ジャズピアニストとして成功を掴もうとした瞬間に死んでしまったジョー。彼は生き返るために、生まれる前の魂22番に「きらめき」を与えようと必死になります。「きらめき」こそが生きる目的。「目的」がないと生きる意味がない。そう思っているジョーは、22番とともに過ごすうちに「きらめき」の本当の意味に気がついたのでした。
『ソウルフル・ワールド』作品情報
タイトル | ソウルフル・ワールド(Soul) |
監督 | ピート・ドクター |
公開 | 2020年12月25日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 1時間40分 |
Rotten Tomatoes
[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・長編アニメーション賞
・作曲賞[/box]
あらすじ
[box class=”blue_box” title=””]
生まれる前の魂(ソウル)たちの世界に、何百年も暮らす“こじらせ”ソウル・22番。
彼女は自分のやりたいことや好きなことを見つけられず、「人間に生まれたくない」とずっと思っていた。
そんなある日、ニューヨークでジャズ・ピアニストを夢見る音楽教師・ジョーがソウルの世界に迷いこむ。
元の世界に戻り夢を叶えたいジョーと、彼に協力することになった22番。
奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた<人生のきらめき>とは…?
(出典:https://disneyplus.disney.co.jp/program/soulfulworld.html)
[/box]
一人ひとりのきらめき
生まれる前の魂が地上に行くために通行証。
通行証は色んな性格で埋められます。
そして最後に必要なのが「きらめき」でした。
このきらめきが埋まれば、通行証となり魂は地上に行くことができるのです。
その「きらめき」を与えるのがメンターの仕事。
メンターには様々な偉人がいて、生まれる前の魂に色んな「きらめき」を与えていました。
「きらめき」は万物の殿堂にある地上の刺激から与えてもいいし、メンターの個人の殿堂から与えても構いません。
ピアニストのジョーは自分が好きなジャズピアノを引けば、すぐに22番に「きらめき」を与えることができると思いましたが、22番はジョーの音楽に「きらめき」を感じませんでした。
ジョーは「きらめき」が生きる目的だと思っていたのです。
そしてそれはジョーだけではなく多くのメンターが同じように思っていました。
「きらめき」=「生きる目的」
そしてそれがないと魂は地上に向かうことができないとジョーは考えていました。
しかし22番はどんなメンターに出会っても「きらめき」を持つことはできませんでした。
ちなみに22番のこれまでのメンター
[box class=”blue_box” title=””]・マザー・テレサ
・コペルニクス
・モハメド・アリ
・マリー・アントワネット
・ユング
・リンカーン[/box]
など数々の偉人がいましたが全く22番には響きませんでした。
そして22番も地上に行くことを諦めています。
しかしそれはやがて22番を苦しめることに。
「きらめき」がない=「生きる意味がない」になってしまったのです。
しかし地上に戻ったジョーは、自分の望んでいたジャズピアニストに慣れたけれども、それは自分が求めていた世界とは違っていたのです。
ジョーは自分の「きらめき」はジャズだと思っていましたが、実は違ったのです。
「きらめき」は日常生活の一部にある感動できることだったのです。
「きらめき」=「感動」だったのです。
そしてそれが私たちが生きることなのです。
私たちが生きる意味は、人生の一瞬一瞬を楽しむことなのです。
「陶酔」と「迷える魂」
私たちは何かに熱中すると自分を忘れてしまう時があります。
そしてその自分に酔いしれて、自分の世界に入り込んでしまいます。
それを「ゾーン」に入ったという言葉で表すことがありますが、『ソウルフル・ワールド』にもその「ゾーン」の世界が出現します。
そこは別次元の感覚になる、肉体と精神の間の世界です。
ジョーもオーディションでピアノを弾いている時に、この「ゾーン」に入ったことがありました。
「ゾーン」は自分に何かにのめり込み陶酔した人たちの魂がいる空間ですが、この空間には不安や強迫観念に取り憑かれて自分を見失ってしまった人の「迷える魂」が彷徨う空間でもありました。
ここにいる魂は「何かに取り憑かれている」魂でした。
何かに熱中すれば「ゾーン」に入るけど、取り憑かれてしまうと「迷える魂」になってしまうのです。
「迷える魂」のいる空間には「運用」に取り憑かれてしまって自分を見失ったファンドマネージャーがいました。
彼はいつしか自分の魂を見失ってしまっていたのです。
そんな空間に「きらめき」に取り憑かれた22番も迷い込みます。
「生きる目的」が無いと無意味だと思い込んでしまった22番。
いつまでも「きらめき」が見つからない自分は、無意味な魂だと思ってしまったのでした。
しかしその22番を救い出したのが、22番のおかげで本当の「きらめき」に気がついたジョーでした。
生きることに「目的」は必要ない。
楽しむことが人生だ。
今度はジョーが22番に教えてあげます。
ジョーは22番に「生きる準備ができれば地上に行ける」と、22番の背中を押してあげたのでした。
まとめ
「自分が生きる意味とは?」「生きる目的は?」そんな大きなことを探しがちな私たち。
そして気がつけば人生に「目的」が無いと、無意味な人間のように思えてしまう社会になってしまっています。
しかし「生きることってそんなことだっけ?」と問いかけているのが『ソウルフル・ワールド』です。
毎日楽しむこと、日々の中で感動すること、一瞬一瞬を大切にすること、それが生きることだと私たちが忘れていることを思い出させてくれます。
人生の選択を誤っても、「夢」が叶わなくても、人生には楽しいことがたくさんあるのです。