病気の子供を2人を1人で育てる母親グレース。夫は家族をおいて勝手に戦争に行ってしまい、戦争が終わっても戻ってきていません。神の教えのもとに必死で子育てをするグレースでしたが、次第に彼女の心は疲れ果て壊れてしまうのです。そんな子育てに疲弊する母親を描いたのが映画『アザーズ』だったのです。
『アザーズ』作品情報
タイトル | アザーズ (The Others) |
監督 | アレハンドロ・アメナーバル |
公開 | 2002年4月27日 |
製作国 | スペイン/フランス/アメリカ |
時間 | 1時間41分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
子育てに疲れた母親
1945年、チャネル諸島のジャージー島にある大きなお屋敷で、2人の子供を育てる母親のグレース。
島がドイツ軍に占領されてしまうと、夫はドイツ軍と戦うために自ら兵士になることを志願します。
そして反対する妻と子供を残し、戦地に向かってしまいました。
そしてその日から夫は家に戻ってきていないのでです。
たった1人で2人の子供を育てることになったグレースは、敬虔なキリスト教とらしく子供達に聖書を読ませきびいく躾けます。
それは夫が戻ってきた時に、立派に育った子供を見せようとしていたからかもしれません。
しかし子供は母親を困らせてばかり。
聖書の教えを信じることができません。
それが子供であれば誰もが持つ疑問でした。
子供2人は「鳩が精霊なんて信じない」という些細なことです。
しかしグレースはそんな子供らしいことも許せず、子供達をしかってばかりいました。
ただし、それは子供をちゃんと育てようとするグレースの想いでもあったのです。
なぜなら子供達は重い光アレルギーで、日光を浴びることが出来ないからです。
家のカーテンを閉め扉もきちんと閉めて、子供が病気で苦しまないようにグレースは母親として子供を守っていたのです。
しかしそれは世間と隔離されて世界で過ごすことになってしまいます。
暗い家の中で世間と離れ、たった3人で暮らすグレースと子供達。
やがてグレースは子育てに疲れ、精神的なストレスを抱えるようになってしまったのです。
それがこの3人の運命を狂わせてしまったのです。
死者と生きている者の交わる世界
人間が死んだ後、行くとされている死後の世界。
[box class=”red_box” title=””]・地獄
・煉獄
・アブラハムのふところ
・リンボ[/box]
敬虔なキリスト教徒のグレースは、子供達に人間は死んだら死後の世界(冥界)に行くと教えています。
そしてその冥界は4つあり、現世でどんな行動をとったかで行く場所が違うのです。
嘘をつこうとしている子供に対してグレースは、「嘘をつくとリンボに行く」と教えていました。
そこはとても熱く、そこで永遠に罰を受け続けると言っていました。
それほど神や聖書の世界を信じているグレースは、人間は必ず死んだら冥界に行くと思っています。
しかしグレース達の住む家は死者と生きている者が交わる世界だったのです。
そこは死者と生きている者が同時に存在する場所でもあったのです。
もちろんそれは互いには見えません。
教えてもらったことしか信じていないグレースは、そんな世界があるとは全く思いません。
それは聖書には書かれていない世界だからです。
しかし彼女達がいたのは、生と死が交差する場所でした。
そしてグレースは少しづつ、自分のいる場所について理解し始めます。
それと同時に自分に何が起きたのかも知ることになっていくのです。
自分と子供に起きたことを理解できないために、戦地にいった夫も戻ってきます。
彼はすぐにグレースの前から姿を消してしまいますが、彼は彼女達に自分たちの居場所を教えるために戻ってきたのです。
誰にも教えてもらったことのない場所を知ったグレース。
彼女は「ここはどこ?」と考えますが、お手伝いさんは「受け入れるしかない」と教えてくれたのです。
まとめ
子育てに悩み苦しむ母親の姿を描いた映画『アザーズ』。
あの屋敷の中でグレースは1人苦しみもがいていたのです。
しかしそれは最悪の結果を産んでしまいました。
だからこそ、彼らは自分たちの身に起きたことを理解できず、あの屋敷に住み続けていたのです。
最後に自分達のことを理解したグレースは、きっとこれから先は子供達を仲良く幸せにあの屋敷で暮らしていくはずです。