刑務所を出所した男が、迷いながらも別れた妻の元を目指すロードムービー。途中で出会った見知らぬ男女2人と珍道中をしながら妻のことを思い出しています。最後で不器用な男が見上げた黄色いハンカチには、妻の想いが込められていました。
『幸福の黄色いハンカチ』作品情報
タイトル | 幸福の黄色いハンカチ |
監督 | 山田洋次 |
公開 | 1977年10月1日 |
製作国 | 日本 |
時間 | 1時間48分 |
『幸福の黄色いハンカチ』あらすじ
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北海道網走。
夢だった新車を買って北海道をドライブする欽也は、途中女の子をナンパし、ふたりで旅を続ける。
ある時、ひょんなことから出所したばかりの中年男・勇作と出会い、旅をともにすることに。
やがて、ふたりは勇作から“自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを下げておいてくれ”と妻と約束したことを打ち明けられる……
(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=90357)
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北海道ロードムービー
東京で新車を買い北海道に旅に出た花田欽也。
仕事を辞めて北海道に向かいます。
目的は心機一転。
好きな女の子に振られたこともあって花田欽也は北海道で新しい女の子との出会いを求めていました。
東京から北海道の旅に出たのが小川朱美。
彼氏が浮気していることを知ってホックを受けた小川朱美は、傷心旅行で北海道にきていたのでした。
小川朱美は旅の途中で花田欽也と出会い、二人は車で旅することにしました。
今考えると見知らぬ人の車に乗るなんて驚きですが、当時はまだ普通だったのかもしれません。
二人が北海道に向かったのは、もう一度自分をやりなおすためでした。
だからこそ、花田欽也は電車ではなく車だったのです。
車に乗って広大な土地を旅することで、自分を見つめなす旅でもあったのです。
アメリカ映画だとよく見られるロードムービーのジャンルに『幸福の黄色いハンカチ』は当たります。
日本は土地が狭いのでロードムービーの製作は難しいのですが、北海道だったから成り立ったのです。
広大な土地のある北海道で、二人はもう一度自分を見つめ直したかったのです。
好きな人に振られたという心の傷が、見知らぬ二人を意気投合させたのかもしれません。
それはこの後で会う主人公の島勇作も同じです。
傷を負った3人がこの度を通して、人生をやり直す映画が『幸福の黄色いハンカチ』でもあるのです。
不器用な男、島勇作
カッとなって喧嘩してことで男を殴り殺してしまった島勇作。
彼はその罪で刑務所に6年入っていました。
好きで好きでたまらなかった妻とは、けじめのために別れてしまいます。
刑期を終え刑務所を出た島勇作は元妻に手紙を書いていました。
不器用で感情をうまくつ耐えられない男が、必死でその手紙に思いを託したのです。
妻に会うために夕張に向かうつもりでしたが、冷静になると勇気が湧いてきません。
喧嘩っ早くて男らしい男も好きな女性には弱気になってしまいます。
出会った若者の男女二人と目的のない旅をすることになりますが、旅の途中もなんども妻を思い出していました。
「まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら、竿に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ」妻にあてた手紙にそう買いた勇作でしたが、夕張に戻る勇気がどうしても持てなかったのです。
それを後押ししてくれたのが花田欽也と小川朱美です。
島勇作の想いを知った二人は、島勇作を夕張まで連れて行き、ハンカチを探してくれたのでした。
有名なラストシーン
ラストで竿にかかている何枚もの黄色いハンカチ。
邦画史上でもっとも有名なラストシーンの1つと言えるシーンです。
1枚だけではなく、何枚も吊るされていたハンカチ。
それを見るだけでどれほど妻が勇作の帰りを待っていたのかを感じることができます。
ラストの勇作と妻のシーンはほとんどが引きのショットで、もちろん二人の会話などありません。
でも近づいていく二人の距離を見ていると二人がどんな会話をしたのかが想像できます。
妻に荷物をわたし何枚もの黄色いハンカチを見上げる勇作。
この時の彼の気持ちも感じることができます。
ラストの二人のシーンだけで、彼らのお互いを思いあう愛情とこの先の幸せを感じ取れます。
感動のラストシーンとなっていました。
まとめ
不器用な健さんとおちゃらけた武田鉄矢。
そして謎の女性桃井かおり。
全く噛み合わない3人の旅は、いろんな経験をしながら3人の絆を強くしていきます。
旅を通して少しずつ本心を見せ合う3人は、この度が終わる時3人とも幸せを手に入れていました。