1950年代郊外に一軒家を購入し、子供2人と暮らすフランクとエイプリル。一見誰もが特別と感じるほどの夫婦でしたが、本当は冷え切った夫婦でした。毎日のように続く夫婦喧嘩。なぜ2人はこんなにすれ違ってしまったのか?「現実」と「非現実」の世界で揺れうごきもがき続ける夫婦は、想像を絶する最後を迎えることになってしまうのです。
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』作品情報
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
タイトル | レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(Revolutionary Road) |
監督 | サム・メンデス |
公開 | 2009年1月24日 |
製作国 | アメリカ/イギリス |
時間 | 1時間59分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1950年代のコネチカット州。
“レボリューショナリー・ロード”と名づけられた閑静な新興住宅街に暮らすフランクとエイプリルのウィーラー夫妻は、二人のかわいい子供にも恵まれた理想のカップル。
しかし、その見た目とは裏腹に、彼らはそれぞれ描いていた輝かしい未来と現状のギャップに不満を募らせていた。
元陸軍兵のフランクは事務機会社に勤めるもセールスマン人生の我が身を嘆き、かつて女優志願だったエイプリルも大成せずに至っている。
するとフランクが30才の誕生日を迎えた夜、エイプリルが、家族一緒にパリで暮らしましょう、と持ちかけ、パリでは自分が秘書として働くからフランクは気ままに暮らせばいい、と言い出すのだった。
はじめは妻の突然の提案に戸惑うも希望を膨らませ、ついには移住を決意するフランク。
それは間もなく、周囲にも知るところとなるのだが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/332137)
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1950年代の家族
1955年が舞台の映画『『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』。
この時代郊外に家を持つ家族が増えていた時代です。
そしてそれは1つのステータスとなっていきます。
そんなステータスを手にした1組の夫婦フランクとエイプリル。
女優志望の妻エイプリルとやりたいことを探し続けている夫フランク。
彼らは周りには特別なカップルのように見えました。
そして本人達も「自分たちは特別で周りの夫婦とは違う」と思っていました。
しかしそれは幻想で2人は普通の夫婦でした。
この時代は「男が働き女は家にいる」、それが当たり前の時代です。
子供ができてしまったフランク達は、家を買うと同時に夢を捨て現実を受け入れ始めたのです。
フランクは自分探しを諦め、サラリーマンとなり家族を守るために働き続けます。
しかしフランクにとってそれでも幸せでした。
嫌な仕事だけれども美しい妻に2人の子供がいます。
彼はいつしか今の暮らしに満足していました。
一方エイプリルは違います。
押さえ付けられた今の生活が嫌で仕方なかったのです。
アメリカではこれがステータスかもしれませんが、彼女にとっては地獄でした。
エイプリルはそんなステータスを捨てて自由に生きることのできるパリでの暮らしに思いをはせるようになってしまいます。
それは昔夫が「人が本当に生きている」と言った場所です。
エイプリルは自分らしく生きるために、絶望しかない生活から逃げようと決めたのでした。
「男」であること
「男は外で働き女は家庭を守る」ことが普通の1950年代。
「男」らしくあるという事が大切な時代でもありました。
若い頃フランクは「自分探し」を続け、本当に興味のあることを追い求めていました。
そんなフランクにエイプリルは惚れました。
しかしフランクは結婚し子供ができると、自分探しをやめ現実的になりました。
それは男として家族を守るためだったのかもしれません。
ただしエイプリルから見ればそれは「男」らしさではありません。
自分に嘘をつき、現状に満足しているフランクの姿は「男」らしくなかったのです。
フランクにとって「男らしくない」という言葉は一番嫌いな言葉です。
なぜなら彼は自分が「男」らしいと思っていたから。
自分探しはやめたけど、自分のいる世界で家族を守っていることで彼は自分が「男」であると思い続けていたのです。
それでも一度は昔のように、夢を探そうと考えます。
しかし結局彼は身近な居心地のいい世界の男らしさを選びました。
昇進し一流の生活を送る。
フランクは非現実的な理想ではなく、現実的なことを選んだのです。
でもそれは妻エイプリルには理解できず、彼女を追い込むことになってしまいました。
自分の世界での幸せを望んだフランクともっと大きな世界で自由に生きることを望んだエイプリル。
彼らは最後まで交わり合うことができませんでした。
まとめ
将来に夢や幻想を抱く若い頃。
やがて私たちはどこかで折り合いをつけ、現実を受け入れていくようになります。
しかしエイプリルは妥協することができませんでした。
それは彼女の性格だけでなく、時代も関係したのかもしれません。
抑圧された女性、家庭を守り男らしくある男性。
エイプリルとフランクはそんな時代に翻弄された夫婦だったのかもしれません。