映画『イレイザーヘッド』大人になることができなかった夫婦の物語


デヴィッド・リンチ監督の最初の長編映画となる『イレイザーヘッド』。それはすでに彼の世界観が出まくりの作品になっていました。生まれた赤ん坊が宇宙人のような不思議の姿の赤ちゃんでびっくりしますが、大人にとって赤ちゃんは宇宙人のような不思議な存在なのかもしれません。しかしこの物語に出てくる夫婦はこの宇宙人の扱い方が分からなかったのです。

『イレイザーヘッド』作品情報


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タイトル イレイザーヘッド(Eraserhead)
監督 デヴィッド・リンチ
公開 1981年9月12日
製作国 アメリカ
時間 1時間29分

Rotten Tomat

あらすじ

消しゴム頭の髪型をした主人公ヘンリーは、女友達メアリー・Xから妊娠した事を告げられる。

やむなく結婚を決意するヘンリーだが、生まれてきたのはヒナ鳥のような奇怪な赤ん坊だった。

狭いアパートで、赤ん坊の悲鳴にもにた鳴き声が響く中、ノイローゼに耐えかねたメアリーは実家に戻り、ひとり残されたヘンリーは赤ん坊の世話をすることになる……。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/2066)

予期せぬ結婚&妊娠

不思議な髪型の主人公ヘンリー。

彼は彼女のメアリーが妊娠したことで、彼女と結婚する事になりますが、それはヘンリーのとって予期せぬ出来事だったことは前半の物語を見れば分かります。

メアリーの両親と初めて会うヘンリー。
そこはヘンリーにとって不気味で不思議な家でした。

座ったままの祖母や不思議なことを言う父親。
さらに出てきた料理は気持ち悪いチキン。
これはヘンリーにとってメアリーの家は馴染めない理解できない家だったのかもしれません。

初めて彼氏や彼女の家に行った時、違うしきたりに戸惑うことがある人もいると思います。
この映像はそんなヘンリーの気持ちを表しているのでしょう。

さらに突然告げられたメアリーの妊娠。
それはヘンリーにとっては予期せぬ出来事で、鼻血を出してしまうほどです。

よっぽどショックだったことが分かるシーンです。

突然の結婚に突然の父親。
ヘンリーにとっては全く違う人生の始まりだったのです。

子供は宇宙人

メアリーが生んだ子供はどう見ても、人間には見えません。
宇宙人のような不気味で不思議な存在でした。

そしてこの子供の子育てに戸惑うメアリー。
ご飯も食べて食べてくれないし泣き止まないし、メアリーはどんどんイライラしていきます。

これは子供を育てる親なら一度は経験したことある気持ちです。
全く自分の思い通りにならない赤ちゃん。
それは大人から見れば宇宙人のような存在でしょう。

しかも父親のヘンリーは子育てを手伝ってくれません。
一人で赤ちゃんに苦労するメアリーもついに爆発してしまいます。

夜泣きに耐えられず子供を置いて家を出て行ってしまいました。
メアリーもまだ親になる準備ができていなかったのかもしれません。

そして残されたヘンリーがメアリーに変わって子育てをしますが、彼にとっても子供は宇宙人のように理解不能な生物なのです。

ヘンリーは病気になってしまった赤ん坊の扱い方も分かりません。

それどころか赤ちゃんはヘンリーの自由をどんどん奪っていくのです。
外に全く出ることができなくなってしまったヘンリー。

彼は体を子供に乗っ取られてしまったような気持ちになります。
それはヘンリーの頭が切れて、赤ん坊の頭がヘンリーの体から出てきたシーンの意味なのです。

やがてヘンリーは他の女性を好きになりますが、一度きりの関係でヘンリーは彼女に捨てられてしまいます。
それはヘンリーに子供がいたからです。

そんなヘンリーを子供は嘲笑うかのように笑い声を上げます。

そしてついにヘンリーも子供に対する怒りが頂点に達してしまったのでした。

その後、自分のとった行動に追い詰められてしまうヘンリー。
彼は「天国では全てが上手くいく」「天国には悩みなんかない」と天国の自由を歌う女性が待つ天国に行ってしまいました。

ヘンリーもまた赤ん坊と向き合えずに、自分のことだけしか考えられず、子供を迎える準備ができていなかったのでした。

まとめ

突然子供を持ってしまった夫婦の悲劇を描いた映画『イレイザーヘッド』。

自由を奪われ意思疎通が測れない赤ちゃんは、ヘンリーとメアリーは宇宙人のような不気味な存在だったのです。

メアリーは実家に逃げますが、残されたヘンリーはさらに子供に追い込まれてしまう事になります。

結局大人になれなかったヘンリーは、自分が楽しく過ごせる天国を選んでしまったのでした。