幼い頃の夢を叶えたアントワーヌ。運命の女性マチルドだけを愛し続けました。そしてマチルドもまた彼だけを愛し続けます。そんな2人の愛情の中で生きるアントワーヌとマチルド。しかしその愛がゆえに、やがてマチルドはアントワーヌを失うことが怖くなってしまうのです。偏った愛でありながらもプラトニックな愛を描いたのが『髪結いの亭主』です。
『髪結いの亭主』作品情報
タイトル | 髪結いの亭主(Le Mari de la coiffeuse) |
監督 | パトリス・ルコント |
公開 | 1991年12月21日 |
製作国 | フランス |
時間 | 1時間22分 |
Rotten Tomatoes
あらすじ
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子供の頃から女の理容師と結婚したいという願望を抱き続けて来たアントワーヌは、中年にさしかかった頃、ようやくその夢を実現する。
妻のマチルドは、優しくて綺麗で、アントワーヌは念願の妻を娶った事に満足し、十分に幸せな日々を送っていた。
そして10年、この愛は何事もなく平穏に過ぎてゆくが……。
(出典:https://www.allcinema.net/cinema/4714)
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女性理髪師に恋をした少年
幼い頃にどこかエロティックな女性理髪師に恋をしてしまったアントワーヌ。
彼な頻繁に床屋に足を運びました。
少年にとって親以外の女性にこんなにも接近する場所は、床屋以外になかったのです。
そしてそこで大人の女性の魅力に気がついたのが、アントワーヌでした。
[box class=”pink_box” title=””]大人の女性の体の匂い。
大人の女性の体つき。
そして服から見える乳房。[/box]
どれもがアントワーヌにとっては、魅力的でありまた夢中になってしまうのもでした。
そしてある日、アントワーヌは決意します。
将来、女の床屋さんと結婚する
父親に思わず殴られてしまう夢でしたが、それでも将来アントワーヌはその夢を叶えることになるのです。
逆に言えば、幼い頃のアントワーヌにとって女性理髪師と過ごしたことは、話すらられない出来事だったのです。
2人だけの愛
やがて運命の女性マチルドを出会い、彼女と結婚することになったアントワーヌ。
彼はマチルドとだけ生きる生活を選択しました。
しかし理髪店という場所だけで。
普通の人から考えれば、極端な生活でしたがアントワーヌにとってはそれが幸せでした。
そしてまたマチルドもまたそれを望んだのです。
理髪店でアントワーヌとだけ生きる生活。
2人にとっては幸せな時間でした。
10年間でたった1回の喧嘩。
しかも些細ない言い合い。
それだけお互いがお互いを愛していたのです。
愛するがゆえの恐怖
幸せな暮らしを送っていたアントワーヌとマチルドでしたが、やがてマチルドは老いることへの恐怖を覚えました。
店を譲ってくれたイジドールは老人ホームで孤独のなかで、死を待っています。
また理髪店の常連は背中が曲がり始めていました。
幸せな生活の中に影を落とし始めた「老い」。マチルドにとってはそれは、アントワーヌを失う恐怖へと変わってしまいました。
そんなマチルドは不幸よりも死を選びました。
アントーヌが死んだり、アントワーヌに飽きられる前に彼女は死を選択しました。
それはアントワーヌを愛しているからこそのマチルドの決断でした。
遺書の最後には「私を忘れないで」と書き、マチルドはこの世を去ります。
愛する妻を失ってしまったアントワーヌでしたが、彼はマチルドの遺書通り彼女を忘れません。
いつも通りの生活を送るのです。
それがアントワーヌなりのマチルダへの愛情の印だったのです。
まとめ
最後は切なく苦しくなってしまう『髪結いの亭主』。
しかしそれは愛し愛された夫婦の物語でもありました。
マチルダがいなくなっても彼女を待つアントワーヌ。
それがマチルダを永遠に忘れない、彼女への愛の印でした。
極端だけれども美しすぎる純愛。
それが『髪結いの亭主』です。