フランス映画の巨匠ルイ・マル監督のデビュー作である『死刑台のエレベーター』。ジャンヌ・モローの出す色っぽさが、音楽のモノクロ映画の中で強烈に伝わってくる映画です。なんとも言えない。ジャンヌ・モローの空気感に魅了されてしまいます。
『死刑台のエレベーター』作品情報
タイトル | 死刑台のエレベーター(Elevator to the Gallows) |
監督 | ルイ・マル |
公開 | 1958年9月26日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間31分 |
Rotten Tomatoes
『死刑台のエレベーター』あらすじ
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大企業社長の側近として、その手腕を発揮していたジュリアン。
しかし彼は同時に、社長夫人フロランスと不倫関係にもあった。
情事の果て、社長を自殺に見せかけて殺すことを画策したジュリアンは、それを実行に移す。
完全犯罪を成し遂げたかに思えたが、証拠隠滅のため再び犯行現場に戻る途中のエレベーター内に運悪く閉じこめられてしまう。
一方、ジュリアンの車を盗んで、パリの街へと繰り出した花屋の売り子ベロニクとその恋人ルイ(も予期せぬ殺人を犯してしまう。
十数階の高所で突然停止してしまったエレベーター内で、閉鎖空間の恐怖と焦燥感に見舞われる男。
恋人に対する信頼と懐疑を抱えながら、行く当てもなく街を彷徨う女。
そして、自動車道を疾走する若者たち。4人は、パリの夜の深淵へと引き込まれて行く…。
(出典:http://www.zaziefilms.com/shikeidai/intro/)
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ジャズが流れる世界観
『死刑台のエレベーター』の見どころの1つは、映画の中で流れる音楽です。
マイルス・デイビスの奏でるジャズがモノクロの映像とジャンヌ・モローの醸し出す雰囲気とピッタリ重なり、気だるい空気感を作り出しています。
雨の中必死でジュリアンを探すフロランス。
セリフはほとんどありませんが、雨とジャズがフロランスのひたむきな愛を表現しています。
一度はジュリアンを疑ったフロランスでしたが、それでも夜中じゅう町を歩き回ります。
さらにどんなことが起こっても、同様を見せないフロランス。
彼女の力強さもジャズによって表現されていました。
映像と音楽と俳優がピッタリと重なり合ってできた素晴らしい作品が『死刑台のエレベーター』です。
ジャンヌ・モロー
『死刑台のエレベーター』でフロランスを演じたのはジャンヌ・モローです。
彼女はこの映画で注目され世界的女優のスタートを切りました。
フランスの偉大な女優のひとりである彼女の雰囲気は、可憐だけど強くもある女性をたくさん演じています。
『死刑台のエレベーター』もその1つで、この中で彼女は表情をほとんど変えることありませんが、雰囲気だけでジュリアンに対する愛や嫉妬を表現しています。
警察に捕まってしまったジュリアンを助けるために、若者の部屋に向かったジュリアン。
その時は彼女の全体から狂気が溢れ出ていました。
彼女のアップで終わるラストシーン。
ジュリアンも彼女も刑務所に入り、二人は引き裂かれることになってしまいます。
悲しみとそれでも彼を愛する気持ちを語るシーンでは、物憂げな彼女の表情を忘れることができません。
まとめ
完全犯罪のはずがエレベータに閉じ込められてしまったことで全てが狂ってしまう『死刑台のエレベーター』。
愛する人を思う様々な気持ちをジャンヌ・モローが演じ切っています。
さらにマイルス・デイビスの素晴らしいジャズが重なることで、男女の複雑な思いを描いた切ない映画になっていました。