に行った時の服装は、『パブリック・エネミーズ』では白いブラウスとオレンジ色のスカートでした。

実際は赤いドレスを着ていたと言われています。
映画館の前で待っていたFBI捜査官がデリンジャーを見失わないように、彼女は赤い服を着るように指示されていたようです。

映画の中ではパーヴィスはアンナに強制送還しないと保証していましたが、アンナはデリンジャーが射殺されてから2年後にルーマニアに強制送還されてしまいました。

学びポイント

大恐慌時代にアメリカを震撼させたギャングのジョン・デリンジャー。
彼の人生が描かれているのが『パブリック・エネミーズ』でした。

物語は彼と彼の恋人のビリー・フレシェットの愛を見せながら、彼の周りにいた人物達と彼の戦いを描いていました。

事実と違うシーンもいくつかありましたが、この時代にデリンジャーがいたこと、そして彼を捕まえようとしていたFBI捜査官がいたことは事実です。

時代の中から誕生した銀行強盗と、そしてまた時代ととも作られたFBIについて知ることができる映画です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次