1892年のアメリカはインディアンとの戦いが終わったはずでした。しかしまだまだ白人と先住民との戦いは続いています。そんな中敵対する一行がモンタナを目指して旅をすることになります。道中に待っていたのは続く戦いと、残された傷跡でした。『荒野の誓い』ではインディアン戦争が終わったとの白人と先住民の関係を知ることができます。
『荒野の誓い』作品情報
タイトル | 荒野の誓い(Hostiles) |
監督 | スコット・クーパー |
公開 | 2019年9月6日 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 2時間14分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1892年アメリカ。
騎兵隊大尉ジョーはかつての宿敵であるシャイアン族の長とその家族を居留地へと送り返す任務を命じられる。
ニューメキシコからコロラド、そしてモンタナへ。
コマンチ族の蛮行によって家族を殺された女性ロザリーも加わり一行は北を目指す。
危険に満ちた旅をとおして、お互いが協力しないことには生きてはいけない状況に置かれていることを知る……。
(出典:http://kouyanochikai.com/about.php)
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白人と先住民の戦い
長い間続いていたインディアン戦争。
それは白人と先住民との戦いでした。
元々住んでいた先住民をこの地にやって来た入植者達が、追い出してしまいます。
そして入植者達は先住民達を居留地に追いやり、彼らの土地を自分達の土地にしてしまったのです。
先住民と白人の間では何度も戦いが行われていたのすが、1890年頃には多くの先住民が捕まり居住地で送られます。
そしてインディアン戦争は終わりを迎えたのでした。
シャイアン族
『荒野の誓い』に登場するシャイアン族。
彼らは1868年オクラホマの居留地で暮らすようになります。
彼らはアメリカ政府によって強制的に居留地に追いやられたのでした。
しかしその居留地での暮らしはとてもきついものでした。
映画の中で中佐の奥さんは「居留地の環境は非人道的で、人々は病気や飢えに苦しんでいる」と言っていました。
実際にシャイアン族が向かった居留地に食料はほとんどなく、1878年には麻疹が流行し多くの人が命を落としました。
そしてシャイアン族は居留地から逃げ出したのです。
また、映画の中に毛皮ハンターが登場しますが、当時先住民達の衣食住の支えとなっていたバッファローは絶滅寸前でした。
そのため多くの先住民達が生活に困っていました。
『荒野の誓い』の中にはシャイアン族だけでなくいくつかの部族が登場します。
[box class=”red_box” title=””]・アパッチ族
・コマンチ族
・カイオア族[/box]
この中で白人の住む家を襲い、ジョー大尉達の一行に攻撃を仕掛けて来たのはコマンチ族でした。
シャイアン族の酋長イエロー・ホークはコマンチ族のことをどう猛な連中で危険な奴らだと言っていました。
実際にコマンチ族は攻撃的な部族で、騎馬民族として南部平原を制圧していた部族でした。
しかし彼らもまた最終的には居留地で暮らす道を選んだのでした。
騎兵隊
先住民を憎んでいたジョー大尉。
彼は騎兵隊の大尉でした。
この騎兵隊と先住民は長い間戦いを続けていました。
騎兵隊は西部を開拓する入植者を守ることを主な仕事としていました。
1868年に騎兵隊とシャイアン族は激しい戦いを行いました。
騎兵隊がシャイアン族のキャンプを襲いました。
この時シャイアン族の多くの命が奪われましたが、同時に騎兵隊員の命も奪われています。
また1878年にはリトルビッグホーンの戦いもありました。
この戦いでは第七騎兵隊は全滅したと言われています。
ジョー大尉とシャイアン族の酋長イエロー・ホークの背景には、そんな戦いがあったのです。
だから2人はお互いを憎みあっていました。
特に友人を殺されてしまったジョー大尉は、シャイアン族を許せなかったのです。
しかし、そんな彼らもニューメキシコからモンタナを目指す間に和解をし友情を結びました。
過去に何度も憎み合い戦いを続けていましたが、彼らは互いを許し和解しさらにはお互いの文化を尊重し合えるようになったのでした。
まとめ
インディアン戦争終了後の1892年を舞台にした映画『荒野の誓い』。
そこには憎しみあい長きにわたって戦って来た男達が、お互いを許しあう姿が描かれていました。
そしてまたこの映画を見ると、当時の先住民と騎兵隊の関係を知ることができます。
彼らの心の溝は何年にも渡り受け継がれていました。
しかしジョー大尉とイエロー・ホークはそれを終わらせたのでした。