映画『ロボコップ』で描かれる当時のアメリカの情勢に対する監督の皮肉


大ヒットした映画『ロボコップ』。物語自体面白いのですが、1つ気になるのが映画の途中に何度か放送されるCMやニュースです。それは当時のアメリカの状況を皮肉ったものになっていました。ここでは当時のアメリカの状況と映画の中で流れるニュースやCMを比べてみました。

『ロボコップ』作品情報


ロボコップ/ディレクターズ・カット [Blu-ray]

タイトル ロボコップ(RoboCop)
監督 ポール・バーホーベン
公開 1988年2月11日
製作国 アメリカ
時間 1時間42分

Rotten Tomatoes

あらすじ

近未来のデトロイト。

犯罪の多発するこの地域では、警察の経営が民間の巨大企業オムニ社に委ねられていた。

ある日、オムニ社は凶悪な犯罪を激減させるため、重装備の大型警察ロボットを開発。

これは失敗に終わるも、サイボーグ警官ロボコップの製造計画に着手する。

そんな中、地元警官のマーフィは女性警官ルイスとコンビを組み、クラレンスら強盗一味を追跡していた。

だが、逆に一味に取り囲まれ、惨殺されてしまうマーフィ。

しかし、彼の遺体はオムニ社へ回収され、やがてロボコップとなって復活する…。

(出典:https://www.allcinema.net/cinema/25800)

アカデミー賞受賞
・特別業績賞

核が身近になった近未来

『ロボコップ』は近未来の世界を描いた物語ですが、その近未来では核が私たちの生活に身近になっていました。

映画の冒頭いきなり流れるニュース映像。
それは南アフリカで反核暴動が激化したニュースです。
市を守っている白人軍政府が暴動を抑えるためフランスの中性子爆弾を使用を認めたというとんでもないニュースでした。

しかし新発売された「核攻撃」というビデオゲームがCMでは流れています。
家族全員で楽しそうに「核攻撃」というゲームをやっている映像でした。

ポール・バーホーベンらしい皮肉が込められています。

『ロボコップ』が制作された当時は、アメリカとソ連は冷戦中でした。
冷戦終了に向かっていましたが、冷戦中いつ核戦争が起きてもおかしくない状況でした。

核兵器の開発も行われていた大国に対して、第二次世界大戦中に空爆で悲惨な体験をしたポール・バーホーベン監督の皮肉的なメッセージがニュースやCMだったのです。

アメリカの政治状況

オランダ人であるポール・バーホーベン監督。
アメリカに渡ってきて『ロボコップ』を作成しましたが、オランダ人から見たアメリカの当時の政治状況も映画の中で皮肉的に描かれています。

「メキシコ反乱軍鎮静のためにアメリカ軍はメキシコ政府軍とアカプルコ基地を襲撃しました」というニュースが流れます。

『ロボコップ』が製作された当時アメリカはレーガン政権でした。
レーガン政権でアメリカはグラナダに侵攻したりニカラグアに軍事介入したりと強行政策をとっていました。

そんな当時のアメリカの外交政策が、このニュースに反映されています。

さらに「防衛レーザー砲が演習中に誤射されて、サンタバーバラの広大な緑の住宅地が火の海になりました」というニュースが流れます。
そして「この地に住む元大統領もこの事故に巻き込まれました」とニュースは続きます。

これも当時のレーガン政権のことを意味しています。

レーガン大統領は戦略防衛構想スターウォーズ計画として宇宙空間からソ連のミサイルを撃ち落とすという計画を発表しました。

これを基にしたのがロボコップの中で流れたレーザー砲誤射というニュースでした。

冒頭のニュースでは「宇宙ステーションからの大統領の記者会見がトラブリました」と言っていました。
さらに「停電で無重力状態になってしまい、大統領が宙に浮いてしまいました」と流れます。

これもスターウォーズ計画を皮肉ったもので、ニュースで流れる「大統領」とは暗にレーガン大統領のことを示していたのです。

まとめ

ポール・バーホーベン監督らしい皮肉が随所に込められた作品『ロボコップ』。

その皮肉は物語自体ではなく、ニュースやCMなどで描かれていました。

普通に見ても面白い『ロボコップ』ですが、当時のアメリカの状況を知っておくとこの映画に込められた皮肉に気がつき違う視点で映画を楽しむことができます。