シャム双生児の分離手術を専門に行なっていたドイツの有名なドクター。しかし彼は分離に飽きてしまい、結合に目覚めてしまう。新しい生命体を作り上げようとするドクター。彼はは誰も想像したことのない、とんでもない人間を作ろうとしていた。欲望に駆られるままに自分を制御できない博士。彼は自ら神になろうとしていた。
『ムカデ人間』作品情報
タイトル | ムカデ人間(The Human Centipede (First Sequence)) |
監督 | トム・シックス |
公開 | 2011年7月2日 |
製作国 | オランダ |
時間 | 1時間32分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
(引用:MIHOシネマ)
異常性に目覚めた博士
外科医として引退した後もシャム双生児の分離手術を行ったことで有名なヨーゼフ・ハイター博士。
彼はやがて分離ではなく創造することに目覚めてしまった。
それは「結合」するということだった。
すでに博士は3匹の犬を結合することに成功していた。
博士はそれを1つの生命体に変えたと説明している。
自分の望みを1つ叶えた博士が次に考えたのは人間の結合。
半年間着実に計画を進め彼はついに3人の人間を捕まえ結合させることにしたのだった。
「お前は変態だ」と言われると「変態だと分かっている」と答える博士。
彼は自分の異常性に気がつきそれを認めていた。
捜査にやってきた警察官が「博士は高名な博士だと聞いている」というくらいだから、分離手術ではかなり権威のある博士のはずだ。
それなのに彼は、異常性に目覚めてしまった。
分離を続けたことで、彼の中に異常性に火をつけたのかもしれない。
どちらにしろそれは普通の人間が考えつかない人間の結合だ。
手術の説明を聞く3人は、言葉すら出ない。
彼は「人間は嫌いだ」と口にしている。
その人間嫌いの気持ちが人間を新しい生命体に変えて、ペットのようにして飼育しようと思わせた。
人里離れた場所でたった1人で暮らす博士をもはや誰も止めることはできなかった。
神になろうとした博士
自分の欲望を抑えられなくなってしまった博士。
彼は新しい生命体を作ることで、神になろうとしていたのかもしれない。
それを察知した日本人の男性は「お前は神ではない」と叫び続ける。
しかしその声は博士に届くことがなかった。
彼はただ自分の欲望に突き進むだけ。
邪魔が入ればそれは排除する。
それは相手が警察官であろうが関係なかった。
恐怖を受け付け自分の思うがままにムカデ人間を操ろうとした博士。
しかし彼は神になることはできなかった。
ムカデ人間にされた男は、人間として生き続けることを望んだのだ。
それは人間のまま死にたいということでもあった。
博士に抵抗するために男が選択した道。
反抗的な目で博士を睨んだ後男は笑い出した。
そして「虫けらのような男だけど、人間であり続けたい」と叫び死んでしまった。
その様子を博士はただたた見るしかなかった。
博士は男の行動を止めることができなかった。
もしかすると博士は男が死ぬとは思っていなかったのかもしれない。
恐怖を与えれなみんなが自分の言いなりになると考えていたのかもしれない。
しかし男はそんな博士の傲慢さを突き破った。
自らの命を犠牲にすることで博士を神にならせなかった。
死んだ男を見ながら落胆する博士の様子は、自分の無力さを知った顔のように見える。
神になれないと悟った博士は、それでも最後の抵抗を試みる。
しかし彼に待っていたのは「死」だった。
だからこそあの場所に1人残されてしまったリンジーのすすり泣く声が、「絶望」のように聞こえてしまう。
まとめ
ホラーというジャンルを超えてしまった映画『ムカデ人間』。
それは恐怖というよりも、1人の異常な男に人生を壊されてしまった人間達の絶望を描いていた。
怖さではなく、気持ち悪さを感じる映画。
博士の異常性と残ったリンジーの絶望だけが残る終わり方になっていた。