世界を驚愕させた作品『エル ELLE』。主人公の女性ミシェルは私たちの想像を超えるほどの、強さを持った女性でした。しかもその強さは怖さでもあります。殺人者の娘として育ってきたミシェルが、なりふり構わず歩いてきた人生。それは理解しにくい世界でもありましたが、ミシェルにとってはそれが彼女の人生だったのです。
『エル ELLE』作品情報
タイトル | エル ELLE(Elle) |
監督 | ポール・バーホーベン |
公開 | 2017年8月25日 |
製作国 | フランス/ベルギー/ドイツ |
時間 | 2時間10分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
[aside type=”normal”]
新鋭ゲーム会社で敏腕女社長として辣腕を振るうミシェル。
彼女はある日、ひとり暮らしをしている自宅で覆面をした男に襲われる。
男が去ると、何事もなかったかのように振る舞い、訪ねてきた息子を迎える。
その後、ミシェルの行動を監視していると思われる嫌がらせメールなどから、レイプ犯が彼女の身近にいると確信するミシェル。
それでも幼いときのトラウマから、決して警察に頼ろうとしない彼女は、自ら犯人探しを始める。
そんなミシェルの周囲には、犯人になりうる動機を持つ怪しげな人物が何人もいたのだったが…。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/359372)
[/aside]
自分で自分を守ってきたミシェル
男に襲われても微動だにしないミシェル。
シャワーを浴び、出前を注文し普通の生活を送ります。
病院で検査はしましたが、けして警察に通報することはありませんでした。
それは彼女には少女時代の壮絶な過去があったからです。
彼女の父親は殺人犯として世間を賑わせました。
その時に、彼女の写真と名前は警察とマスコミにより、世間に広まってしまいました。
「殺人者の娘」として世間から冷たい態度を受けてきたミシェル。
それは大人になった今でも変わりません。
しかも父親の仮釈放の審議が近づき、再び世間で注目を浴びています。
彼女は父親の事件で自分の顔が晒された日から、自分の身は自分で守ってきました。
そしてゲーム会社の社長という地位まで上り詰めたのです。
経済的にも自立し母親にも息子にもミシェルが援助しています。
1人で大きな家に住んでいます。
誰にも頼らず、自分で全てを築き上げるのがミシェルだったのです。
だからこそ、男に襲われても殴られても自分で犯人を探そうとします。
そんな強くて怖すぎる女性がミシェルでした。
恥なんか気にしてられない
同僚のアンナが夫の浮気を疑い、夫のパンツの匂いを嗅ぐとミシェルに行った時、アンナは「恥も外聞もない」と自分のことを表現しました。
するとミシェルはアンナに「恥なんか気にしていたら何もできない」と返しました。
夫の浮気相手は自分なのですが、ミシェルがアンナに言ったこの言葉こそミシェルの生き方そのものです。
幼い頃から恥の中で生きてきた人生。
しかしそんなこと気にしていたら、ミシェルは今のように生きてはこれませんでした。
恥を気にせず自分のやりたいように生きてきたからこそ、今のミシェルがあるのです。
だから襲われたことも恥じていません。
会社で変な映像を流されても気にしません。
彼女は淡々と犯人探しをするだけでした。
彼女が恥を気にしないのは、事故にあったときにも現れています。
元夫やアンナが電話に出なかったので、なんとミシェルはパトリックに電話しました。
自分を襲った男です。
しかしそんなことはミシェルには関係ないのです。
助かるためなら何でも利用するのがミシェルなのです。
それでも元夫の新しい恋人に嫉妬する可愛さもあります。
それがミシェルの魅力なのかもしれません。
映画の最後でミシェルはあれだけ嫌っていた息子の恋人と仲良くなっていました。
それは息子の恋人が恥を捨てて、自分の子供を連れ戻しにきたからかもしれません。
それはミシェル自身が、恥を捨てて死に物狂いで生きてきたからです。
まとめ
世界中で賛否両論を巻き起こした『エル ELLE』。
ミシェルの生き方には色んな意味で話題となりました。
共感できる人できない人様々でしょうが、ミシェルは恥を捨て周りを気にせず必死で生きてきた女性なのです。