1981年に公開された2本の狼男映画『ハウリング』と『狼男アメリカン』の関係


1981年に公開された狼男映画『ハウリング』と『狼男アメリカン』。どちらも狼男をモチーフにした作品ですが、それ以外にもこの2つの作品にはある共通点がありました。ここではその共通点 どちらも当時話題になった人間から狼への変身シーンについてみていきます。

1981年公開の2本の狼男映画

ハウリング


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タイトルハウリング(The Howling)
監督ジョー・ダンテ
公開1981年3月13日(アメリカ)
製作国アメリカ
時間1時間31分

狼男アメリカン


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タイトル狼男アメリカン(An American Werewolf in London)
監督ジョン・ランディス
公開1981年8月21日(アメリカ)
製作国アメリカ/イギリス
時間1時間37分
アカデミー賞受賞
・メイクアップ賞

2つの作品に関わったリック・ベイカー

今では特殊メイクの巨匠と呼ばれるリック・ベイカー

実は彼は『ハウリング』と『狼男アメリカン』2つの狼男作品の特殊メイクに関わっていました。

1973年に公開された『シュロック』でジョン・ランディス監督と リック・ベイカーは一緒に仕事をしますが、この時2人は『狼男アメリカン』のについての話を交わし狼男への変身シーンについてたくさんアイディアを出しました。

その後ジョン・ランディス監督は『狼男アメリカン』製作のために資金集めに奔走しますが、時間がかかっていました。

そんな時リック・ベイカーの元にジョー・ダンテ監督から『ハウリング』の特殊メイクの依頼があります。

『狼男アメリカン』は製作されないと思っていたリック・ベイカーは、この依頼を受けますがその数週間後にジョン・ランディス監督から『狼男アメリカン』の製作が決まったと連絡がありました。

リック・ベイカーの話を聞いたジョン・ランディス監督はかなり怒ったそうです。

なぜならリック・ベイカーは『狼男アメリカン』のために温めていたアイディアをジョー・ダンテ監督に伝えていたからです。

リックはジョン・ランディス監督の怒りを沈めるために、『ハウリング』から手を引くことを決めます。

彼は自分の弟子でもあるロブ・ボッティンをジョー・ダンテ監督に紹介し、自分は相談役となることを伝えます。

そして自分自身は『狼男アメリカン』の特殊メイクを担当することにしました。

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狼男への変身シーン

ハウリング

ロブ・ボッティンが特殊メイクを担当することになったとは言え、すでにリック・ベイカーはたくさんのアイディアを出していました。

また相談役であることからロブ・ボッティンにアドバイスもしていました。

ロブ・ボッティン自身はリック・ベイカーのアイディアにさらに自分が長年温めていたテクニックを合わせたものをベイカーに伝えます。

ベイカーから「やってみたらいい」とOKをもらったロブ・ボッティンは、自分なりの人間から狼への変身シーンを『ハウリング』で実践しました。

最初の変身シーンでは牙が生える様子をメインにしているように、『ハウリング』の変身シーンは全体的に顔の変化に時間をかけているように感じます。

もちろん全身の変化も映しているのですが、1番印象に残るのは人間の顔が少しずつ狼の顔に変わっていく様子だと思います。

この変身シーンは好評でメディアでも注目を集めるものとなりました。

映画を見たリック・ベイカーも「素晴らしい」と語っていて、またジョン・ランディス監督も『ハウリング』を気に入っていました。

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『狼男アメリカン』の特殊メイクに専念することになったリック・ベイカーでしたが、自分のアイディアを『ハウリング』のスタッフに伝えたことに苦しめられることになります。

『ハウリング』の真似にはならないそれ以上のものを作らなければなりませんでした。

そこにさらにジョン・ランディス監督から2つの要望が伝えられます。

・4足歩行の狼男
・変身シーンをきちんと描く(動きながらの変身)

監督の要望に応えるために、リック・ベイカーは狼男の製作を進めていきました。

4足歩行に関しては、前足の部分(上半身)の狼の着ぐるみを製作し、組体操の手押し車方式で4足で歩いているように見せました。

さらに変身シーンについては主人公デヴィッドを演じたデヴィッド・ノートンの顔・手・足などの方をとってダミーを作り、中に仕掛けを入れて変身するシーンを作り出しました。

特殊なゴムを使用していて皮膚が伸びながら少しずつ変身していく姿が画面に映っているので、観客は変身するデヴィッドの苦痛を感じ取ることができます。

今ままでとは違う変身シーンを作り出したリック・ベイカーは、アカデミー賞で設定されたばかりのメイクアップ賞を受賞しました。

そしてそれはモンスター映画の新たな基準となっていったのです。

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まとめ

モンスター映画の変身シーンの新しい歴史を作ったといえる『ハウリング』と『狼男アメリカン』。

その両方に携わっていたのは特殊メイクの巨匠リック・ベイカーでした。

どちらもそれまでのフィルムをつなぐ方法ではなく、リアルな変身シーンを描き出しました。

さらに『狼男アメリカン』では、動きながら変身するという画期的な変身シーンを作り出しています。

同じ1981年に公開された『ハウリング』と『狼男アメリカン』を見てその変身シーンを比べてみるのも楽しいですし、また両方の作品の原点でありオマージュを捧げている1941年の『狼男』をみるとよりモンスター映画の歴史を感じることができると思います。