映画『アメリカン・サイコ』中身なんか関係ない世界で自分を失っていく男


ウォール顔で2世として副社長の地位にいるパトリック・ベイトマン。エリート社会の中で生きる彼ですが、彼の心は崩壊していました。上流社会の仲間に入りたいというだけで嫌な仕事も続けるパトリックでしたが、彼のしがみつく世界は中身のない嘘ばかりで戯言だらけの世界だったのです。

『アメリカン・サイコ』作品情報


アメリカン・サイコ ―デジタル・レストア・バージョン― [Blu-ray]

タイトル アメリカン・サイコ(American Psycho)
監督 メアリー・ハロン
公開 2001年5月3日
製作国 アメリカ
時間 1時間41分

Rotten Tomatoes

あらすじ

80年代のニューヨーク。

27歳のハンサムなヤッピー、パトリック・ベイトマンは一流企業の副社長。

高級マンションに住み、美しい婚約者もいる彼は一見誰もが羨む生活を送っていた。

しかし、彼の心の中には深い闇が広がっており、突如襲う衝動に突き動かされ、夜の街をさまよいホームレスや娼婦を殺害していたのだった……。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/162764)

ウォール街の上流社会

27歳のパトリック・ベイトマンに生きるウォール街の上流社会

彼の仕事の詳細は描かれていませんが、買収や合併を行う大企業のようです。
パトリックは父親の経営するそんな会社で副社長の地位に就いています。

高層マンションに住み、同じ世界の婚約者がいて、それ以外にも関係のある女性がたくさんいます。

ほとんど仕事をしていない彼は、どこの一流レストランを予約するかそればかり考えています。

それはお腹が空いていなくても関係ないのです。
彼らのいる世界はとにかく一流レストランに予約することが大切で、予約できればそれだけで羨ましがられる世界なのです。

・名刺の紙質や文字の豪華さ
・スーツのブランド

そんなことばかり気にしているのが、パトリックのいる世界です。

しかしパトリックはこの世界の仲間になりたいと思っていました。
中身のない嘘だらけの世界。

それがパトリックの憧れでもあり、また同時にパトリックを闇に引きずる世界でもあったのです。

中身のない世界

パトリックのいる世界は一見豪華で華やかな世界でしたが、そこは全く中身のない世界でした。

それが1番描かれているのが、彼らは人の名前と本人が一致していないのです。

冒頭でパトリック達がポール・アレンの話をしている時、3人が言うポール・アレンはみんな別人でした。

パトリックがポール・アレンと会った時、ポールはパトリックのことをハルバースタムと間違えました。
それはみんな同じメガネで同じようなスーツで同じ髪型なので、ほとんど区別がつかないのです。
逆に言えばそれだけ上辺だけのつながりでした。
外見しか見ていない関係なのです

その先もずっとパトリックのことをハルバースタムと間違えています。

ポールが行け不明になり刑事がパトリックのアリバイを調べたとき、パトリックにはアリバイがありません。
それはパトリックがポールを殺したので当たり前のはずです。

そのためパトリックは焦るのですが、刑事はパトリックと一緒にいたと証言した人を見つけました。
パトリックは驚きますが、他の人が彼のアリバイを証言してくれました。
うまくこの証言にパトリックは乗りましたが、アリバイを証言した人が他人をパトリックと間違えていました。

また最後にパトリックは弁護士に自分の罪を告白しますが、弁護士はパトリックのことをデイビスと間違えています。
しかも弁護士はポール・アレンと10日前に食事をしたと言っていました。

彼らの生きる世界は相手の名前も覚えない、上辺だけの世界で彼らは相手をきちんと知ろうと向き合うことをしないのです。

いつも考えるのは自分のこととお金のことばかり。

パトリックはそんな世界にいることで心が壊れていったのでした。

まとめ

この『アメリカン・サイコ』は、登場人物の名前をきちんと聞いていないと何が起きているのか理解できないかもしれません。

それは彼らの生きる世界が、アイデンティティなんてどうでもいい世界だからです。

そんな世界の中で主人公は「自分とは?」について悩み、そしてやがて自分が壊れていきます。

そんな無機質で自分のない世界を描いたのが映画『アメリカン・サイコ』でした。