7人の男性を殺した殺人犯アイリーン・ウォーノス。彼女の人生を描いたのが『モンスター』。彼女はモンスターなのかもしれないが、彼女をモンスターにしたのは周囲の大人たちだった。さらに、大人になっても居場所のないアイリーン。幼い頃から愛を求め続けた彼女は、愛に絶望しながらも最後まで愛を信じ続けたのかもしれない。
『モンスター』作品情報
タイトル | モンスター(Monster) |
監督 | パティ・ジェンキンス |
公開 | 2004年9月25日 |
製作国 | アメリカ/ドイツ |
時間 | 1時間49分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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1986年、フロリダ。
ヒッチハイクをしながら男に身体を売る生活に疲れ果て、自殺する覚悟を固めたアイリーン・ウォーノス。
有り金の5ドルを使い果たそうと飛び込んだバーで、彼女は一人の女性セルビーと運命的な出会いを果たす。
同性愛の治療を強制されフロリダにやってきたセルビーもまた自分と同じように社会からの疎外感を抱いて生きていた。
初めて自分を偏見なく受け入れてくれる人物と出会ったと感じたアイリーンは、“一緒に暮らそう”と提案する。
しかしそのためにお金が必要になった彼女は、再び客を取るため道路脇に立つのだったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/319349)
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[box class=”red_box” title=”アカデミー賞受賞”]・主演女優賞:シャーリーズ・セロン[/box]
アイリーン・ウォーノス
1年間の間に男性を7人殺した殺人犯アイリーン・ウォーノス。
彼女は1990年に逮捕され、2002年に死刑が執行された。
そのアイリーンの人生を描いたのが『モンスター』。
幼くして虐待を受けていた彼女の人生は壮絶なものだった。
それはいつしか幼い少女の心の中にモンスターを作り出してしまった。
しかし彼女はそのモンスターを消すために幸せを、愛を求め続けていた。
だが、結局彼女に愛を与えてくれる人物は現れなかった。
彼女はモンスターになることを選んだ。
決してなりたくてなったモンスターではなかった。
彼女はモンスターとしてしか生きられなかったのだ。
しかし、セルビーが彼女の中のモンスターを消しかけた。
普通に生きようとしたアイリーンだったが、またも周囲が彼女をモンスターにした。
その頃には、誰も信じられなくなっていた。
人の優しさを受け入れることができなくなっていた。
それでも、彼女は心のどこかで愛を求め続けていたのかもしれない。
愛と希望
映画の中でアイリーンは、モンスターになる前に死のうとしていた。
そこに現れたのが、セルビーだった。
アイリーンにとってセルビーは最後の希望だった。
だから、彼女のために生き方を変えようとした。
幼い頃から望んでいた幸せをやっと手にできたから。
でも、現実はうまくいかない。
アイリーンの思うようには進まなかった。
それでも、アイリーンは最後の最後までセルビーを愛し、彼女を信じた。
だからセルビーに裏切られた時は、かなりショックだったはずだ。
映画の中では描かれていないが、最初彼女は犯行を認めていなかった。
しかし、やがて犯行を供述するようになる。
それはセルビーがアイリーンを裏切ったときからだったようだ。
それほどアイリーンにとっては、セルビーは希望だったのだ。
やっと出会えた心を許し自分の全てをかけようと思った相手だったのに。。。
映画の中のセリフでもあるように、きっと性別を超えてアイリーンは人としてセルビーのことを愛した。
それでも待っていたのは、絶望だった。
ただ、映画の中の描写ではセルビーの幸せを望むアイリーンは、納得した表情にも見えた。
全てを受け入れたかのようだった。
何度も愛に裏切られながらも、それでも信じていたのかもしれない。
それだけが彼女の希望だったのかもしれない。
まとめ
実在の連続殺人犯を描いた『モンスター』。
犯した罪は重くけして許されることではない。
しかしそんなモンスターを作ったのは、周囲の環境と大人たちだった。
彼女から愛と希望を奪った周りの人もまたモンスターだったのかもしれない。