ボストンの犯罪王と呼ばれたジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。地元ボストンのサウシー(南地区)を牛耳りながらFBIの情報提供者だったジミーが、どのようにして犯罪者の王となっていたのかを描いたのが映画『ブラック・スキャンダル』です。同胞意識が強い彼が心から嫌ったのが「密告」。密告者に対するジミーの冷酷さは、異常なものでした。
『ブラック・スキャンダル』作品情報
タイトル | ブラック・スキャンダル(Black Mass) |
監督 | スコット・クーパー |
公開 | 2016年1月30日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間3分 |
Rotten Tom
あらすじ
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1975年、サウスボストンでアメリカの正義の根幹を揺るがす史上最悪の汚職事件が起きた。
マフィア浄化に取り組むFBI捜査官のコノリーは、イタリア系マフィアと抗争を繰り広げるギャングのボス、バルジャーに敵の情報を売るよう話を持ちかける。
FBIと密約を交わし、情報屋の立場を悪用して敵対する組織を壊滅に追いやるバルジャー。
出世欲の強いコノリーと名声を望む政治家のビリーもまた、彼と手を組み権力の座を駆け上がっていく――。
そう彼らは同じ街で育った幼馴染だったのだ。
悪の象徴であるバルジャーにより徐々に取り込まれていくFBI、思惑とは別に欲望の歯車が狂い始める――。
(出典:https://warnerbros.co.jp/c/movies/blackmass/about/)
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ボストンの犯罪王
1981年 ボストンの犯罪王と呼ばれるほどまでになったジミーことジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。
生まれ育った南ボストンの南地区サウシーを牛耳っていたジミーは、FBIの情報提供者となることで勢力を拡大し続けていた。
「密告」が大嫌いなジミー。
仲間であろうと商売相手であろうと自分のことを裏切った人間には容赦ないのがジミーです。
そんなジミーがまさかのFBIの情報提供者に。
しかし彼の中ではあくまでこれはビジネスであり協定だったのです。
彼は単にFBIを利用しただけでした。
彼がFBIの情報提供者になったのは、1975年ですが1981年までほとんどFBIにまともな情報は与えていませんでした。
彼はFBIを利用して敵のイタリアンマフィアを一掃し、ボストンのマフィアの王に君臨したのです。
彼の目的は王になること。
そしてそれはボストンだけでなく、マイアミなど幅広く勢力を広げつつありました。
自分が王になるために、なんでもやったジミー。
FBIとの約束は「犯罪はなし」ということでしたが、ジミーはそんな約束は破ってしまいます。
しかしFBIは彼を逮捕することができません。
なぜなら目撃者がいないからです。
裏切り者はジミーの消される世界。
誰もジミーの犯行を口にすることができないのです。
実際地元サウシーでは市民に愛されていたジミー。
それは映画の冒頭でも描かれています。
地元を愛し仲間を大切にしたジミー。
だからこそ自分を裏切る人物が許せなかったのです。
ただし、その愛は彼の部下達には伝わっていなかったようです。
ジミーの部下は逮捕された後、司法取引で減軽されました。
さらにジミーがFBIの提供者だったとわかると、突然彼の犯罪の目撃者がたくさん出てきました。
ジミーは仲間や地元の人たちを大切にしていましたが、ジミーが彼らに与えていたのは「愛」ではなく「恐怖」だったのです。
だからこそジミーの「恐怖」から解放された人たちはみんな、彼のことを警察に話し始めたのでした。
友情と尊敬
ジミーにFBIに情報を提供しないかと持ちかけた、FBIのジョン・コノリー。
多くの人がジミーについて証言を始める中、最後までジミーの証言をしなかったのがコノリーです。
彼だけが最後までジミーへの忠誠心を守続けました。
幼い頃いじめられているのをジミーに助けてもらったコノリー。
その時からジミーへの憧れを抱くようになりました。
マフィアのボスと政治家の兄弟。
コノリーにとっては憧れの兄弟だったのかもしれません。
同じサウシーで育ったコノリーは、ジミーと同じように強い同胞意識を持っていました。
コノリーはFBIの中で出世するためにもジミーの力が必要でしたが、どんなことがあってもジミーを売ることはありませんでした。
ただし、それほどまでに尊敬し忠誠心を見せた相手ジミーは、コノリーを最初から利用していました。
ジミーにとって大切な人は家族だけだったのかもしれません。
息子を失い母親を失った時に見せたジミーの顔。
その顔は仲間はコノリーに見せることのなかった顔です。
コノリーがどんなにジミーに忠誠を見せても、ジミーは彼を家族と思うことはありませんでした。
あくまでコノリーとの関係はビズネスだったのです。
まとめ
実在する人物ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーの人生を描いた映画『ブラック・スキャンダル』。
密告が大嫌いだったジミーが、どのようにして犯罪王になったかが描かれていました。
FBIの情報提供者となったジミー。
それは彼にとってはあくまでビジネスで密告ではなかったのです。