映画『俺たちに明日はない』で見る時代を象徴したボニー&クライド


1930年代の大恐慌時代のアメリカの実在した犯罪者を描いた『俺たちに明日はない』。銀行強盗だったバロウ・ギャングのボニーとクライド。彼らは犯罪者でしたが、中には彼らを英雄的扱いをする人達もいました。全米中の人に注目されたボニーとクライドを『俺たちに明日はない』を通して見ていきたいと思います。

『俺たちに明日はない』作品情報


俺たちに明日はない [Blu-ray]

タイトル 俺たちに明日はない(Bonnie and Clyde)
監督 アーサー・ペン
公開 1968年2月17日
製作国 アメリカ
時間 1時間51分

Rotten Tomatoes

あらすじ

ケチな自動車泥棒だったクライドは、気の強いウェイトレスの娘ボニーと運命的に出会い、コンビを組んで強盗をやりはじめる。

二人は順調に犯行を重ねていくが……。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/21600)

アカデミー賞受賞
助演女優賞:エステル・パーソンズ
撮影賞

1930年代の世界恐慌

ボニーとクライドが銀行強盗を繰り返していた時代は1930年代です。
当時は、アメリカだけでなく世界中が不景気の時代で世界恐慌でした。

狂騒の20年代と呼ばれた1920年代。
戦後の経済成長でアメリカの1920年代は好景気に見舞われていました。
自動車産業の発達などにより、多くの人がお金のある生活を送ることが出来ました。
しかしそれが1929年に終わります。
そしてそこから一気に不景気になってしまったのでした。

1929年ごろには生産は需要を上回り、物が売れなくなっていきます。
すると好景気の時の企業の株を手放す人も増え始めました。
そして1929年に株の大暴落が起きてしまいます。

不安になった国民は銀行の預金を引き出し、銀行は倒産に追い込まれてしまいます。
『俺たちに明日はない』でクライドが最初に行った銀行が破産していたのも、このような背景があったからです。

1931年に刑期を終えて戻ってきたクライドが働けるような仕事は、世の中には全くなかったのです。
クライドが犯罪を行うしかない状況に追い込まれたのは、当時の時代背景もあったのかもしれません。

ボニーとクライド

刑務所を出たクライドが出会ったのがボニーでした。
ボニーはウエイトレスとして働いていた女性でした。
映画の中では描かれていませんが、ボニーには当時旦那がいました。
しかしクライドと出会った頃は、ボニーの旦那は強盗で捕まり刑務所にいました。

クライドに一目惚れしたボニーは、彼と行動をともにするようになったのでした。

窃盗や銀行強盗を繰り返していた彼らですが、次第に仲間も増えて「バロウ・ギャング」と呼ばれるようになります。
映画の中のように兄のバック・バロウとその妻のブランチもバロウ・ギャングの一味でした。

C・W・モスは実在する人物ではありません。
彼は当時いたバロウ・ギャングの仲間の数人を合わせた作られた人物です。

彼らは窃盗や銀行強盗を繰り返しながら生活を送っていましたが、実際は厳しい生活を送っていたようです。
逃走生活は決して楽なものではなかったのです。

犯罪を起こし州を越えて逃げるボニーとクライド達。
それは当時警察は州を越えて追跡したり逮捕したりすることが出来なかったのです。
まだ当時はFBIは存在せず、司法省の捜査局しかありませんでした。
この捜査局がFBIの前身なのですが、ちょうどこの頃フーバーが州を越えて捜査ができるように議会に訴えていたことでもあります。

強盗と殺人を繰り返していた彼らですが、彼らを応援する人もいました。
映画の中でもその様子は描かれていて、「いい連中だ」というセリフもありました。
実際に銀行からしかお金を盗まず、市民のお金には手をつけませんでした。
その行動は家を銀行に差し押さえられた人たちにとっては、英雄的行為でもあったのです。

彼らをかくまった人たちもたくさんいたのも事実です。

しかし逆に警察やレンジャー隊はバロウ・ギャングへの怒りを持ち続け、最終的にボニーとクライドは壮絶な最期を迎えることになってしまったのでした。

学びポイント

時代を超えてアンチ・ヒーローとなったボニーとクライド。
その2人の人生を描いたのが『俺たちに明日はない』です。

彼らが犯罪を犯し続けた時代の背景には世界恐慌で、多くの国民が貧しかったというのを感じることが出来ます。
それでも貧しさを感じさせずに、ある意味英雄視されたボニーとクライド。
その理由もまた世界恐慌にあったのです。

『俺たちに明日はない』は、当時のアメリカの貧しさを感じることができる映画でもあるのです。