カー・スタントマンが監督・主演・脚本を務めた作品『バニシングin60″』。CGではなく本物のカースタント、カーアクションの凄さを私たちに見せてくれる作品です。ストーリーはほとんどありませんが、後半永遠に続くカーチェイスシーンは圧巻で、見せ場を知っている監督だからこそ描くことのできたシーンに引き込まれてしまいます。
『バニシングin60″』作品情報
タイトル | バニシングin60″(Gone in 60 Seconds) |
監督 | H・B・ハリッキー |
公開 | 1975年6月25日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間45分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
[aside type=”normal”]
表向きは保険調査員、しかしてその実態は車専門の盗っ人集団に大口の仕事が舞い込む。
期日までに台数を揃えようと彼らの仕事が開始されるが、その中の一台が盗難保険に入っていなかったためにわざわざ返そうとプロの仁義を表に出したのが運の尽き。
ついに総動員されたパトカーに追われる事となる。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/18320)
[/aside]
圧巻のカーチェイスシーン
監督のH・B・ハリッキーは、元々カースタントマンです。
その彼が監督だけでなく、制作・脚本・主演を務めたのが映画『バニシングin60″』。
要するにH・B・ハリッキーのやりたかったもの全てが込められている作品になっているのです。
車の窃盗集団が高級車を次々と盗み出すという物語で、それ以外のストーリーはありません。
彼らがただただ車を盗む様子が前半は描かれていきます。
そして後半どうしても盗むことのできない「エレノア」に乗ったところから、警察とのカーチェイスが始まります。
映画の後半は全てカーチェイスシーンになっています。
映画のエンドクレジットに「ハリッキーの夢を叶えるためにご協力くださった皆様に感謝を」と出るほど、この映画は監督が作りたかったものなのです。
見せ場を知っているカースタントマンだけあって、映画の中で描かれるカーチェイスシーンは迫力満点です。
砂埃の中を何度も走り回ったり、パトカーが何台に追突するシーンなど、カーアクション好きの人にはたまならないシーンが連続します。
またカーチェイスの様子を外から見せるだけでなく、車の中からも見せてくれます。
逃げる主人公、追いかける警察官。
どちらに車の中にもカメラが仕込まれていて、ドライバー視点で見る映像はリアルすぎて思わず緊張してしまうほどです。
一体この映画のために何台車を潰したんだろうと思ってしまう描写の連続。
エンドクレジットに「クラッシュ王ハリッキー」と出たのには、思わず納得してしまいました。
監督の夢が詰まった作品が映画『バニシングin60″』なのです。
黄色のマスタング
主人公のペイスがなかなか盗み出すことにできない車「エレノア」。
ようやく手にしたと思ったら、警察に追われることになってしまいます。
・盗む車は保険をかけた車だけ
・保険会社のケチな主任を罰する
などどこか優しさもあるペイスでしたが、ハンドルを握るとその性格は豹変してしまいます。
自分の暴走で他の車が巻き添えになっても、周りにいる人が怪我にあってもお構いなし。
警察を振り切るためにひたすら走り続けるのです。
しかも途中、わざと車を止めて見せたりと明らかに警察をバカにしているようにも見えます。
どんなに警察に包囲されても、決して止まることはありません。
途中スピンして柱に思い切りぶつかりますが、それでも走り続けます。
もはや執念としかいえないペイスの運転です。
街中や高速など色んなところを走ったことで、車はぼろぼろです。
「こんな車を売ることができるの?」と思っていると、ラストになるほどというオチが待っていました。
運転技術だけでなく、頭の良さもわかる主人公ペイスのカーチェイスでも逃亡劇でした。
まとめ
緊張と迫力の連続のカーチェイスシーン。
そんなカーチェイスシーンが魅力となって、語り継がれる作品『バニシングin60″』。
この映画を見ればどれほど監督が、カースタントにプライドを持っていたかが分かります。
そしてその凄さを私たちに教えてくれたのです。
この映画は、スタントマンの偉大さがわかる映画でもあるのです。