映画『エクソシスト』オリジナル版とディレクターズカット版を比べてみた


悪魔祓いを描いた映画『エクソシスト』。実話をもとにして書かれた原作小説の映画は1973年に公開されると衝撃的な映像とともに大ヒット作品となりました。しかしそれから25年後、あの有名なシーンが追加されたディレクターズカット版が公開されます。ここではそんなオリジナル版とディレクターズカット版の違いを紹介します。

『エクソシスト』作品紹介


エクソシスト(字幕版)

タイトルエクソシスト(The Exorcist)
監督ウィリアム・フリードキン
公開1973年12月26日(オリジナル) 2000年9月22日(ディレクターズカット版)
製作国アメリカ
時間2時間2分(オリジナル) 2時間12分(ディレクターズカット版)
アカデミー賞受賞
・脚色賞
・音響賞

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オリジナル版とディレクターズカット版の違い

映画『エクソシスト』は配給会社ワーナーブラザーズの製作部のトップの指示もあり、ウィリアム・フリードキン監督が最初に考えていたものよりも12分ほど短いバージョンで1973年に公開されています。

最初「くどいシーンがある」と言われた監督は納得いきませんでしたが、最終的にワーナー側の意見を受け入れ必要ないシーンを削除しました。

しかしこれに対して原作者であり脚本を担当しているウィリアム・ピーター・ブラッディは「作品を汚した」と激怒したそうです。

それでも映画は大ヒットし語り継がれるホラー作品となっていきました。

ただし、ブラッディ自身は作品に納得がいかず、公開から25年後の2000年にフリードキン監督に「もう一度再編集しよう」と声をかけたことで、削除されたシーンなどが追加されたオリジナル版よりも10分長い、ディレクターズカット版が製作されたのです。

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ブリッジシーン

『エクソシスト』の中にはたくさんの衝撃的なシーンがありますが、その1つが少女リーガンがブリッジをしながら階段を降りるシーンだと思います。

しかし実はこのシーンはオリジナル版にはなかったのです。

監督はオリジナル版でも使用するつもりでいましたが、このシーンを撮影するときに使用したワイヤーが画面の中に映り込んでいました

当時はCGなどない時代なので仕方ないことですが、泣く泣くこのシーンはカットされてしまいました。

しかし2000年版ではCGでワイヤーを消すことができ、この有名なシーンが復活することになったのです。

リーガンの検査シーン

オリジナル版で削ったシーンの1つにリーガンの病院での検査シーンがあります。

脳の検査シーンなどはオリジナル版にもありますが、それ以外にまだリーガンにそれほど症状が出ていない頃の検査シーンも撮影されていました。

監督はこのシーンを入れることでリーガンの初期症状や細かい変化を観客に見せようとしていました。

しかしワーナー側に「くどいシーン」と言われたことでこの場面はカットされます。

2000年版ではこのシーンも加えられていて、リーガンが少しずつ変化していく様子を見ることができます。

メリン神父とカラス神父の会話

悪魔祓いをしていたメリン神父とカラス神父は体力を奪われ疲れたこともあって一度休憩を入れます。

部屋の前の階段で座っている2人ですが、オリジナル版では2人の間に会話はありません。

一方2000年版にはカラス神父の「なぜ、あんないい子が選ばれた?」とそれに答えるメリン神父の「我々を絶望させるためだ」という台詞があります。

このシーンは脚本家ブラッディの要望もあって追加しましたが、オリジナル版でカットされた時には彼はかなり怒ったそうです。

監督は言葉で説明しなくても映画を見ていれば観客は理解できると考えているのでこのセリフは必要ないと思っていましたが、ブラッディは「標的はリーガンではなく、誰にでも起きうることなのだ」とメリン神父に説明させたかったのです。

再編集の時でもこのシーンは必要ないと監督は思っていましたが、作品の生みの親でもあるブラッディの顔を立てるために2000年版にはこのセリフを追加しました。

監督自身「歳をとって私も謙虚になった」と語っています。

メダルのシーン

全てが終了し母親のクリスと娘のリーガンは引っ越していきます。

その時クリスはカラス神父が身につけていたメダルをダイアー神父に渡します。

オリジナル版ではダイアー神父はメダルを受け取りますが、2000年版ではダイアー神父は受け取ったメダルを再びクリスに返しています。

監督はこのシーンについて「信仰のメッセージであり信仰の象徴です」と語っていて「メダルはクリスとリーガンに託されたのです」説明していました。

監督は映画『エクソシスト』についてホラー映画ではなく信仰の神秘を描いた作品だと言っているので、クリスにメダルを返すというのは監督の描きたかったことが込められているシーンでもあるのです。

ラストシーン

オリジナル版は、ダイアー神父がリーガンの部屋を見たあと歩いていくところで終わります。

2000年版の方にはこの後に続きがあって、ダイアー神父はリーガンの家の前でキンダーマン警部と出会います。

そして2人は会話を交わしお昼を食べに歩きはじめるというのがラストシーンになっています。

このシーンについて脚本家のブラッディは、「2人の中でカラス神父が生きていることを表している」と言っています。

「カラス神父は永遠に生き続けていて、それぞれの関係がダイアー神父とキンダーマン警部に受け継がれた」と。

2人が会話をしながら歩いていくこのラストシーンで2人の会話は聞こえませんが、実際はここでキンダーマン警部が「2人の友情の始まりだ」というセリフを言っています。

音が悪すぎて会話は使われませんでしたが、ディレクターズカット版のラストはカラス神父の精神が2人の中にあることを意味するシーンだったのです。

まとめ

2000年に公開された映画『エクソシスト』のディレクターズカット版は、オリジナル版では描けなかった監督や脚本家の思いが詰まった作品になっていました。

たった10分ほどの追加ですが、追加されたどのシーンもこの映画を意味する重要なものとなっています。

またそれ以外にもサブリミナル効果のあるカットも追加されているので、オリジナル版とディレクターズカット版を見比べて、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。