3回目のリメイク作品となる1954年の『スタア誕生』。ジュディ・ガーランドが主演を務めた作品は、彼女自身の人生と重なる部分がたくさんありました。ジュディ・ガーランド復活と言われた作品であり、そしてまたアメリカ国民に愛され続ける『スタア誕生』をここではジュディの人生と重ねながら見ていきたいと思います。
『スター誕生』作品情報
タイトル | スタア誕生(A Star Is Born) |
監督 | ジョージ・キューカー |
公開 | 1955年5月15日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間34分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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コーラス・ガールのエスターが、ハリウッドの大スター、ノーマンに素質を見いだされた。
ノーマンの口利きによって、エスターは次第にスターの階段を登っていく。
そしてエスターは、ノーマンに対する深い愛情を覚える。
だが、彼女がオスカーを手にするまでに至ったとき、ノーマンは落ちぶれて自殺をしてしまう。
エスターは、一度は引退を決意するが……。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/11851)
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ジュディ・ガーランドが演じたヴィッキー・レスター
3回目のリメイクとなる1954年版の『スタア誕生』。
この映画の主役ヴィッキー・レスターを演じたのは、ジュディ・ガーランドでした。
『オズの魔法使い』で一躍大スターとなったジュディ・ガーランドの復活作品と言われているのが、この『スタア誕生』です。
彼女は子役時代に大スターとなりましたが、それが彼女の人生を狂わせることになってしまいます。
彼女は薬物中毒となってしまい、波乱万丈な人生を送っていたのです。
『スタア誕生』の中でヴィッキーが演じたミュージカル。
その中で自分の人生を歌とともに振り返るシーンがあります。
子供時代にで有名になったけど、その後なかなか女優としてチャンスをもらえない人生。
それはジュディ自身の人生と重なる部分があったのかもしれません。
またヴィッキーの夫ノーマンは、アルコール中毒になっています。
一度は有名になった役者でしたが、その後役者として落ちぶれてしまいどんどんアルコールにのめり込んでしまうノーマン。
このノーマンの人生もまたジュディ自身の人生でありました。
薬物だけでなくアルコール中毒にも陥っていたジュディ。
彼女は仕事に穴を開けたりしていて、まさ式ノーマンのような状態に陥っていました。
そんな彼女が再起をかけて臨んだのがこの『スタア誕生』でした。
ヴィッキーのセリフに「なぜお酒で自分の人生をダメにしてしまうの?」と問いかけるセリフがあります。
ジュディはこのセリフを言いながら自分自身に問いかけていたのかもしれません。
ノーマンは最終的にヴィッキーの人生を守るために自殺してしまいます。
ジュディはヴィッキーという役を演じながらどんな思い出ノーマンを見ていたのでしょうか。
彼女は薬物による精神状態の破滅からなんども自殺未遂を繰り返していました。
自分の人生に似ているノーマンを夫に持つスタアのヴィッキー・レスターを演じたジュディ・ガーランド。
彼女はこの作品に女優としての復活をかけて臨んでいたのかもしれません。
『スタア誕生』ではヴィッキー・レスターはアカデミー賞最優秀助演賞を受賞しました。
ジュディ自身はこのヴィッキー役でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされます。
しかし残念ながら受賞は逃してしまいました。
このことが再起をかけた彼女の人生をまたまた狂わせてしまうことになったようです。
一度は立ち直ったはずのジュディでしたが、また薬物に溺れてしまいました。
ジュディの人生と重なってしまうヴィッキーの夫ノーマン。
ハリウッドの世界で浮き沈みを描いた『スタア誕生』はジュディ自身の人生と重なる部分があるのです。
『スタア誕生』(1954年)の秘密
1954年版の『スタア誕生』は劇場で公開された当時は154分の上映時間でした。
しかしオリジナル版は181分という長さの作品になっています。
現在私たちが目にすることができるのはオリジナル版の181分の作品です。
このオリジナル版を見ているとおかしな点に気がつくと思います。
それは所々に写真が入っていることです。
演出なのかなと思った人もいるかもしれませんが、これはある事情によって写真が使われているのです。
なぜかというと1954年という古い作品なので、オリジナル版で追加されたシーンの映像が残っていないことが原因です。
そのため追加されたシーンのところは残っていた写真を使ったので、時々写真になってしまうのです。
写真以外のシーンが当時劇場で公開された部分になります。
映像が残っていないということで時代を感じる作品でもありますが、『スタア誕生』は何度もリメイクされている作品です。
それだけハリウッドで愛され続けている作品でもあり、どの時代にも通じる脚本であると言えるのです。
まとめ
長年ハリウッドで愛されている『スタア誕生』。
1954年の作品は主人公をジュディ・ガーランドが演じましたが、彼女自身の人生と重なる部分が描かれている作品でもありました。
彼女が復活をかけて臨んだ『スタア誕生』。
この時も薬物と戦いながら彼女はヴィッキーを演じていました。
それを知ってこの作品を見直すと、また違った視点でヴィッキーの気持ちを見ることができるはずです。