FBIを作ったとされる男ジョン・エドガー・フーヴァー。彼が今のFBIの基盤を作り上げる様子と彼個人の機密ファイルについて描かれたのが『J・エドガー』です。『J・エドガー』を通して歴代大統領も恐れたJ・エドガーについて調べてみたいと思います。
『J・エドガー』作品情報
タイトル | J・エドガー(J. Edgar) |
監督 | クリント・イーストウッド |
公開 | 2012年1月28日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間17分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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人生の終盤に差し掛かったFBI長官J・E・フーバー。
彼は回顧録の作成にとりかかり、部下に書き取りを命じて語り出す。
1919年、司法省に勤務していたフーバーは、長官の目に留まり、新設された急進派対策課を任される。
これを機に、秘書室のヘレンにプロポーズするが断られてしまう。
それでもフーバーは、彼女を個人秘書として生涯にわたって雇い続けることに。
その後、FBIの前身である司法省捜査局の長官代行となったフーバーは、片腕となるクライド・トルソンと秘書のヘレンだけを信頼し、自らの信じる正義を実現すべく、捜査の近代化と権力の集中を進めていくのだが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/340895)
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ジョン・エドガー・フーヴァー
FBIを創設したと言われているジョン・エドガー・フーヴァー。
司法省に勤務していた彼は、当時の司法長官だったミッチェル・パーマーの襲撃事件の頃から能力を見せ始めます。
共産主義者や無政府主義者の過激派を次々と逮捕していきました。
1920年当時犯罪者が逃亡しても追跡できる法律がない中、労働省と協力し共産主義者の一斉検挙を行います。
司法省と地元警察が共産主義者を現行犯逮捕し、労働省が彼らを国外追放するのです。
この一斉謙虚により共産主義の過激派約4000人を逮捕し、500人が国外追放となりました。
しかしこの出来事はパーマーの「左翼狩り」だという批判の声が上がり、パーマーはじめ多くの捜査員が職を失うことになりました。
しかし当時24歳だったエドガーは司法省に残ることができました。
その後、29歳の若さで捜査局の長官になったエドガー。
ここから彼の組織づくりが始まります。
『J・エドガー』の中で描かれているように、教養・健康な身体・忠誠心を持つものを集めた組織を作り上げていきました。
さらに捜査局と政治を切り離し政治家に屈しない組織を作りました。
これがのちのFBIになっていくのです。
それと同時に彼自身は機密ファイル作りを始めます。
権力者の盗聴を行い、個人的なファイルに保管します。
自分を追い込む相手にはこのファイルの内容を相手に知らせ、脅してもいたのです。
このファイルがあることで「大統領も恐れた男」と呼ばれるようになりました。
ケネディ大統領もキング牧師もエドガーに盗聴され、脅迫されていたと言われています。
FBI
アメリカ連邦捜査局FBI。
初代長官はもちろんジョン・エドガー・フーヴァーです。
そして彼は終身官となり、死ぬまでFBI長官を務めることになりました。
ルーズベルト大統領はFBIの再編成を考えていましたが、映画の中では再編成もエドガーの機密ファイルによって消えてしまっていました。
それだけ力を持っていたのがエドガーの機密ファイルであり、またエドガー自身だったのです。
FBIの前身である捜査局当時、武器の携行も許されず誘拐事件の犯人に対する逮捕権もなかった捜査局。
リンドバーグの息子の誘拐事件が起きた際、捜査権は州警察にありました。
思うように捜査ができないエドガーはリンドバーグ法を作ることで、誘拐事件を連邦犯罪とし捜査局が捜査できるようにしたのでした。
さらに科学捜査研究室を作り、指紋や筆跡な度から捜査を行うことも始めました。
組織だけでなく、FBIに科学捜査なども取り入れたのはエドガーだったのです。
もともと図書館を組織化するなどファイリング技術に長けていたエドガーは、その能力をFBIでも駆使したのでした。
そして1935年FBI(連邦捜査局)と名前を変え、誘拐事件や州をまたぐ犯罪、さらには巨悪犯罪などを捜査する組織となっていきました。
エドガーの秘密
ジョン・エドガー・フーヴァーは生涯独身でしたが、彼には映画の中でも描かれているようにクライド・トルソンというパートナーがいました。
もちろんエドガーは自分がゲイだと公表したわけではないので噂ではありましたが、彼とクライドは40年もの間一緒に過ごしました。
彼は母親が死ぬまで母と一緒に暮らすほど母を愛していましたが、母からの強い思いが彼をまた苦しめていました。
エドガーが自分自身がゲイだと認められなかったのも、母親の影響が強かったからだと思われます。
母がエドガーに何度も言った「強くなりなさい」。
母に言われた通り「強く」あろうとしたエドガー。
それが権力者に対する盗聴につながっていったのかもしれません。
学びポイント
FBIを作った男ジョン・エドガー・フーヴァーについて学ぶことができる映画『J・エドガー』。
FBIを組織化したり科学捜査をいち早く導入するなどエドガーの素晴らしい能力を知ることができると同時に、盗聴による脅迫などダークな面も描かれていました。
そしていかにして彼が大きくの人に恐れられる存在になっていったのかが分かりました。
またその裏で彼の隠された秘密とその苦悩も描写されていて、その秘密が機密ファイルに繋がっていったということも知ることができます。