ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの2作品目となる『007 慰めの報酬』。『007』シリーズには珍しく前作の完全な続編となっていました。前作で亡くなってしまったヴェスパーを忘れられないボンド。彼の向かう先は復讐なのか任務なのか?
『007 慰めの報酬』作品情報
タイトル | 007 慰めの報酬(Quantum of Solace) |
監督 | マーク・フォースター |
公開 | 2009年1月24日 |
製作国 | イギリス/アメリカ |
時間 | 1時間46分 |
Rotten Tomatoes
『007 慰めの報酬』あらすじ
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何者かの陰謀によって愛するヴェスパーを亡くし、復讐を誓ったボンドは、彼女を操っていたミスター・ホワイトを捕らえ、真相を究明すべく尋問する。
そして、彼の背後には世界中の有力者や諜報機関をも取り込む巨大な組織が存在していることを知るのだった。
その調査のため、まずハイチに向かったボンドは、そこでカミーユという謎めいた女性と出会う。さらに彼女を通じ、組織の幹部ドミニク・グリーンを突き止めるボンド。
グリーンの表の顔は、環境保護のため土地を買収する慈善団体“グリーン・プラネット”のCEO。
だがその裏では、ボリビアの土地に眠る貴重な天然資源の独占を目論み、それを機に世界支配を企んでいた。
上司Mから、グリーンの陰謀を阻止する任務を私情を挟まず遂行せよ、と念を押されるボンド。
ところが、カミーユも実はグリーンと共謀するボリビアの将校に愛する家族を殺され、復讐の機会を窺っていると知ったボンドは、彼女と共にグリーン打倒へ奔走していく。
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=330798)
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復讐か任務か?
『007』シリーズでは珍しく完全な前作からの続編となった『007 慰めの報酬』。
前作で愛した女性ヴェスパーを亡くしたボンドは、ヴェスパーに関わっていた男ホワイトをMI6に連れて行きます。
しかしMI6の中にもすでにホワイトの仲間が潜み彼を逃してしまったのでした。
MI6を裏切った男ミッチェル。
彼はMI6に8年もつとめMの警護に5年ついていた人物です。
このミッチェルといいヴェスパーといい彼らの背後関係をあまり調べずに信用してしまうMI6は大丈夫?と思ってしまいますが、それ以上に敵である組織が1枚上手なのでしょう。
ホワイトの属する組織を調べることがボンドのミッションでしたが、彼はヴェスパーのことで心を痛めていました。
愛した女性でありながら自分を裏切った女性。
ボンドの心の傷を心配しているMは「復讐か?任務か?」と尋ねますが、ボンドは「任務だ」と答えます。
しかし彼は謎の組織を調べる中、出会う重要な人物を次々と殺してしまうのです。
「ボンドは自分をコントロールできなくなっているのでは?」とMI6やCIAから追われる身となってしまうのです。
そんな中家族を殺されたボリビアの諜報員かミーユと出会ったボンド。
彼女もまた復讐のために任務をこなしている女性でした。
お互いの心の痛みがわかる2人。
2人は復讐と任務のために、共通の敵であるグリーンとメドラーの将軍の元に向かったのでした。
ボンドガール
『007 慰めの報酬』でボンドガールを演じたのは、ウクライナ出身のオルガ・キュリレンコでした。
家族をメドラーの将軍に殺され、復讐するためにボリビアの諜報員となったカミーユを演じています。
今作の『007 慰めの報酬』では、ボンドガールとジェームズ・ボンドのベットシーンはありません。
キスシーンはありましたが、それも恋愛というよりは「復讐」という心の傷を分かり合える同士という感じでした。
それだけボンドの心にはヴェスパーのことが強く残っているのでしょう。
しかしMに支持されボンドを迎えにきたフィールズとは関係を持ってしまいます。
もちろんこれは恋愛ではなくて、フィールズを自分の味方にするために使ったボンドの手でしょう。
そんなフィールズもグリーンによって殺されてしまいます。
フィールズが石油まみれになって死んでいる姿は、『007 ゴールド・フィンガー』で金にまみれて殺された女性の姿を思い出しました。
ヴェスパーという女性を心から愛していたボンド。
この辺の設定も今までの『007』シリーズにはない、新しい設定です。
ラストでヴェスパーのペンダントを捨てたボンド。
これで気持ちは吹っ切れたのでしょうか?
新たな組織
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じていた頃の敵の組織はスペクターでした。
今作ではそのスペクターに変わるような組織がラストで分かります。
その組織は「クワンタム」で、ホワイトやグリーンの所属する組織です。
まだ全体像がつかめませんが、MI6にも部下を送り込めてしまう組織です。
さらに今回グリーンはボリビアの水の60%を支配しようとしていました。
各国を相手にお金を巻き上げ、世界中を支配しようとしているクワンタム。
アメリカやイギリスですらこの組織と手を結ぼうとしていたほどです。
この組織の全貌はこの先の『007』シリーズで見えてくるはずです。
まとめ
ダニエル・クレイグになって2作品目となる『007 慰めの報酬』。
やはり渋くてどこか組織に馴染めないボンドでした。
MI6との関係もまだ深くは内容ですが、Mはボンドのことを信頼しているようです。
そしてまたボンドもMに対しては、忠実なようにも見えます。
復讐心を心に秘めながらもミッションをこなし、最後にはMの命令に従ったボンド。
少しづつ2人の関係にも信頼関係が芽生えているのかもしれません。