映画『アイネクライネナハトムジーク』あらすじと感想 小さな夜の積み重ねで繋がる世界

伊坂幸太郎の小説「アイネクライネナハトムジーク」を映画化した同名タイトルの『アイネクライネナハトムジーク』は、どこかで誰かと繋がっていることを実感させてくれるほっこりした映画です。そしてまた誰もが物語の主人公であることを思い出させてくれる群像劇になっていました。

目次

『アイネクライネナハトムジーク』作品情報

タイトル アイネクライネナハトムジーク
監督 今泉力哉
公開 2019年9月20日
製作国 日本
時間 1時間59分

『アイネクライネナハトムジーク』あらすじ


小さな夜~映画「アイネクライネナハトムジーク」オリジナルサウンドトラック~

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仙台駅前で街頭アンケートを集めていた会社員の佐藤は、ふとしたきっかけでアンケートに応えてくれた女性・紗季と出会い、付き合うようになる。

そして10年後、佐藤は意を決して紗季にプロポーズするが……。

佐藤と紗季を中心に、美人の同級生・由美と結婚し幸せな家庭を築いている佐藤の親友・一真や、妻子に逃げられて途方にくれる佐藤の上司・藤間、由美の友人で声しか知らない男に恋する美容師の美奈子など周囲の人々を交えながら、不器用でも愛すべき人々のめぐり合いの連鎖を10年の歳月にわたって描き出す。

(出典:https://eiga.com/movie/88836/)

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どこかで誰かと繋がっている世界

https://twitter.com/Eine_movie/status/1172322408402833410

『アイネクライネナハトムジーク』は群像劇で、誰もが小さな物語の主人公であることを思い出させてくれる映画です。

マーケティング会社で働く佐藤。
彼の出会いを中心に様々な物語が起こります。

佐藤の友達の織田夫婦。
世界戦に勝ったら告白すると決めたボクサー。
そのボクサーの戦いに勇気付けられた佐藤の上司。
佐藤やボクサーによって勇気をもらったいじめられっ子の少年。

それぞれが直接知り合いでなくても、誰かを介して人は繋がっているのです。
その繋がりは時代も超えていきます。
10年後の世界でもさらに広く繋がっていくのです。

織田夫婦の子供の美緒とその友人亜美子は10年ぶりに世界戦に挑戦するボクサーの試合を見にいきます。

その帰り落としものを拾った亜美子。
持ち主は10年前佐藤が助けたいじめられっ子の少年でした。

さらに亜美子の予備校では佐藤の彼女が働いています。

私たちは何気なく生活していますが、もし切り取ってそれを映画のようにしてみるとどこかで誰かと繋がっているのです。
友達の友達が友達だったというような世界に私たちはいきているのです。

偶然の出会いの重なりが人をつなげていきます。
そしてその繋がりを見ているとなぜだか心の中が暖かくなってきます。

映画を見終わったら「人に優しくしよう」という思いが心の中に広がっていました。

人生で出会う人は少ないかもしれないけど、その出会った人の向こうに繋がっている世界はとてつもなく広い世界です。

『アイネクライネナハトムジーク』は、小さな世界の自分が大きな繋がりを持っていることに気づかさせてくれる映画でした。

小さな夜の積み重ね

私たちの毎日は小さな夜の積み重ねです。
一日一日は些細な日々ですけど、それが積み重なって私たちの人生になっていくのです。

佐藤は友人の織田から「あとで、あの時・あの場所で出会ったのが君でよかった」と思える人と出会うことが大切だと言います。

その言葉を聞いてから10年後。
佐藤は10年前に出会った紗季にプロポーズしました。
その後色々ありましたが、「あの時、あの場所で出会ったのが君でよかった」と心から紗季に伝えることができたのでした。

佐藤の心に残ったこの言葉を聞いた織田の娘の美緒は「あとでっていつ?」と疑問を持ちます。

佐藤は10年後に思いましたが、人によって「あとで」は変わるでしょう。
でも共通することは「あとで」良かったと思うのはきっと「今」をちゃんと生きているからだと思います。

佐藤にこの言葉を言った織田は、学生の時、妊娠した彼女のために学生を辞めて働き始めけ結婚を決めました。
彼はその時一生懸命生きていたのです。
だから振り返った時に「あの時出会ったのが彼女で良かった」と思ったのです。

小さな夜をきちんと生きて積み重ねていたのです。

佐藤の上司はその積み重ねに失敗したのかもしれません。
でも奥さんに出会った時はちゃんと生きていたから離婚しても「あの時、出会ったのが彼女で良かった」と思えているのです。

だから「あの時、あの場所で出会ったのが君でよかった」とあとで思うのには、今が大切なのです。

「今」という小さな積み重ねだけどそれが人の人生で、振り返った時に良かったと思えるのです。

路上ライブをしていた斎藤さんは10年経っても変わりません。
歳もとっていなくて10年経っても同じ姿で歌を歌い続けています。
斎藤さんは「今」だからではないでしょうか?

佐藤や紗季にとっての「今」。
10年後の美緒や久留米にとっても彼らの「今」です。
だから斎藤さんはいつ見ても同じ姿なのかなと感じました。

まとめ

私たちの日常は小さいと感じるかもしれないけど、その向こうには大きな世界が広がっていて、その日常の積み重ねが私たちの人生なんだと気づかせてくれるのが群像劇『アイネクライネナハトムジーク』でした。

見終わった後にほっこりする映画であると同時に、今を大切に生きようとも思いました。

恋愛にかかわらず、10年後振り返った時「あの時にあなたと出会えて良かった」と思えるように、1つの1つの出会いを大切にしたいと心に刻みました。


アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

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